Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#903 数学、思っていたのと違う!~「数字であそぼ。 2~10」

『数字であそぼ。 2~10』絹田村子 著

数学の深み。

 

3月は思いがけない仕事が増え、焦燥感に襲われている。1日40時間あったらいいのにと言ったのは誰だっただろう。倍速で働けたら全て時間内に終わるのだろうかと変な妄想ばかりしている。

 

そもそも、私はあまり数字に強くないので資料を作りながら都度計算をし、出てきた結果に悩むのが常だ。これが数字に強い先輩らだと、基礎となる数字だけを見てぱっと答えを出してこられるので羨ましい限り。そう、数字に強いというのは私にとっての憧れである。そもそも高校時代に文系を選択してしまったので、高校2年あたりから理系の授業が全く無くなったことも大きく影響しているはずだ。数字と戯れることなく社会人になってしまったので、この弱みは自力でカバーしなくてはならない。

 

先日本書の1巻目を読み、数学の勉強の仕方というか、数学頭の人ってどんな風に考えているのかを垣間見れたような気がした。

1巻目が面白かったので続きを読もうと一気に購入。現在は10巻まで出ており、Kindle Scribeのおかげでマンガ読書も楽々です。

 

10巻までの流れを簡単にまとめると、めでたく吉田大学(京大をモデルにしておられます)に入学した横辺建巳は一度見たものを忘れない能力を持っている。大学に入るまではそのメモリー能力のおかげでかなり勉強ができた。日本の最高学府の一つである吉大に入学後もその栄光は続くかに思われたが、数学の授業で挫折。初めての「わからない」を経験する。

 

そのショックは思いのほか長引き、結局2年の間下宿に引きこもる。しかし学校から来た手紙を読み、重い腰を上げて登校。そこで友人北方に出会った。北方くんは入学後の2年間をスロットにつぎ込んでいた。あまりに没頭していたので学校に行く暇がない。学校に行っていなかったという共通を持つ二人は同志としてともに授業を受け、要約引きこもりから脱出。

 

しかし一緒に授業に出るようになっても、横辺くんにとっては数学の授業の内容が把握できない状況は変わらなかった。教科書を暗記しても自分の力で考えるだけではなく、高校まで学んできた数式を解くというものと理論を考えるというのは別物である。北方くんの支えにどうにかがんばってついていっているが、やはり試験は難関だ。

 

そこで過去問を売買している猫田くん出会う。猫田くんは過去問を売る際にクイズを出す。その回答までの時間で売価が変わるというシステムを取っている。猫田くんは学生の割には裕福な生活をしているが、これは過去問売買だけのものではない。横辺くんが過去問を購入したことをきっかけに3人の交友が始まる。

 

そもそもなぜ横辺くんが引きこもり生活へ突入したのかというと、同じ授業を受けていた同級生はその授業に満足した様子を知ったからだからだ。その同級生というのが夏目まふゆ。天才であり変わっている。いや、かなり変わっている。そしてそんなまふゆにも友達がいた。それは横辺くんや北方くんを驚かすのだが、唯一の友達平坂世見子ちゃんは至って普通。なぜまふゆちゃんと友達なのかがわからないが、神社の娘さんでたまに巫女さんとして家を手伝っている。

 

そんな5人に加え、吉大のキャラクター濃いめな教授陣が数学に真剣に取り組んでいる。2年を無駄に過ごした横辺くんだが、その後しっかりと専門分野を決め、今はなんと大学院にも通っている。5人が全員大学院に進学しており、博士課程どころか教授になるまでマンガが続きますように。

 

とにかく、読むと前向きになれます。天才でも苦労しているのがよくわかる上に、天才はただ単に賢いだけではなくとにかく勉強している。その様子を見ているだけでモチベ上がります。

 

10巻まで通して読んで思うことは、やっぱり「動物のお医者さん」と和山やまさん作品を読んだ時の感じに似ているかな、ということ。ここに「京都」という要素が加わるので万城目学さんや森見登美彦さん要素を加えた感も同時に味わえる。

 

11巻が出る前に著者の他の作品も読んでみようかな。