Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#811 不思議な力と家族の絆~「北北西に曇と往け」

『北北西に曇と往け』入江亜季 著

アイスランド

 

10月に入り、やっと読書の秋らしくなってきた。山積みの紙の本を読むべきなのだが、なんとなく仕事の本に目を通したくない。読まなくてはならないことはわかっているのだが、どうも手が伸びないのはなぜだろう。

 

ということで、マンガを読んだ。マンガが読みたい気持ちになって、気になっていたものをまとめて購入した。本書はそのうちの一つ。読み始めて気が付いたのだが、購入したもののほとんどが北欧を舞台としていた。意識してのことではなかったはずなのだが、もしかすると北欧行きたーい!という心の声なのだろうか。

 

本書はアイスランドが舞台となっており、風景も雄大な自然が多く描かれている。アイスランド、名前の影響からか氷で埋め尽くされた寒い国を想像してしまうのだが、温泉もあるし、年から年中雪に埋もれているわけではないそうだ。本書もまずは雪のない平野を走る絵から始まる。

 

主人公の御山慧は17歳。日本人だが祖父はフランス人のイケメンだ。どういうわけだかアイスランドに住んでいる祖父と同居しつつ、御用聞きのようなことをしている。慧の両親は事故で他界し、弟はまだ日本の親戚とともに暮らしている。

日本人と言うにはスタイルもよく、彫りも深い。黒髪なので日本人らしく見えるところもあるにはあるが、このスタイルは日本人には無理だなあ。

 

ところで、今年からやっとコロナ禍から解放され、海外出張が増えている。今時点で今年は5か国に出かけているが、久々に思い出したことがある。背の高い欧米の方を見ていると、姿勢の良い方が多い。背が高く、背筋がすっと伸びている。猫背の人ももちろんいらっしゃるが、ほぼ自力で歩くことが難しい年配の方だった。慧のスタイルの良さを見て「そうだ、私も気を付けなくては」と姿勢の大切さを思い出した次第。

 

ストーリーに戻ろう。慧も祖父もちょっと特殊なタイプの人間である。家系的に第六感のようなものが著しく発達した人が現れるようだ。祖父と慧の力は本来意思疎通ができないものと心を通わせることができる。祖父は鳥、慧は機械だ。ちょっと不思議なストーリーなのだが、この二人ならできそう!と思わせる説得力がある。

 

 

そんなある日より弟の三知嵩と連絡が取れなくなった。弟は日本に暮らす親戚の家で暮らしているはずだ。しかし家の電話も、叔父叔母との連絡も途絶えてしまう。心配になった慧は祖父とともにすぐに日本に帰国した。

 

成田に到着し、すぐに叔父の家へ向かった二人が見たものは、家の前に立った「貸家」の看板だった。一体何があったのだろうか。不動産会社へ向かい、なぜ貸家となっているのか、いったい何があったのかを確認。そして二人は三知嵩が慧に会うためにアイスランドに向かったと知った。

 

この弟の存在がこれからのキーになりそうな予感。とても評価の高い作品なので、続きを読みたいとは思うが、もう少し時間がたってからにしようかな。

 

#810 知性がのり移る時代小説かも~「眠れない凶四郎 3」

『眠れない凶四郎 3』風野真知雄 著

十手を。

 

今読んでいるシリーズもの。これがもう面白過ぎて止まらない。夏休み今すでにカウントダウン状態なのだが、この本のおかげで会社のことを思い出さずにいられるほどだ。

 

とにかく、人が良い。キャラクターが魅力的で「できる」感があちこちに散りばめられており、なぜか読後に達成感がある。まるで自分までできる人になったような感じ。

 

3巻目、ついに源次は正式な岡っ引きとして認められ、凶四郎より十手を預かった。これには奉行である根岸肥前守の一言が原因となっており、源次の活躍を認め「少し早くてもよい。十手を渡してやれ。」の言葉に凶四郎も源次も次の一歩を進むこととなった。

 

相変わらず二人は夕方から翌朝まで、夜回りの業務を請け負っている。毎日いろいろな街を歩き、遠くから町方の姿が見えるだけでも夜の事件が格段に減っているようだ。単にその姿が悪事を抑えるだけではなく、凶四郎の推理が理にかなっており、実際にいくつもの事件を解決しているからだろう。そもそも凶四郎でなければ気が付かないであろう事件の糸口もあったことから、すでに凶四郎が江戸の夜にもたらした安心感は大きい。

 

