Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#925 いつかは自分の城を持つ!~「一級建築士矩子の設計思考 1」

一級建築士矩子の設計思考 1』鬼ノ仁 著

家について。

 

4月は異動の時期であり、移動が増える。会社によって内示のタイミングは異なるし、最近は敢えてこの時期の異動を避ける会社もあると聞く。しかし公務員の方々はたいてい4月が人事の時期だからやっぱり4月は人が動く。日本の場合、本腰入れて仕事に掛かる体制が整う頃にゴールデンウィークがある。転勤してきた方もやっと一休み付けるタイミングかと思うが、今年はコロナ禍の反動もありGWは賑わいそうな予感。

 

この頃「将来どこに住む?」という話をする機会が増えた。本当は若いうちにがんばって家を買っておくべきなのかもしれないが、転勤族はそれがなかなか儘ならない。持ち家があることで転勤対象から外れるように配慮してくれるなんてことは無いし、持ち家があるためにフットワークが重くなる場合もあるだろう。しかし、この頃は家があればなあ、なんてことを考えるようになった。

 

そもそもは周囲の外国人が立て続けに家を買ったことが持ち家を考えるキッカケとなった。日本に住み始めてからの期間も長く、すでに永住権を取得し、着々と準備を進めていた人も多く、日本人の私がいつまでも賃貸で良いのかな?など考え始め、今まで支払った家賃だけでも結構な金額だったりするぞと俄然持ち家が欲しくなってきたのだ。ローン組むならやっぱり若いうちだなーとか、東京もどんどん地価あがって来ているしやっぱり今か!など買うべき理由も多々あるのだが、「どんな生活がしたい?」が具体化していないせいで二の足を踏んでいる。

 

それにしても、日本はものすごく簡単に永住権を与えるようだけれど、それでいいのか?という別の問題で悶々としている。というのも、どう考えても不正しているような人があっさり「永住権持ってます」と言うのを聞き、国益になる人物かどうかをもっとしっかり調べて欲しいと切望する。

 

持ち家について考えていた時、たまたま本書が目に入った。今なら1巻目が無料で読めるとのこと。早速ありがたく拝読。

 

主人公の矩子は一級建築士の資格を取得し、今まで勤めていた建築事務所から独立した。もとは飲食店だった所で建築事務所兼立ち呑み屋を運営している。事務所のお隣にはスナックがあり、たまにマダムが遊びに来る。まずはこのマダムの弟さんの物件の話からストーリーはスタート。

 

弟さんは地元に家を建てる予定があり、図面が上がったと姉に連絡をした。なんとなくその話を矩子に伝えると、ぜひ図面が見たいという話になり、さっそく披露することとなった。その図面を見た矩子は、この物件の危なさを建築士の立場から具体的に説明し、マダムはそれに大変驚く。

 

このマダムの服装といい、むやみに汗だくなところといい、なんとなく内容に期待できない感を抱いていたのだが、読み進めるうちに理由がわかった。服装はスナックらしさだけれど、この汗だくな理由はマダムが地震を経験していたことに由来する。住んでいた家屋が倒壊し町が廃墟に化した記憶が、矩子の言葉に「危険な家」を連想させたからだろう。

 

家はまず安全であるべきで、そのために多くの決まり事がある。建築だけではなく管理についても紹介されており、内容は結構重厚だ。そして建築家ってかっこいい!なイメージがますます高まるストーリーとなっている。

 

家は一生ものの買い物である。高額だし簡単に買い替えることができない。万が一リフォームで心機一転を図ろうとしても、掛る金額は数百万ならまだしも、数千万掛かる場合が殆どだ。建築について知っていれば、自分が家を持つときに避けるべきことや加えるべき点が見えてくるだろう。そんなさわりを知るにふさわしい一冊。