Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#257 明治時代のロマンかー。

『 若様とロマン』畠中恵 著

若様たちの未来はどうなる?

若様とロマン (講談社文庫)

若様とロマン (講談社文庫)

  • 作者:畠中 恵
  • 発売日: 2018/08/10
  • メディア: 文庫
 

 

明治シリーズの3冊目。読んだ感じでは3冊で完結なのかな?という流れとなっている。舞台は明治で、1冊目と同様、若様たちがちゃんと巡査になってからのお話だ。2巻目は巡査になる前の流れが書かれているので1巻目より時が戻ったような内容になっている。

 

 

さて、3巻目でついに主人公たちの将来がどんどんと見え始めてくる。貿易商である小泉商会に出入りする若様たちと真次郎だが、近く戦争が起こるらしいという社主の言葉にそれぞれの道を模索し始める。

 

社主は戦争に反対する立場で、有力者を味方につけようと画策する。その作戦の一つが若様たちの婚姻にあった。元旗本の家々は明治の半ばになっても家臣がそのまま残っており、巡査の薄給では家族を養うので精一杯。嫁なぞ望めないと思っていた若様たちだが、社主や警視たちは若様へお見合いを進めてくる。みな、立派な家の娘さんたちで社主の側にぜひともついて頂きたい人たちに近しいお立場ばかりだ。

 

若様たちも実際に会ってみるとみなよい娘さんたちなので割とすんなりお見合いを受けていたりする。リーダー格の長瀬は最もお見合いが難しいと言われていたが、実際になかなかよいお話が届かない。

 

3冊目は今度は日本が大海を渡り学ぶ時代のお話となっている。真次郎はもともと外国人居住区で育ったので言葉で苦労することもない。育ての親ともいえる居住地の人々にアメリカ行きを進められていた。一方小泉商会の一人娘の沙羅はイギリスで経済の勉強をしたいと考えていた。女である自分が小泉商会を継いだとしても男のように店を引っ張っていくことができないと考えていたからだ。

 

どうにかイギリスに行きたい沙羅。それを支える若様たちの友情が一番の読みどころ。これで本当に終わりとなるんだろうか。帰国後の話も読みたいところが、戦争があることを思うとこの終わり方がベストのような気もする。

 

明治時代に学んだ方々のおかげで諸外国の知恵が日本語に翻訳され、今の私たちは大きな恩恵を受けている。その当時苦労して翻訳された言葉は今、すっかり定着して日常の言葉として使われているわけだけれど、日本のみならず漢字圏の国は日本人が翻訳した西洋語をまるっと使っている不思議。学校、社会、哲学などを言葉を自分たちの言葉と思っている彼の国の人々はきっと明治時代に苦労して学んだ日本人の努力などに思い至ることはないのだろうなと思うとちょっぴり苦いものがこみあげてくる。

#256 明治が舞台のお話を読んでいます

『若様組まいる』畠中恵 著

時が時なら若様だった元侍たちがどうやって巡査になったのか。 

若様組まいる (講談社文庫)

若様組まいる (講談社文庫)

 

 

しゃばけ」シリーズの著者の書いた明治時代を背景とした物語。こちらはその2巻目になる。

 


明治という時代はなんとも目まぐるしく新しい物が西洋から押し寄せたタイミングだったわけだが、この物語の中で出てくる「新しいもの」は、登場人物の一人である真次郎の作る西洋菓子のような気がしてくる。

 

そもそも小麦粉を上手に精製することだってこの頃からのことではないだろうか。オーブンだって西洋文化とともにやってきたわけで、火鉢でホットケーキくらいは焼けたかもしれないけれど、「お菓子」は美味しさだけではなく作り方の面でも革命的なものだったのだろうなと思う。

 

さて、2巻目は元は旗本家という育ちのよい若様たちがどうやって巡査になっていったのかというお話。巡査になった理由から巡査になるための道を説明している。試験の後には2か月あまりの研修を受けなくてはならないのだが、その中でいろいろなストーリがお目見えする。

 

若様たちの勉学の話がメインなので、真次郎のお菓子はあまり登場しない。差し入れでちょこっと出てくるくらいなので2巻目は料理目的で読んでいる私などにはちょっと物足りない感じがあった。

 

ちょうど3月は卒業シーズンでもあったことから街中で袴姿の卒業生を目にすることがあった。女学生の袴というのは明治からスタートしていたことなんだろうかと思うと感慨深い。

 

明治のストーリーは西洋文明がどっと押し寄せてくる姿を書いている作品が多く、「こうして今ができて来たんだな」と思わせるものが多い。この作品は警察組織のスタートのようなものが書かれている。とはいえ、江戸時代にも同心など悪を正す組織はあったわけだから全く馴染みのないものではない。恐らく縦割り横並びのスタイルを西洋から学び、国全体に反映すべき流れの第一歩と言ったところだろうか。

 

あともう一冊あるようなので続けて読んでみる予定。

 

#255 明治時代のお菓子事情、読んでるだけで食べたくなる!