凶四郎は凶四郎で、「もしお奉行なら」と根岸の考え方を踏襲することで成長しているようなところがある。そして3巻目ではついに小さな小さな変化から大事件を解決してしまう。しかもその事件は凶四郎の殺された妻、亜久里の事件にもつながっていた。

 

そのきっかけは本当にかすかなもので、一瞬表に現れたような微小な証拠であった。凶四郎だからこそ感じることのできた「気」の違いとも言えるだろう。凶四郎の推理はいつも静的だ。情報に流されることもなく、地に足がついた捜査というべきだろうか。まずはしっかりと仮説を立て、その可能性を一から探り、そして動く。

 

例えば身内がからむ事件というのはどうしたって個人の感情が動いてしまう。たとえ同心という立場でいても、江戸時代には身分制度もありなかなか落ち着いて対応することは難しい。しかし凶四郎は「私」を抑え、すべてを事件の解決に傾けた。その心の強さも並ではない。

 

加えて知性だけではなく剣の腕もある。今、源次は十手を受け取ったが、彼ももとはやんちゃで慣らした腕がある。二人の動きはすでにあうんの呼吸ができており、たった一度だけ凶四郎が妻のことで理性を失いかけた時も源次がすぐに救いの手を差し伸べた。

 

この二人の様子が読み手にやたらと自信をつけさせ、爽快な気分をもたらす。ああ、これはまだまだ読みたい作品。

 

#809 フィンランドの雰囲気満載~「ホテル・メッツァペウラへようこそ」

『ホテル・メッツァペウラへようこそ』福田星良 著

フィンランドの雪。

 

あと数日で終わってしまう夏休み。気が付けば10月に入っているにも関わらず、未だ晩夏のような日々である。今年こそ秋冬のコートを新調したいと思っているのだが、未だ夏バテのようなだるさが抜けずでショッピングに出る気力もない。いちぢくばっかり食べてます。

 

今まで衣類もオンラインで購入していたのだが、結局購入前に試着したほうが効率がよいと感じるに至った。というのも、サイズが合わないとか、思っていたのと違うとか、不良品だったなど、返品対応するのが面倒だ。加えて、ネットだと余計なものを買ってしまいがちで、結局それが返品したくなるような品の場合、クローゼットの肥やしにもならずただただ場所を取るだけとなる。なんとなく着れそうと思っても今まで絶対に袖を通すことがなかったことから、実際に品物を確認してから買うことに決めた。オンラインでの衣類購入は結構気力と体力と時間がかかるし、無駄にしたお金も多かったかも。

 

コートのことを考えながら、そうだ買っておいたマンガを読もうと考える。いつもは1巻目を購入して面白かったら続きを買うようにしているのだが、今回はなぜか間違えて4巻目を先に購入してしまい、結局現時点で発売済の1巻から4巻までをまとめて購入することになった。でも結論としてこれは買って正解の作品でした。

 

舞台はフィンランドラップランド。雪が多く、オーロラが見えるような所だ。お客はそれほど多くない。料理長のクスターと館長のアードルフの二人が営むホテル・メッツァペウラの前に、ある日一人の男が佇んでいた。男に気付いた二人はすぐに外へ出て何用かと尋ねるも、その男は目の前で倒れてしまう。

 

すぐに中に入れて手当をするが、男は金もなく泊まるところも無いという。困った人を助けたい質の二人は彼に食事を与え、体を温めろと言う。そう、フィンランド人にとって体を温めるとはサウナのことである。男は言われるがままにサウナに入ろうとするが、その体には鮮やかな彫り物が施されていた。

 

聞くとまだ17歳で名前はジュン。アードルフが荷物をこっそりチェックすると、ジュンのカバンにはお菓子と日本のパスポートとぼろぼろの人形が入っているのみだった。しかし二人は何等かの事情があると見、ジュンをここで働かせようと決心する。

 

なぜフィンランドの山奥に日本人の男の子がたった一人で倒れそうになるまで歩いていたのか。これはストーリーのキーになる部分なのだが、ヒントとしてジュンは施設で育ったこと。そして母親に手を引かれて施設に入ったこと。その母親はフィンランド人であったこと、ここまでをメモとして残しておく。

 

とにかく驚くべきは本当にフィンランドにいるかのような、何とも言えない臨場感。きっとフィンランドについてものすごく調べておられると思うのだが、文化背景をイラストにするのは難しいことだろう。きっとフィンランドに住んで10年!とか、フィンランド研究の教授とかでもなければ違和感なく、ああこれこそフィンランド!と大満喫できること間違いなし。はじめて「かもめ食堂」を見たときのような、一発でフィンランドを好きにさせるような内容になっている。

