Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#695 教科書的な一冊です~「成功するアライアンス戦略と実務」

『成功するアライアンス戦略と実務』野本遼平 著

協業の方法。

 

最近仕事で読んだ本を記録。

 

ビジネス上のトピックは本来新聞などから知識を吸収したり、日頃の業務から学び得ていくものが多いと思うのだが、この頃はネットで知り得る情報が多いせいか、敢えて「新聞を読む」という行為を選択しないようになった。加えて自分の仕事に関連して何か疑問が生じた場合も一番最初の行動が「ググる」になり、そこでヒットしてきた情報を読み、書籍のおススメなどが出てきたらそれも読む。社内で教えを乞うことはかなり後の段階だ。これではいけないのかなーと思いつつも、ここ数年はこんな流れで仕事をしている。

 

さて、本書は何か調べものをしていた時にヒットしたもので、企業と企業が何等かの形で協働することを決めた時、その具体的なあり方をどのように持っていこうか、どのように後々会社を育てていこうか、という時に読むべき一冊である。もっと簡単に言えば、あるビジネスを行うのに単独で行うよりも、もし良きパートナー企業と共に行うことで何等かのメリットがあると判断するなら、一緒にスタートするという選択肢も無くはない。もしくは、逆に一人では不安だし、お金もかかるし、なんかわかんない部分もある。だからパートナーを探したいという企業にも方法を見つけるヒントが多いことだろう。

 

本書は昨今のDX化により新しい技術やシステムや商品が多産される時代のニーズに則して書かれた部分が多いが、一般の消費財を扱う企業にも共通する点も多々だ。経営戦略として「アライアンス」という言葉が俎上に載ることの多い部署であれば、必読とも言える。他社と「お得意先様」とか「仕入れ先」という関係から一歩進んだビジネス展開がアライアンスであり、方法としては「提携」があるだろう。その提携にも一部のビジネスを切り取った場合もあれば、株を入手するなどして資本に参入し会社の中に入り込む方法もある。または手を繋いで新しい会社を設立する方法があるが、それぞれ業務提携、資本提携、ジョイントベンチャー(合弁)などどいい、それぞれの長所短所をしっかりとらえた上で検討しなくてはならない。

 

この頃のニュースを見ていると、まだまだ学生さんが起業したてのベンチャー企業が新技術を開発したり、ビックリするようなおもしろいプランをたった数名の企業さんが立ち上げたりする。彼らがもう一歩大きく成長するにはやはり資金が必要になり、その方法として協業を選択するにあたり大手企業と手を結ぶこともあるようだ。母体の小さなベンチャー企業は、提携により大手に吞み込まれてしまうという心配がある。なかなか回避し難い問題ではあるが、それには契約の段階で事前にあらゆる未来の不安を想定し、契約書に縛りを持たせる以外の方法はないのだろうか。

 

本書はそういった注意事項も含まれており、大手側、ベンチャー側、どちらの立場からも役に立つ。またこれから相手先のバリュエーションを行い、実際に協業へと進む場合はさっくり流れをつかむ上でも読むべき一冊。

 

他社との新規ビジネスの形態としての「提携」を学ぶための教科書です。