Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#478 同心と与力、また一つ学びました ~「いわいごと」

『いわいごと』畠中恵 著

麻之助のやもめ生活はどうなる。

 

週末、読書環境について考えた。相変わらず未読の本は山積みだし、断捨離で増えたスペースが広がったわけでもない。が、どのような生活をするかだけは事前に決めておこうと思い、ここで一つ目標を定めた。これからは「勉強する環境、読書する環境を整える」という目標を持って整然とした住環境作りを目指したい。

 

というのも、最近家で集中して仕事や勉強することが苦痛になり、ついスマホに手が出る瞬間が増えているからだ。ドラマや映画を見るのならば、その内容から何か学ぶところなどあろうものだが、スマホ片手に時間を過ごしている時は惰性で何かしているに過ぎず、ただただ時が過ぎていくのがもったいない。

 

まず、食卓として使っているテーブルでの勉強や読書を止めることにした。何かを学ぶ時は小さなロ―テーブルがあるので、それを使うことにする。そもそもその為に購入したものなのに、なぜかずっと使わずにいたのでこれからはONとOFFを区別する意味でも場所を替えることでメリハリを付けたい。この小さなロ―テーブル周りからどんどんと快適な空間が広がるように断捨離を決行する予定だ。本当は読書用のアームチェアも欲しいし、本格的な本棚も欲しい。でも今後のことを考えるとやはり今一番必要なことは断捨離だ。

 

ロ―テーブルにお茶と茶菓子を用意して、ゆっくり本を楽しんだ。本書も随分前に購入してあったのだが、電車の吊広告を見て「あ、そうだ!」と思い出した次第。今は文庫版になったのでお得です。

 

先回はそろそろ麻之助にも縁談があってもよいのでは!と言う話になり、親友吉五郎の縁戚で料理屋の娘であるお雪へ麻之助は縁談を申し出た。

 

 

ところがそのお雪、深川の大水で記憶を失ってしまい麻之助のことを覚えていない。ただ、例え記憶が無かろうとも麻之助を邪険に扱うこともなく、麻之助はのんびりお雪の返事を待っていた。

 

今回の一番は、親友吉五郎の家である相馬家が同心から与力に昇進したことではないだろうか。同心から与力へ昇進することなどほぼほぼない、と言う話をどこかで読んだことがあったので、相馬家は滅多にない特別中の特別ということだろう。それが面白くてなんだかワクワクしてしまった。

 

吉五郎はもともと養子で、相馬家の一人娘、一葉を娶って家督を引きつぐということになっていた。ところが、先回のお話のこと、まだ年若い一葉はイケメン商人に一目惚れ。それがまたあまり仕事のできない四男坊で結局その恋は実らなかった。ただ、これを機に父、小十郎が「相馬家の跡取は吉五郎である」と宣言したことから、吉五郎が一葉を娶らずとも相馬家を継ぐことが決まる。

 

小十郎はイケメンな上に仕事ができる。その上自分に厳しく、他人にはもっと厳しく鬼のように恐ろしい。麻之助などはいつも怒られてばかりだし、小十郎と共に暮らせる人はお江戸広しと言えども吉五郎以外にみつからないほどだ。その吉五郎も堅い。曲がったことは大嫌い。だから相馬家は人気があった。今回与力となり、一葉も大人びた所が垣間見えてきたので、これからの縁が楽しみになる。

 

タイトルのとおり、本作は麻之助の後妻の話が中心だ。前妻のお寿ずは子を宿したが、お産の際に赤ん坊とともに世を去った。大きな悲しみに暮れた麻之助だったが、二親を始めそろそろ嫁取りを…と周囲が心配しだした途端に話は大きく動く。お雪はどうなる?この表紙の女性は?とどきどきしながら最後まで楽しんだ。

 

やっぱり畠中さんの作品はほっこり感が格別だ。