 

これから先の流れが楽しみな作品。

#808 頼りになる相棒~「眠れない凶四郎 2」

『眠れない凶四郎 2』風野真知雄 著

相棒。

遅めの夏休みを満喫中。例え在宅勤務と変わらないような日々であっても、家族といるだけでリフレッシュになるからありがたい。休みに入ってから咳も少し収まってきたし良いこと尽くしなのだが、すでに帰って働く気ゼロです。

 

さて耳袋シリーズの新しい主人公である凶四郎は、妻の死後、夜眠ることが出来なくなった。おとり調査をしている時に出会った源次を下っ引きとし、江戸の夜を守る仕事についている。夜回り先生みたいな立場といえるだろうか。

 

この捕り物のみに集中しているストーリー、今までの妖要素が少ないことから逆にものすごく新鮮に感じてとにかく面白い。耳袋シリーズを読んでいた方がより楽しめると言えば楽しめるかもしれないが、30冊以上の膨大な量になる。捕り物に集中して読むのであれば、この凶四郎から読み始めるのもアリかも。

 

根岸肥前守は南町の奉行を務めるが、とにかくなんでもお見通しである。すべて本人の経験と学びから得た知恵によるものだが、捕り物のあらすじを報告しただけで、謎が解けてしまうことも多々だ。妖談シリーズより根岸の周りを同心の椀田と根岸家の家来である宮尾が守っているが、この凶四郎もなかなか腕が立つ。

 

まず、強い。己の剣の道を極めており、三日月のように刀先を動かす手法は南町では栗田の次と言われている。そして賢い。本人は意識していないかもしれないが、深く深く考えるたちなのだろう。ちょっとしたことにすぐに気が付き、罪の芽を大きくさせない他、事件の調査でも他人が見逃すような小さなフックに異変を感じ、するすると事件を解き始めるようなタイプである。

 

夜回りとなり、凶四郎は源次とともに大晦日も町を歩いていた。この日は深川や日本橋を歩いていたのだが、寺などないはずの地域を歩いていたにも関わらず、なぜか二人の耳に鐘の音が届いた。しかもその鐘の響きはどうやら移動しているらしい。

 

この「いつもと違う」を凶四郎は事件の糸口とみているので、もちろん鐘を探した。その鐘の音は美しく、わざわざ外に出て聞いているものも多い。しかし除夜の鐘よりも早い時間の鐘の音に凶四郎は異変を案じて町内を歩き続けた。

 

源次も勘の良い男だ。凶四郎が教えたわけではないのに、怪しいものを尋問する際はさっと動いて自然と退路を断つ場所に立つ。もともとはやんちゃな男で地元では悪さを重ねてきたようだ。そして駕籠を担ぐ仕事を始めるが、相棒の病により今は凶四郎のところで下っ引きをしている。父は幼い頃に鬼籍に入り、今は母との二人暮らしだが、その母がどうしても凶四郎にご挨拶をと言ってきた。

 

ちょうど近くを歩いている時に母親が営む煮物屋へと顔を出すと、意外なことが告げられた。なんと源次の亡き父親も十手を預かっていたという。源次の機転の良さは父親ゆずりかと納得した凶四郎。聞けば源次の父親は栗田の父親から十手を預かったとのことだ。これはますます相棒として十分である。表立ってのことではないが、源次については根岸もその活躍を認めているようなところもあり、源次の相棒っぷりがこれからますます楽しみになってきた。

 

このエピソードがあってから、ますます凶四郎と源次のコンビが頼もしく感じるように。南町奉行所には辰五郎のように地元の尊敬を集める者から、その義母で捕り物が好きすぎてついに江戸初の女親分となったしめなど面白い人物が目白押しだ。きっと源次なら彼らともうまくやっていけるに違いない。

 

凶四郎の妻の事件を解決すれば、凶四郎の夜も安寧なものになるのだろうか。いつか夜の眠りが訪れるのだろうか。とにかく楽しみなシリーズ。一気に読むことにしよう。

 

#807 夜の江戸を回る~「眠れない凶四郎1」

『眠れない凶四郎 1』風野真知雄 著

新シリーズ。

 

