Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#836 江戸時代、娘時代は17歳まで。~「桜舞う おいち不思議がたり」

『桜舞う おいち不思議がたり』あさのあつこ 著

シリーズ2巻目。

 

年末年始、毎年有休を使って少し長めに休みを取ることにしている。まだ今年のスケジュールを決めておらず、思えばそろそろ予約しなくてはいけない時期となっていた。2024年の年末年始は暦通りであればあまり長い休みとはならないから、有休残も確認しつつ早めに決めなくては。

 

そして年末の読書予定もあれこれ検討しているところだ。未読の本がどれだけあるか、Kindle内の未読本も読みたいものがすぐに探せるようにしておかなくては。夏に山ほど購入した時代物小説もどんどん読んでいかなくては。

 

ということで、この間から読んでいるシリーズものの2作目を読んだ。

 

 

おいちは医者の娘である。父、松庵とともに菖蒲長屋に暮らし、町医者の父を手伝っている。母のお里はおいちが5歳の時に他界した。伯母のおうたがあれこれ世話を焼いてくれており、おいちは幸せな日々を送っている。

 

子供の頃のおいちには二人の親友がいた。おふねとお松、二人とともに大きくなったおいちだが、今は子供時代のようにいつでもくっついているわけにはいかない。それぞれが家を支え、仕事を持ち、一歩一歩大人への道を歩いていた。

 

なにより医者の仕事が好きなおいちは、今年17歳となるが嫁ぐことなど全く考えていない。ところが伯母はことあるごとに「女の幸せは嫁ぐこと」とおいちに言い、おいちはそんな気はなくとも、おいちを思ってくれている伯母に心からありがたいと思っている。

 

その伯母が倒れた。おいちには不思議な力があり、患者が来る時、それを予知することができる。この日も伯母が苦しんでいる予知夢を見た。そして本当に伯母は痛みに苦しんでおり、すぐに伯母の店から使いのものが松庵を呼びに来た。

 

伯母の病状は徐々に回復へ向かったが、しかし松庵にもまだ判明しない状況が残っていた。これは伯母の生きる力にかかっている。おいちの伯母はそこにいるだけでぱっと世界が明るくなるような、太陽のような人だとおいちは改めて思う。伯母がどんなに心強い存在であったか、いつも明るく強い伯母。自分に医学の力がもっとあればとより学びを深めたいという気持ちが強まった。

 

そしてこの2巻目はおいちの友情がテーマになっている。江戸時代は17歳までが娘と呼ばれ、20歳を過ぎれば嫁の行き先などほぼなくなったそうだ。今、17歳のおいち達、この1年で人生を決定する世代となった。大店の娘のおふねは昔からおっとりとしていてきっと親の進める男性へと嫁ぐであろう。お松は妹が二人もいるし、父親が酒に入り浸る生活が長く、母親代わりとして家を支えている。昔から妹そ育てるため、自分を犠牲にしていたから、きっと生涯父親の面倒を見て過ごすだろう。

 

そんなおいちの友人に事件が起きた。おいちはずっと家の稼業が忙しく、ここのところ仕事以外の余裕が取れずにいた。その間、友人たちは人生を変える大きな大きな事件に巻き込まれていたのだが、疎遠になっていたことをおいちは強く悔やむ。

 

本書は時代小説の中でも少し軽いタッチなので読みやすい。ただおいちが予知夢を見るということが本書の肝であるせいか、内容が行ったり来たりする所がラノベ感を生んでいるかも。

 

あと数冊、早い段階で読んでいきたい。