Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#834 久々の時代小説はさくさく読めるものを選びたい~「おいち」

『おいち 不思議がたり』あさのあつこ 著

医術と第六感。

 

ついに師走。本格的に1年の総括をスタートさせ、早々に来年の準備をしなくてはと思うのだが、どうも腰が重い。決して掃除が嫌いなわけではないのだが、他の欲望が多すぎて掃除よりそちらを優先してしまう。そして家の中の混沌化は進み、それがストレスとなって逆に動きたくない現象になっているのは間違いない。

 

週末、食材のストックをチェックした。賞味期限の切れたものを処分し、賞味期限切れ間近のものを食べ尽くそうと思っているのだが、何より驚いたのがお茶の量!私はとにかくお茶が好きだ。お茶は地域ごとに飲まれている種類に違いがあり、それぞれが深い風味を持っている。あまりの美味さについ購入してしまうのだが、それをいつでも自宅で楽しめるのは至極の喜びである。とはいえ、きっと1年分くらいの在庫に相当する量がストックされており、この頃コーヒー熱は落ち着いてきたものの、これでコーヒーにまで手を出していたら大変なことになっていたかも。緑茶などは鮮度が命なので早々に飲んでいたつもりだが、ちゃんとおいしいうちに消費したいと朝からすでに3杯目のほうじ茶を飲んでいる。

 

さて、ほうじ茶を飲んでいたら時代小説が読みたくなった。出張中は全く読んでいなかったので数週間ぶりだろうか。Kindle内の書籍も早いうちに読んでしまいたいので、シリーズものからこちらを選ぶ。

 

時代小説を読んでいるうちにそのスタイルもいくつかに分類されるような気がしてきた。本書はライトノベルに近い文体で、難しい単語や漢字はあまり使用されておらずさくさくと読めるタイプで、その手軽さが大きな魅力と言えるだろう。江戸時代の描写もさらりと書かれており、ストーリー自体は近代小説と変わらない。登場人物の名前がお梅だのお徳だのであるところに江戸風が残されているといったところだろうか。

 

主人公のおいちは町医者の娘である。父の松庵は元は幕府に腕を認められるほどの名医だったそうだが、母のお里が他界し町医となった。母方の伯母にも可愛がられ、おいちはいま父の手伝いをしながら医術を学んでいる。

 

おいちにはなぜかこの世のものではないものをうっすらと感じる力があるようだ。このあたりが少しライトノベル的なのだが、研ぎ澄まされた霊感ではなくこれから開花する展開なのか1巻目ではうっすらと何かを感じる、聞こえるようなところである。時代小説には岡っ引の親分が欠かせないのだが、もちろん本書にも登場。ということは、何か事件が起こるのかな?という予感が立つ。

 

おいちは今16歳で江戸の頃であれば縁談の一つや二つあっても可笑しくない年齢だ。そしておいちを溺愛する伯母が案の定大店との縁談を持って来た。後妻ではあるが、相手は薬種問屋で安定した暮らしが望めるという。しかし、おいちはまだ父のもとで学びたいのだ。医術を学び人を助けたい。その思いが強くおいちの胸の中を占めている。

 

父の松庵もなにか秘めた所のある人物で、娘のおいちにも過去を語りたがらない。そしてある日父のもとへ過去に命を救ってもらったという人物がやってきた。ここからストーリーは活発に展開することとなる。

 

本書、今現在5冊ほど出ているようなので購入してある分から読んで行きたい。