昨日の寒さのせいか頭痛が抜けない。今年に入り急に低気圧の影響をもろに感じるようになってきているのはなぜだろう。しかし、低気圧による頭痛は1杯のコーヒーで改善することを知ってからは割と楽になってきた。
さて、あふれんばかりの未読の書籍、とにかく一冊でも多く読まなくては!と焦りを感じている。というのも、欲しい本がどんどん増えてきているからだ。欲しいからと次から次へと購入していたらあっという間にまた新しい未読の山が出来てしまう。手元の未読本をいち早く読んでいくことを目標にKindleの中からこの本を選んだ。
読み始めてすぐに既視感。この間読み終えたばかりの本に設定が似ている。
全てがかぶっているわけではなく、物語導入部の主人公の紹介で設定がそっくりなことに気が付く。登場人物が共に大学院の民俗学研究室に入ったばかりの女の子で、フィールドワークに出ているという設定のみが類似している。前書は民俗学について教授の指導のもとに学んでいくというスタイルだったが、本書は研究の内容を自ら探るべく現地を回っているという点が大きな違いだろうか。
主人公の雅は4月から民俗学の修士課程に進む予定で、3月の春休みを利用して研究室に挨拶に出向いた。憧れていた教授は来年1年は授業がなく、准教授と助手の先輩に挨拶をする。お決まりの質問かもしれないが、「何の研究をするのか」と聞かれ、咄嗟に「出雲」と答えてしまった雅は、新学期が始まる前に出雲に行ってみようと計画を立てる。
出雲と言えば私もいつか訪れてみたいと思っており、本書を購入したのもそのタイトルに惹かれたこそに他ならない。これは全くもって勝手にイメージしているに過ぎないことなのだが、私たち日本人のルーツを古事記などに見るとして、その神話のような世界に今も訪れることができる「発祥の地」的な場所といえば、九州(高千穂とか)や山陰(出雲とか)を真っ先に思い浮かべるだろう。太古の昔、どのように国があり育ってきたのかに想いを馳せると出雲は必ずや訪れたい、絶対行きたい場所なのだ。
雅は学部時代に民俗学の授業も取っていたので基礎知識は豊富だ。本書を読んでいくと、神殿の作りや神々の名前の違いなど、興味深いことが多々あった。今回雅は3泊程度の予定での出雲入りだったが、いざ現地に入ってみると思った以上の情報量に俄然研究意欲が湧いている。准教授がこれまたちょっと冷たいような、厳しいような、前書の古屋准教授とこれまたキャラが似たできるタイプの男性で、研究における貴重な意見はこの人物から投げかけられている。
雅の出雲の度は、出雲四大神のおわす神社が中心だが、なぜかここに殺人事件が絡んでいるのが謎。黄泉と現世を繋いだ場所、そこで事件は起きる。櫛や簪がキーワードになっているが、1巻でこの設定が必要だったかどうか最後まで疑問が残った。
雅は結局1泊追加して奥出雲に行くことにするのだが、1巻目ではそこまで到達せずに終わっている。ちなみに、こちらが雅が巡った神社たち。
雅は松江に連泊していたが、車があればそれでも良いかもしれないけれど、公共の交通手段での移動に限定される場合はどこに宿を取るかは考えなくてはならないかも。
それにしてもこのところ神社寺社巡りが人気のせいか、民俗学をテーマにする作品が思った以上に多いのかもしれない。コロナが落ち着けば思う存分国内旅行を楽しめると思うが、それまでは小説で疑似体験するのも良いかも。