これは一体なんだろう。咳だけが続く風邪、そろそろ4週間目に突入だ。咳止めの薬を飲んでいると、異様に喉が渇く上にものすごく太る。初期に比べると随分収まったのだが、一度咳が始まるとなかなか止まらない症状は変わらない。そして、こういうのは副交感神経というのだろうか。体が温度調整が上手に出来ていない時、咳がものすごくでる気がする。例えば暑いと体は感じているのに自分自身はそれほど暑さを感じていないとか、寒く感じているのに実はそんなに外気の温度は低くない場合などだ。あとは湿度かな。湿度高いと暑く感じるものだし。

 

さて、今年に入り耳袋シリーズを読んでいるが、本シリーズはその中でもまたいくつかに分かれている。この間まで読んでいたのは妖談シリーズで、本書から新しいものとなった。つながっているのは根岸肥前守が奉行を務める南町奉行所が主人公ということである。

 

今回あらたに主人公となったのは、土久呂凶四郎という何とも言えない名前の同心である。ある日、出会い茶屋での殺人現場に行った凶四郎、なんともむごい現場に犯人を仕留めてみせると心に誓う。そして被害者の女性の着物がどこかでみたことがあるぞとうつ伏せになっていた被害者を仰向けにさせた。顔を見て驚愕する凶四郎。なんとその女性は妻の亜久里であった。

 

亜久里と凶四郎は結婚してまだ1年ほどで、二人の年齢は10歳以上離れていた。亜久里は裕福な旗本の出で、本来身分的に足軽同然の同心などへ嫁ぐことはない。ところが、奉行所内の知り合いから勧められ、凶四郎は亜久里との結婚を快諾した。

 

旗本の娘でありながらも、どこか町娘のようにざっくばらんな性格で、武家の娘らしく凶四郎が帰った時に三つ指ついて出迎えるようなことは一切なかった。料理の腕が良いわけでも、器量よしでもない。しかし確実に凶四郎は亜久里との生活を楽しみ、亜久里を愛していた。そのことを凶四郎は亜久里の死によって改めて気付かされたのである。

 

それからだ。凶四郎は眠れなくなった。夜が深まれば深まるほど目が冴える。酒をあおっても全く眠りは訪れない。そして陽が昇る頃にやっと眠気が訪れる。これでは同心の仕事どころではない。しかしなんとか奉行所にも行っていたが、ある日夜食に庶民の通うような鮪屋で酒を飲んでは眠り、起きては飲みをやっている時、目の前に根岸らがいた。根岸は部下や岡っ引と食事をしていた。

 

驚く凶四郎。根岸は凶四郎を呼び、そして言った。「夜回りの同心をやってはくれぬか」それから凶四郎は眠れない夜に仕事をし、昼は奉行所の長屋で眠ることとなった。丁度坂巻が根岸の駿河台の本宅への配置となり長屋が空いたことから、凶四郎はその部屋へ収まる。

 

同心には相棒が必要で、その相棒は岡っ引きという。ある日の調査で凶四郎は駕籠屋に行った。おとり調査で町人の次男坊のような恰好で駕籠屋へ近づいた凶四郎だったが、誰もが凶四郎が同心であることに気が付かない。たった一人、源次という男だけが凶四郎の正体を見破った。

 

源次は駕籠屋で働くが、現在ともに駕籠を担ぐ相棒が病に倒れうまく仕事が回っていないようだった。源次の賢さに一目置いた凶四郎は、岡っ引になることを打診し、ともに夜の街を回ることにする。この源次がなかなか良い味を出しており、続きを読むのがなんとも楽しみ。きっとすぐにも十手を手にするんだろうなとわくわくしている。

 

しかし眠れないというのはつらいことだ。私が今飲んでいる咳止めは秒で眠くなる。凶四郎が眠れなくなったのは妻の事件が未解決であることが大きく影響している。心の傷を抱えつつ、凶四郎が活躍してくれることを望んでしまうのは、耳袋シリーズファンとしては当然のこと。

 

妖談より事件の解決に絞った捕り物のほうがテンポよく進んでいくような気がする。こちらもたった数冊のシリーズなので一気に読んでいきたい。

 

#806 自分だけのCozyな空間を求めて~「家が好きな人」

『家が好きな人』井田千秋 著

5人の暮らし。

 

今週、思い切って夏休みを取った。本宅に戻り、ゆったりと読書しながら好きなものを食べ、自由を満喫する予定だった。しかし在宅勤務ができるシステムのあれこれが休みの日でも元気に稼働しており、Teamsが鳴りっぱなし。電話も止まらず、すぐに対応しないでいると今度はSNSが山盛りに。これ、皆さんどう対応しておられますか。つくづくヨーロッパのホリデーのシステムが羨ましい。9月の頭に引いた風邪もまだまだ残っていて咳が止まらないし。

