Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#885 「農業」「畜産」「北海道」←ここに気になるキーワードがある方、読んで!~「百姓貴族 8」

百姓貴族 8』荒川弘 著

こんな貴族にならなってみたい

 

都内の観光名所というかショッピングスポットを案内していたのだが、今週はアジア圏の観光客の多さが目立っている。週末の銀座の歩行者天国は日本人率10%くらいだったんじゃないだろうか。オーバーツーリズムを実体験している気分である。旧正月のパワーに飲まれています。

 

さて、お客様がDuty Freeの手続きしている間の待ち時間、カフェでこちらを読んでいた。著者の作品の中では『銀の匙 Silver Spoon(1) (少年サンデーコミックス)』に続いてこちらの作品が好きなのだが、その理由はリアルな北海道、リアルな畜産、リアルな農業を垣間見れるからだ。

 

著者のご実家は北海道の十勝エリアにあり、家族で畜産業と農業を営んでおられる。ご両親はすでに80代とのことだが元気に現役で農作業をなさっておられる。パワーいっぱいのお父様が本シリーズのキーパーソン。それでも体力が続かないということから数年前に畜産業は廃業されている。ご家族みなさんのキャラクターが際立っており、驚きの連続。ただその姿が全て牛で描かれているせいかオブラートに包まれたかのようにちょっとソフトに描かれている。

 

今、どの地域でも高齢化は問題であり、加えて後継者問題についての悩みも良く耳にする。荒川家では体力の低下により畜産を手放すことで業務を軽減されたそうだ。

ここにある内容は、かなりシビアな現場の声である。思い出せばここ数年でもバターが足りないだの、牛乳が余っただの、需要と供給のバランスが少しでも崩れてしまえば後にしわ寄せがやってくる。その被害をもろに受けるのが生産者であり、規模の大小にかかわらず受けた負担を回復させるのには数年の月日がかかっている。

 

本書、ぱっと見ただけでも文字数が多いと思われるはず。とにかく得られる情報が参考書レベルなので読むにも時間がかかります。たとえば、こちら。


今年に入ってからもすでに何度かニュースに登場していた鳥インフルエンザ。ニュース番組での説明並みの説明がある。コロナがあった事から、感染症や免疫について関心を持つ人が増えてきているが、本書、一読の価値大いにあります。

 

あまり仕事の内容に触れたくはないのだが、今担当している業務・商材に食品がある。料理大好き、食べるの大好きなので唯一積極的に頑張れる仕事のうちの一つなのだが、家庭のテーブルに食べ物が上がるまでの過程は「収穫する⇒売る」が基本ではあってもその行間にある様々は決して軽視できないものなのに一般の人が目にする機会は少ないと思われる。この業界の一部を垣間見ていることから、私にとっては本書は参考書的な位置づけにあり、問題提起にもなっていたりする。

 

農業畜産に関心なくともストーリーも面白いし、北海道好きな方にもおススメできる。あと右下にパラパラ漫画があって、これもかわいいのでチェックしてほしい。

 

ということで、食品業界の方は一読の価値あり。