Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#865 聡実くん、再び!東京での新たな挑戦のためにファミレスへ ~「ファミレス行こ。上」

『ファミレス行こ。上』和山やま 著

聡実くん、再び。

 

この間、仕事の本を買いに行った時、この本が目に入り「当分新しい本は買いません」という新年の誓いをあっさり破るに至った。だって楽しみにしていたのです。

 

本書を読む前に必ずおさらいをすべきはこちら。


主人公の岡聡実くん、全作では中学生から高校生になり、本作では大学生になっている。もともと大阪に住んでいたが東京の大学に進学したようだ。そしてもう一人の主人公の成田狂児もなぜか東京にいる。彼は自ら「ブラック企業」と称するこういうところに勤めている。

ちゃんとお名刺お持ちです。

 

さて、あんなにかわいらしかった聡実くんは、大学生になりファミレスでアルバイトをしている。家は蒲田とのこと。そして狂児もまた蒲田近くに頻繁に出没しているようで、それは聡実くんにも「なぜ?」と聞かれるほどの頻度だ。


なるほど。お仕事だったのですね。ご出張ということだろう。ブラック企業も大変である。しかしなんだかんだとつながっているところが二人の不思議さ面白さであり、こうして淡々と中華食べている絵もシュールで笑えてしまう。

 

聡実くんがバイトするファミレスはなぜかものすごく人同士がつながっていて、狂児を取り巻く人々が次々と登場し、それが聡実くんの周りの人ともクロスしてきて変なつながりが出ているのも面白い。

 

こんな感じで記者にこっそり写真まで撮られている始末。

 

とにかく本書のシュールさは前作から読んで初めてじっくり浸れるというもので、このアンニュイな感じを実写版の映画(前作のほうです)はどのように表現するのかが気になるところだ。これは相当の演技力が必要とお見受けするし、本書の読者であればかなりシビアな目で鑑賞すると思われるので、演出も大変なことだろう。なんだか映画も見てみたくなってきた。

 

さて、聡実くんはものすごくがんばってバイトをしている。そして毎日小銭を貯めてとある目標を達成したいと試みている。加えて、ブラック企業にお勤めの狂児とこうしていつまでもつながっていて良いものだろうか。すでに聡実くんは祭林組の皆さまとは面識があるので、ずるずると引き込まれてしまうのではないか。あれこれ考える。

 

そんななんとも言えない無表情な大学生になった聡実くんの様子が満喫できる本書、「上」とあるだけに続きもあるに違いない。このまま映画もシリーズ化されそうな予感。次作が楽しみでならない。