 『アイスクリン強し』畠中恵 著

明治中頃、元旗本の息子たちは職を得た。

アイスクリン強し (講談社文庫)

アイスクリン強し (講談社文庫)

  • 作者:畠中 恵
  • 発売日: 2011/12/15
  • メディア: 文庫
 

 

この間のセール時に出ていた作品。そういえばこの作品は読んでいなかったなと購入してみた。

 

まず、結論から。私が時代小説というか江戸が舞台の小説を読むようになったきっかけは著者の『しゃばけシリーズ』に出会ったことなのだが、『しゃばけ』が好きな著者のファンにこの作品も『しゃばけ』同様に受け入れられるかと問うなら、私は「人を選びます」と答えるだろう。

 

現在シリーズ3巻まで発売されているところを見ると、ある一定のファンはいるのだと思う。ただ、『しゃばけ』を超えることはないだろうなと思った。なぜなら、想像を掻き立てるキャラ数で圧倒的に『しゃばけ』に負けているからだ。今までいくつかの著者の作品を読んできた。この作品はその中で唯一江戸が舞台ではないという特徴がある。

 

明治も半ば、すでに日本の身分制度が変わった頃が舞台となっており、主人公のミナと呼ばれる皆川真次郎は士族の身分でありながら親が早世したことから築地にある外国人居住区で育つというバックグラウンドを持っている。ミナの職業は西洋菓子職人で、唯一の日本人の友人たちは時代が時代なら「若様」と呼ばれるべき元旗本の息子たちだ。彼らは巡査として東京の町を守っている。そう、江戸ではなく東京のお話なのだ。

 

舞台が一気に明治のモダンで少しずつ西洋を取り入れる時代を描写しているので、目まぐるしい時代の変化とともにストーリ自体もどこかドタバタしていてる。ただそれは「そういう時期だった」と言われれば納得できるものだし、登場人物が20代の元気いっぱいな巡査たちで事件が起きる設定になっているわけだからドタバタもしよう。

 

ただ今まで江戸を舞台とした著者の作品に比べると登場人物の個性が薄いような気がしなくともない。むしろ『しゃばけ』が強烈すぎるのだろう。妖がこれでもかと登場する長崎屋とは違い、ミナが営む風琴堂には生身の人間しか出てこない。判を押したような江戸の侍文化が明治に入って数十年ですっかり変わっていたとも思えないので、巡査たちのキャラもなんとなく似たり寄ったり、ぼんやりな人もいる。

 

他の登場人物として小泉商会という貿易商がある。もと士族の身分だがうさぎを売って巨万の富を得、その後自らを成金と呼ぶ一家だ。社主はビジネスマン風に書かれており、ミナや巡査たちとも親しい娘は明るく活発で美しい女学生として登場する。『しゃばけ』の特徴たっぷりな妖にはない普通さ(とは言ってもそこは明治なので今に共通するものではないが)に「しゃばけよりつまらない」と思ってしまう人がいてもおかしくないかなと思った。

 

個人的にはミナの職業が西洋菓子職人ということで、シュークリームやエクレアやシードケーキなど、築地の居住区にいた外国人調理師や育ての親代わりのイギリス人たちから学んだお菓子の話が相当面白かった。そうか昔はこうやって作っていたのだな、などなど料理という観点から見ると大変に面白い。シードケーキなんて早々知っている人も少ないだろうし、あの時代にスパイスを喜んで食べたのか!というのも楽しい発見だった。

 

ということで、料理好きなら別の楽しみを感じながらストーリを楽しめるはずだ。残りの作品も早々に読んでいきたいと思う。

#254 漁師天使たちのYoutubeが気になるw

 『聖☆おにいさん 19』中村光 著

天部がまた・・・。

 

普段欲しい本はすぐ買ってしまうかリスト内に保管して後に買うようにしているので、Amazonの表紙の内容を下までスクロールしてチェックすることはほぼ皆無だ。珍しくなぜかたまたま下にある購入履歴からのおススメ商品が目に入り、19巻が出ていることを知った。

 

