Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#895 負の感情をシステムでカバーできれば嬉しいかも~「とにかく仕組み化」

『とにかく仕組み化』安藤広大 著

会社のシステム。

 

4年に一度のうるう年。朝からあれこれ面倒なことが発生している。午前のうちに片付いたので良かったが、明日からの3月はかなり忙しくなりそうなので今日の午前はウォーミングアップと思っておこう。

 

去年の秋くらいから週に5回、30分のオンライン英会話を始めている。私は英国アクセントの教師を選んでレッスンを受けており、ほぼおしゃべりみたいな感じではあるがそれが結構楽しかったりする。昨日、こんな話を聞いた。その先生には他にも日本人の生徒がおられ、その生徒さんから「日本は4月の年度初めに合わせて大きな組織改編や人事異動がある。」という話をされたそうだ。なんでもその方の同僚でチームとして一緒に働いていた方が異動となり、代わりにいらっしゃる方は今までそのチームが関わるビジネスとは別畑の方が抜擢されたとのこと。また一からのスタートとなるのでそのことが心配だというお話をされたらしい。

 

先生は日本の異動制度のことを知り、ものすごく驚かれたようだ。私にも「日本の企業はみんなそうなのか」と聞いてきた。先生の主張はこうだ。「専門性をもっと尊重すべきなのではないか。全く新しい業務というのも会社としては価値あることかもしれないが、その方個人の成長や今まで築き上げた専門知識が今後の業務に活かせないのではないか。」確かに欧米には終身雇用という概念もあまり無いようだし、国によっては個人の専門性を磨いて転職していくことでステップアップや昇進をしていくような面もある。

 

一方で日本は多くの部署を経験して個人の技能を高めつつ、将来的に上の立場になった時にそのビジネスについての知識から正しい判断ができるようになる。ただ、何百人もの同期がいるなかで役員にまで上り詰める人はたった数人、管理職だってそう多くはないはずだ。しかしいろいろな部署での経験は個人を育てる場合もある。興味がなく、その存在自体よくわからない状態であっても、仕事として学んで行くうちにどハマりすることだってありうる。

 

今、ちょうど本書を読んでいるタイミングだったので企業のあり方についての話はいろいろな立場からの意見を聞く様で楽しかった。

 

事前にしっかりチェックすれば良かったのだが、本書は3部作からなっており最後に読むべき3冊目。書店で見つけた時に「仕組み化」が目に入り購入したのだが、その時手に取った理由は日頃の仕事の効率を上げたかったからである。業務の総量は変わらないどころか増えるのに対し、効率化が追い付かないので残業ばかりが増えていく。今はとにかく業務をシンプルに行う仕組みを作るべきで、本書から何等かのヒントが得られるかもしれないとタイトルだけを見て購入した。

 

著者は「識学」という組織運営のコンサル会社を運営しており、識学は意識構造学という学問から取った造語とのことだ。会社は組織であり、組織とは同じ目的を目指している人によるまとまりや構造のことである。よく社員の一人一人を組織の歯車に例える例があるが、全ての構成員が同じ熱量で動くことで企業の活動は円滑なものとなる。歯車自体の大小の差はあれ、上手く組み込まれていれば組織は問題なく動く。

 

本書での仕組みというのは、その歯車を動かすための大きな仕組みであり、私が求めていた個人の効率を上げるための仕組みとは若干異なる。もちろんパフォーマンスが上がるような快適な仕事環境であれば、個人の能率も必ず上がる。例えば管理職やマネージャーらがどのように部下や業務に対峙するべきか。それをシステムとしてどのように築いていくべきかを学ぶことができる一冊で、決め事としてはその業務の中に感情を入れないことが必須である。

 

人間関係が業務に与えるストレスは大きい。私もついつい「嫌い」を表に出してしまうことがある。社内の人間を信用できないということがそもそもおかしいのだけれど、こういったマイナス感情もシステムの中で決められた流れに沿うことで解消できるのであれば自ずと能率は上がるはずだ。

 

確かに一緒に仕事したくないと思う人との業務も淡々と効率よくこなすことができれば、本人にとってもプラス。会社にとってもプラス。上の役職に就けばまた違う悩みもあるのだろうけれど、感情をコントロールしつつチームで働き利益を生むというのはどこの会社で働いていても同じだろう。ノイズになる感情をプラスに変えられるという点に関心が湧いた。

 

そして会社の目標や理念、知っていますか?という部分も耳が痛い。とっさに口に出たのは中長期の目標であり、会社が創立されたころの社是ではなかった。そうか。会社の未来を決める時、この理念が基準になるわけか。

 

本書のシリーズ、最終巻から読んでしまったが他の書籍も読んでみたい。