Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#908 おやつとは。~「美食探偵 明智五郎 2~10」

『美食探偵 明智五郎 2~10』東村アキコ 著

せんべいか大福か。

 

ものすごく大福が食べたい。つぶあんよもぎ大福が食べたい。関東暮らしで思うことは、これ!という和菓子屋さんが少ないことだ。大福もまだ夢の一つを見つけられずにいるのだが、最近大福もネットで購入可能ということを知った。というより無理と思っていた和菓子が結構な割合で冷凍配送が可能らしく、北海道から九州まで、お気に入りのお店の商品が簡単に手に入る時代となり嬉しい限り。もちろん現地でのみ購入可能な商品も山ほどあるので、今後はそれを楽しみに旅に出たい。

 

さて、この間読んで楽しかったので続きを全巻購入。大福片手に楽しく読んだ。


明智五郎は江戸川探偵事務所を運営する探偵である。百貨店を築いた一族の長男で、小さな頃から祖父とともに美味しいものを食べ歩いた。祖父は食に対する思い入れが強く、美味しいお店を見抜く力があった。

 

そんな江戸川探偵事務所の前にはいつもイチゴデリというキッチンカーのお弁当屋さんが店を開いている。小林苺という仕出し屋の娘が運営しており、明智さんはちくわの磯辺揚げが大好物。小さな頃から料理に親しんでいたため、味はなかなかのものらしい。

 

明智さんはいつもこのイチゴデリでお昼ご飯を調達している。そしてなぜか苺のことを小林一号と読んでいるのだが、読んでいるうちにどんどん違和感が無くなり、小林一号と呼ばれる度に苺が「苺です!」とツッコミいれてる感じがちょっと平成、いや昭和?っぽくって面白い。

 

そして明智さんは自分が生み出してしまった犯人を追っている。名をマリアと言う。マリアは明智さんに探偵の依頼をしてきた人物だ。夫からスパイスのような匂いがすると浮気を疑い、調査を依頼してきた。しかし夫は料理家を目指す知り合いが「味の感想を聞きたい」と昼に自宅でランチ替わりの味見を受けていただけだった。

 

しかしマリアには大きな裏切りである。なぜなら夫はいつも決まったものしか食べないので、たまに肉が食べたいといっても拒まれる。毎日魚を焼き、みそ汁を作る生活が何年も続いていた。それなのに、他人の作った料理、しかも焼き魚以外のメニューを食べている。

 

マリアは結局、自らの手で夫を亡き者とした。そして逃げ切ってしまう。明智さんはマリアを追うが、最後に彼女は海に身を投げたにも関わらず、その後マリアからはがきが届く。

 

このマリアがなんとも怪しい妖艶さというか、底が知れないところがある。謎めいた人のほうが魅力的に見えるというがまさにそんなタイプである。明智さんもマリアに惹かれているのだが、マリアの持つ悪の世界に身を落とすことができるかどうかが明智さんの未来を変えるだろう。

 

洋服も着物もマリアは美しく着こなしている。

 

豊かな黒髪がマリアのトレードマークで、堂々としていながらも品がある。マリアはその後、人の憎しみに手を貸すようになり、マリアに魅せられた人がどんどんと側に寄って来る。明智さんはそれを止めようとするが、マリアは強く己の道を進んでいく。

 

ところで、本書にはおまけのページがあり、著者の日常について描かれている。その中でこのお話がちょっと気になった。

 

著者は宮崎県のご出身で、食のこだわりなどについて描いているのだが、気になっているのはおやつの内容である。

 

なんと九州の方はあまりおせんべいを食べないらしい。そしてお餅系のおやつを食べるらしい。そういえば宮崎空港にもあるからいも団子は私もものすごく大好きでデパートの九州展などがあると必ずチェックしている一品だ。確かに九州はどこに行ってもお餅系のおやつが美味しい。

 

周りに九州の方が何人かおられるので、この件ちょっと追求してみよう。