今回も立川でのバカンスは続いている。いつものように天使たちも独自の天然さがものすごく、Youtubeで活躍など笑える設定が多かった。

 

笑いと言えばずっと気になっているブッタが連載している「悟れ!アナンダ」(通称悟アナ)だ。天界あるあるらしく、思い出し笑いをしてしまうほどに面白いらしい。ブッタ的には連載のネタを考えるのも苦行の一種な上に、それを掲載している天部の面々の押しの強さにもほとほと疲れてついに連載を終えることにした。

 

ところが、天部が勝手に予告編をアップしてどうやらまた描かなくてはいけない状況らしい。天界あるあるがあまりにも気になるのでどこかでスピンオフ的に出してくれたらと思わずにはいられない。

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天使のYoutubeだが漁師兄弟の「やってみた」シリーズがかなりそそる内容だったのだが、ほんとこんなネタを出し続けていけるのも日本だからだろうなーと誰もが思っているに違いない。19巻までイスラムが登場しないのはやはり触れてはいけないという思いがあるからなのか、それともブッタとイエスとの絡みはないとの判断をしてとのことなのだろうか。

 

それにしても毎回最初から最後まで楽しすぎるなんてすごい作者だなと思う。

#253 ドイツのハチミツを食べてみたい

 『ねこと私とドイッチュラント 4』ながらりょうこ 著

トーコさんのお姉さんがベルリンにやってきた

 

金曜日の夜にぼんやりとBBCを見ていたら突然画面が変わってエジンバラ公の訃報が流れた。週末はずっとBBCを見ていたのだけれど、同じような内容が繰り返されているとはいえ長く画面に見入ってしまった。

 

エジンバラ公はヨーロッパの貴族の中でも子供時代は大変苦労した方だということを知った。父親はデンマークの王室とのつながりがあり、母はビクトリア女王とのつながりがある。ロシアやギリシャの貴族王族とのつながりもある家系だというが、ギリシャ生まれて間もなく、ギリシャを追われる身となりヨーロッパを転々としたらしい。エジンバラ公は母の実家のあるイギリスで教育を受けるのだが、姉はみなドイツ人に嫁いでおり、まさにヨーロッパの貴族社会の代表のような方だった。

 

あと2か月あまりで100歳のお誕生日であったとのこと。BBCの訃報を伝えるアナウンサーの悲痛な様子にイギリスの皆さんの心に寄り添い涙した。この頃はハリー王子一家の反撃というか一方的な攻撃などがあり、国民はより王室に寄り添っていたのではないかと思う。BBCを見ている限りではハリー王子はほとんど登場しない。嫁に至っては一度も出ていない気がする。

 

少し気分を変えたくて明るい話題の本を選んで読んだ。こちらはずっと楽しみに読み続けているベルリン生活を書いている作品だ。

 

主人公のトーコはマンガを描きながら猫のムギくんとベルリンで暮らしている。今回はトーコのお姉さんがベルリンにやってきて2人と1匹で町を観光するという内容だ。ベルリンは何と言っても「壁」である。イメージとしては戦争にかかわる歴史や冷戦の歴史の残る街という印象が強いのだけれど、思えばその由来や歴史について知るところは少なく、このマンガで興味を持つに至った。

 

今回もトーコさんがドイツ風の食事を紹介しているのだが、ホットケーキなど定番のものもドイツ風となるとちょっと違って見えるのが印象的だった。ドイツといえば門倉多仁亜さんが真っ先に思い浮かぶ。門倉さんのレシピ本はしっかりと「独逸」と言う感じでどっしりしたものが多いのだけれど、トーコさんの作るものはもう少し今風というかドイツじゃなくてもありそうだけれど、ドイツの食材で作ったらこうなります!な仕上がりに見える。ただ、ドイツの食材があまりに美味しそうでより滋養のありそうな味を想像してしまった。

 

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こちらはドイツのハチミツ。ベルリンには蜂がたくさんいるとのこと。蜂は今とても注目されている。なぜなら、蜂がいなくては花粉を運んでくれる虫が居なくなり花が咲かなくなってしまうからだ。受粉できなくては実を結ぶことができない。緑を保つには蜂の存在が欠かせないわけだが、それだけではなくハチミツという楽しみもある。

 

ドイツのハチミツは常温でも固まってしまうとのことだった。純度が高いと固まるのだそうだ。日本で売っているハチミツは固まらないものが多い。使いやすいは使いやすいけれど、それは混ぜ物がされていたり純度が高くないということなのだろう。加熱殺菌も同様に固まらないのかもしれない。

 