 

さて、この頃まとめて購入したマンガを読んでいるのだが、本書は何かの本を購入した際に次に読む作品として紹介されていた一冊だ。評価もものすごく高く、普段はKindle使いの方が書籍版を購入したくらいとのコメントに早速読んでみる。

 

タイトルから私は家の中にいることが好きな人のお話だと想像した。確かにインドアを楽しむ人たちが描かれているが、純粋に「家」という建物が好きな人への本でもある。

 

登場人物は5名で、それぞれ一人暮らし。そしてちょっと古いタイプのアパートに住んでいる。たたみのある部屋をそれぞれのセンスで洋風インテリアでまとめている。Cozyな感じに満ちた部屋だ。

 

例えばこちらのカエさんは押し入れを寝床にしている。

いいなあ、こういう狭いところ大好き。押し入れの隅に座って本を読みたい気分になる。このバスケットも素敵だし、狭いが快適な空間に見えてきた。

 

ちなみにカエさんのおうちの間取りはこんな感じ。

こうして5軒分のお部屋が紹介されており、全てのページが柔らかい色のカラー仕上げになっているため、見ているだけでちょっとした癒し効果があるようだ。

 

全てのお部屋が広くはなく、雨の日や雪の日などにおこもりしたくなるような心地よさがある。暑い日はベランダに出てお茶を飲んだりもできるし、四季に合わせた自分らしさというか、ヤドカリの貝を想像させるようなほっこりした時間の流れが見えてくるようだ。

 

自分の暮らす空間を考える時間はとても楽しい。ああしよう、こうしようと考えるだけで、幸せな気分になるのはなぜだろう。こんな空間なら、日々落ち着いたマイペースな生活ができるかも!という夢を見られるからだろうか。

 

秋におすすめな一冊。

 

#805 地獄健在! 安定のおもしろさです。~「出禁のモグラ 1」

『出禁のモグラ 1』江口夏実 著

好きすぎる。

 

日ごろあまりテレビを見ないのだが、なんとなく音が欲しい時に必ず見る作品がある。

 

セリフ暗記するぐらい好き。これをBGMにしていると、なんとなく作業も進むし、気持ち的に落ち着いてくるのです。Netflixで見れるのでぜひどうぞ。Huluにもあったはず。

 

その江口夏実さんの次作が長く気になっていたので、まず1巻を購入した。「鬼灯の冷徹」はとにかくアニメの声優さんが完璧で、マンガを読んでいる時も声優さんの声で脳内再生されるほどに、これ以上ないだろうと思える声優陣だ。本書も絶対にアニメ化されると思うので、声を想像しつつ読んでみた。

 

安定の地獄つながりというか、怪談にありそうな世界がキャッチーなセリフと抱負な笑いに満ちている。

 

文芸学科文学専攻児童文学ゼミの真木と八重ちゃんは、ある日飲み会の帰りに空から降って来る広辞苑を見た。

そして、その広辞苑は歩いていた男の頭に激突した。なんで広辞苑が空を飛んできたのかというと、二人と同じゼミの勝ち組藤村が窓から放ったものと推測される。

 

頭に広辞苑が当たった男は、二人が救急車を呼ぼうとするも断固拒否。金がない、薬代が出せない、保険証がないと全力で拒否し、最後には立ち上がって走って逃げた。心配な二人は男の後を追い、どんよりした雰囲気の細道へと入り込んだ。

 

そして、男の家だというぼろぼろの「もぐら湯」へと招待される。

とにかく素直な真木と八重ちゃん。この謎の男のことを気に掛ける。この後もケガが気になり訪問するが、この縁が二人を謎の世界へと引き込んだ。

 

鬼灯の冷徹は地獄が舞台で、たまに現世へと出張へ出ていた。本作は舞台は現世で謎の男は地獄へ降りれないという。この男、名を百暗桃弓木という。百に暗と書いてモグラと読む。不思議なランプのようなものを片手に、現世で迷う灯を集める。

 

モグラとの出会いにより、二人は急に見えない世界が見えるようになってしまった。モグラの言う灯とは鬼火のことで、あの世への道標らしい。モグラはこれを取り上げられてしまい、本人曰く仙人とのこと。

 

急に不思議な世界にまきこまれた真木と八重ちゃん!学校にも変な教授がいたりともう続きを読まずにはいられない、1巻目から絶対に面白い予感しかしない、読むべきオーラがあふれている作品。早速続編買いに行ってきます。