Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#397 農業の魅力引き立つ!~「百姓貴族 7」

百姓貴族 7』荒川弘 著

北海道は十勝での農業+畜産のおもしろさ。

 

食をテーマとしたマンガはたくさんあるけれど、生産部分に注目した作品の中でも荒川弘さんの「銀の匙」はためになる上に内容も面白く大好きなシリーズ。「本当はもう少し続いたのかもしれないな」という思いを読者に抱かせたのは否めなく、とはいえ著者のご家族の闘病生活を支えるために筆を置かれたらしいという情報が流れてからというもの、いくらファンとしても無理強いはできない!と一日も早い回復を祈っている。

 

本書は「銀の匙」と同時期に書かれたもので、作者が酪農と農業を営む北海道のご実家での日々を綴った作品である。農業のリアルというか、そこまで言ってもいいの!?と思わず心配になるような裏話も出てきたりと実際にこれから北海道でがんばりたいです!という人には必読かも。

 

大体2年に1度単行本が出るペースなので、今回久々に1巻から読み返した。農業は日本のどの地域でも見られる第一次産業ではあるけれど、酪農というとそうはいかない。牛も肉牛や乳牛と違いがあることすら知らない人もいるだろうし、牛乳、バター、生クリーム、チーズなどなど乳製品のできるまでを考えるに至っても、乳牛を育てるというところから全てがスタートしているといっても過言ではない。製品となるまでは壮大なスケールのお話だということがこのマンガからひしひしと伝わってくる。

 

とはいえ、キャラクターの面白さが際立ちすぎで農業の大変さにも笑えてしまう。荒川さんは5人兄弟の4番目で上3人はお姉さん、そして弟さんが一人いる。家業を継ぐのがどなたなのかはわからないけれど、みなさん実家を支える重要な働き手であるのは間違いない。今はどの分野でも承継問題に悩む企業も多いと聞くし、子供の将来の夢がyoutuberとかなので、第一次産業の成り手探しは厳しいものだろう。

 

そんな厳しさだけではないよ!おいしいところもありますよ!を垣間見れるのがこの作品で、タイトルにもあるようにまさに「貴族」ですから!

 

食べ物は出来立てが一番美味しいというのは誰もが知るところだけれど、「取れたて」が一番美味しいというのは耳にしたことはあっても体験できる人はほんの一握りにすぎない。それは現場におられる方の特権であり、収穫して秒速で食べるなんていうのは本当に本当に贅沢の極みでまさに「貴族」と言えるのかも。

 

最近は食べ物のトレーサビリティが問題になったり、食品ロスなどにも注目が集まっている。もちろん荒川さんはそのあたりにもしっかりしたご意見をお持ちで、生産者側からの視線で物を仰るから説得力もある。

 

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牛肉にこんなサービスがあるなんて知らなかった!そして皮まで利用しているなんて知らなかった!ちなみに、このお財布はバンビという会社のシリーズだそうです。

 

さとりbambi-craft.com

 

作る側の思いがこれだけ詰まったものを粗末にしてはいけないということ、時に忘れてしまうけれどこの作品でまた心新たに産業に貢献しなくてはという気持ちになった。