ドイツはオーガニックの食材や化粧品も多く、非常に気になっているブランドも多い。最近はコロナ禍でヨーロッパのものが入ってこないことも多く、とにかく早く以前のような安全な日々が来るようにと願うばかりだ。

 

 

 

#252 深川を歩きたいけれど、今はまだ無理だよね

 『損料屋喜八郎始末控え 4』山本一力 著

深川を陥れようとする勢力と戦う喜八郎。

牛天神 損料屋喜八郎始末控え (文春文庫 や 29-26)

牛天神 損料屋喜八郎始末控え (文春文庫 や 29-26)

  • 作者:山本 一力
  • 発売日: 2020/10/07
  • メディア: 文庫
 

 

先回のセールの際に購入した1冊。去年の年末に購入しようとしたのだが、なぜか一瞬画面からKindle版が消えていたようでタイミングを逃していた。

 

主人公の喜八郎は損料屋を営む一代限りの元同心で、今は八丁堀に協力しながら深川の安全のために知恵を絞る。精悍で渋い喜八郎の様子にいつもドラマ化すればよいのにと思わずにはいられない。

 


今回は損料屋の向いの質屋より息子を預かり商人として鍛えるという役割の他、いつものように降りかかる深川の危険を察知して活躍する。秀弥と喜八郎の仲は相変わらず大きな進展はないのだけれど、二人の間の信頼感はより強固になっているようだ。

 

秀弥の営む江戸屋はこの作品でも大切な役割を果たしており、密かに人が集まる時に利用されている。使用人もみなしっかりと教育されているので気持ちよく時間を過ごせるだけでなく、絶対に外に内容が漏れない。想像する限り、しっかりと磨きあげられた家屋にセンスのよい調度品が飾られ、乱れのない着物姿でここで働くことに誇りを感じている有能なスタッフたちと、なんとも理想的だ。そこに美しく凛とした秀弥がいる。

 

今回の敵はなかなか手ごわかった。深川を食い物にしてやろうと裏で操る商人と、いち早くそのたくらみに気が付いた喜八郎との戦いだ。悪役は喜八郎がその悪を見抜くことに気が付いておらず、最後まで戦いは続く。

 

その中で江戸屋に目を付ける敵に喜八郎はより一層、町を守ることに集中する。喜八郎の下で働く者たちも今回は大変な努力のもとに一歩一歩と真実に近づくのだが、どこかどっしりと構える喜八郎の男気にハラハラするどころか安心して読み進められた。

 

ところで喜八郎の損料屋は蓬莱橋のたもとにある。蓬莱橋は今は名前を変えて巴橋と言うらしい。一度ゆっくり歩いてみたいと思っているのだが、コロナ禍が終わってからの楽しみとなるんだろうな。

 

タイトルの「牛天神」は文京区にある北野神社のことで、牛をなでると願いが叶うと言われているらしい。ここにもいつか行ってみたい。 

#251 お気に入りのカフェでの日常ってこんな感じかな

 『鹿楓堂よついろ日記 14』清水ユウ 著

スイのいとこも登場。

鹿楓堂よついろ日和 14巻: バンチコミックス
 

 

しばらく前にセールだった時に一気買いしたシリーズもの。続巻が出たので購入。

 


鹿楓堂はなにもかもが美味しいことで地元に人気のカフェ。大企業の御曹司のスイが親の会社ではなく祖父のカフェを引き継いだ。そこに調理人として中学時代の友人と、パティシエと、バリスタが集まり4人で切り盛りしている。

 

今回は新しいキャラとしてスイのいとこも登場し少し話に展開がありそうな感じだったが、ストーリーが緩やか過ぎてちょっぴり慣れのようなものが出てきてしまった。キャラとしてはバリスタのグレが一番面白いのだけれど、恐ろしくて話題のグレのラテアートも今回は1度しか出てこない。

 

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ものすごく中途半端な崩れ具合。

 

このストーリーは上の絵の下の方にある女の子二人がお誕生日に抹茶でチーズケーキを作ったというお話。抹茶のチーズケーキとはあまり聞かないけれど、作り方も出ているので気になる方は14巻を購入するといいかも。

 

個人的には全体的なゆるさに飽きがでそうなので、次作の購入は少し様子を見ようかなと思う。それにしても家の近くに鹿楓堂のようなカフェがあったらどんなに良いだろうと思う。ふとゆっくりしたい時、おいしいものを食べたい時、ふらりと立ち寄れるようなお店があればいいなあ。最近はチェーン店のカフェなら各駅ごとにあるけれど、そのお店の味や雰囲気を楽しめるカフェに巡り会いたい。