『眠れない凶四郎 5』風野真知雄 著
シリーズ最終巻。
連休、満喫しております。週休3日制とかにならないかな。少し室内を片付けて年末までに断捨離したい。そして断捨離が進んだら、読書用のカウチとランプが欲しいのです。
さて、最近読んでいるこちらのシリーズ。本作で凶四郎をメインとした捕り物ストーリーは終了となった。
思えば時代小説の困ったところといえば、タイトルだけでは読む順番がわからないこと。ところが本書はタイトルに番号がつけられており、タイトルにひねりを加えていない分内容がぐっと詰まっている。
さて、5巻目から続いている赤月屋の骨董品の売買には、赤月屋当主の眼識によるものが大きいということがわかった。骨董にしても、古本にしても、その物自体を鑑定するのは大変に難しいことである。ましては絵や書ともなると偽物も市場を跋扈しており、その価値どころか偽物かどうかを見極めることすら難しい。
しかもそれを30代そこそこの当主が行うという。一体どこでそのような知識を付けたのだろうか。そして、それらの品々はどこから流れてきたのだろうか。その一つ一つを探る南町奉行所の面々だが、楽翁こと松平定信が赤月屋から骨董品を購入していることから、南町に対し調査に対する圧力がかかった。
これは同心の凶四郎だけでは対応することはできない。そこで奉行である根岸肥前守が筆頭となり、本事件を追うこととなる。一体赤月屋の闇とはなんであろう。最後まで追い続ける奉行所の前に闇の中から光が浮かび上がった。
それにしても本作品が5冊目で終わりというのは単に根岸をサブにしてのスピンオフを続けることが難しかったからだろうか。それとも著者はやっぱり根岸びいきで「もっと根岸について書きたい」という思いが大きくなったからだろうか。
ああ、それにしてももう少し凶四郎の活躍が見たかった。次のシリーズでも登場してくれることを期待。