『いい湯じゃのう1~3』風野真知雄 著
熱海、箱根、草津、別府..... 温泉行きたい。
昨日、ランチの後に外を歩いていたら埃が舞い上がるほどに風が強く、目にゴミが入って涙が止まらなくなった。一緒に歩いていた同僚に「(ゴミが入って)目がゴロゴロするー!嫌だなあ」とつぶやいたら、「もう花粉来てるらしいよ」との返答。まだ1月半ばだというのに花粉の話なんて…。温暖化、本当に止めなくては、ですね。
さて、週末しっかり休んだはずなのになんだか体がスッキリしない。ここはリフレッシュが必要かと時代小説を読むことにした。というより、著者の作品を読むと笑える所が多いせいか、つい没頭してのめり込み、気が付くと気分がすっかり晴れている。今回もまたあっという間に読み終えられたのでシリーズ3冊をまとめて書き残してお置くことにする。
時は8代将軍徳川吉宗の頃。そして吉宗やその他の歴史上の人物が登場し、コミカルに描かれている。このタイトルでなぜ将軍?と思いながら読み進めると次第に温泉に浸かりたい気分がムクムクと沸き上がって来る。しかし平日にふらっと温泉に行くようなことはできないので、自宅のお風呂にエプソムソルト入れて我慢するしかないのだが、それでもかなりのパワーアップになった気がする。お湯の力、おそるべし。
なぜ湯なのか。吉宗は慢性的な超肩こり体質であった。しかも体が180cmを越えるがっちり体形で、体のツボがちょっと人とは違うところにあったりするらしく、普通の按摩程度では全く体が解れない。しかし吉宗には凄腕のお抱えの按摩師がいた。一代目には長く世話になり、この頃二代目が就任、一代目をしのぐ腕と言われたが、後任を育てる間も無く若くして事故に巻き込まれ他界する。それ以来、吉宗の体はガチガチに凝り固まっており、よって機嫌が悪い。
加えて、この肩こり体質のため、熱海からお湯を取り寄せていたのだが、なぜか穢れが生じたとしてこのお湯まで届かなくなってしまった。これでは体はどんどん悪くなるばかりである。
この頃、南町奉行所はかの有名な大岡越前が奉行を勤めていた。ものすごくフットワークが軽く、江戸の街を自ら進んで歩きまわり事件を未然に食い止めようと精力的に活躍していた。そんな大岡、なぜかお風呂が大嫌い。小さい頃のトラウマらしいが、この年になっても克服できずにいるらしい。そしてある日、銭湯で何やらおかしな光景を見た。
天一坊と名乗る山伏らが風呂上りに按摩を施し治療をしているらしい。最近上様の肩こりがひどいという話もあり、この山伏に注目していた大岡は天一坊の人柄に惹きつけられた。なんとも言えない気品、そして純粋な心に打たれるが、そのお付きの者から「実は上様のご落胤である」と聞かされて、不敬とは言えどこか納得してしまう。
これはただ事ではないと天皇直属の御庭番という伊賀者までをも投入し、その真偽を追及するというストーリー。今回、この御庭番が無類の温泉好きの爺さんで、湯の中では無敵だが湯からでるとめちゃめちゃ弱いというキャラも面白い。
とにかくあっという間に読めて合間合間に笑えるシーン多々と気分転換にはもってこいだ。やっぱり日本人は風呂に入ってこそ心も体も解れるというものです。