Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#816 お化けなんてないさ~「耳袋秘帖 南町奉行と大凶寺」

『耳袋秘帖 南町奉行と大凶寺』風野真知雄 著

新シリーズ。

 

夏休みを終え、3連休の間から少しずつ断捨離を開始している。とりあえず減らすべきはワードローブで、これを機に着たい服だけを持つようにしよう。あと会社に着ていく服は制服化しよう。肌のトラブルがあってからアクセサリー類を一切身に付けなくなったので雑貨類も整理。アクセサリーを身に付けない代わりにスカーフやマフラー類が増えているので収納を考えなくては。片付けても片付けても減らない気がするのはなぜだろう。

 

あとは本だなあ。山積みの紙の本はほとんどが仕事関連のもので「またすぐ必要になるかも」とそのまま山に積みなおす。仕事の本はなぜかその時に必要な情報のみが頭に残り、残りの部分はぼんやりと記憶の彼方へ押しやられる。でもそのぼんやり部分はちゃんと次に必要になった時、「あの本にあったはず」と教えてくれる。なので山は一向に減る気配がない。きっと賢い人なら1冊丸ごと記憶できるのだろうけれど、私の場合は読書を重ねることで知識を補うしか道がない。

 

さて、断捨離の合間に読書を。耳袋シリーズも最後の章に入ったというところだろうか。まだ全数手元にそろえてはいないのだが、購入した分から読み始めることにした。

 

この間まで主人公を張っていた凶四郎は役不足だったのだろうか、本作より主人公はお奉行である根岸肥前守へとカムバック。でもいつもの同心や岡っ引メンバーが登場するので続編であることには変わりがない。

 

今回はお寺のおみくじのことから話が始まった。題経寺という寺がある。ここで奇怪な事件が続いているとの町の噂があった。聞けばおみくじを引くと大凶ばかりでる。噂を聞いた寺の者がおみくじの中身を確認すると、ちゃんとそこには大吉も中吉もある。しかし引くとなぜか大凶しかでない。このことからいつのまにか寺は大凶寺と呼ばれるようになる。

 

ところで、江戸時代は寺社で起きる事件の管轄は町方ではなく寺社奉行が担っていた。寺社奉行は根岸のような旗本の身分ではなく、大名から選ばれた4名がこの役を受けていた。寺社奉行が管理することから町方は寺で事件が起きた場合、中に入ることすらできない場合がある。

 

しっかりした、しかも見える形での縄張りだけに町方は何ら手出しができず、情報すら得られない。しかし耳袋を書いている根岸の人脈は絶大で、今の寺社奉行にも知り合いがいた。その筋から少しずつ寺への距離を縮めていった。

 

相変わらず凶四郎は源次を連れての夜回り同心である。だいたい16時くらいに置き出して、それから町へと出かけていく。帰ってくる頃、凶四郎の晩御飯はたいてい根岸の朝ごはんと重なるのだが、この時に報告もかねてともに食事を取っていた。

 

今回の大凶寺の事件と並行して、凶四郎はお化けを演じるお梅という娘の話を根岸へ報告した。橋の傍の柳の木の下に髪を下ろして立っているだけの簡単なお仕事。しかし十分に迫力はあり、江戸の街を恐怖に陥れていた。しかし凶四郎の注意もあり、ちゃんと氏名や住所も明かしたことから夜回りは安心しきっていた。

 

ところが、そのお梅が大凶寺で切られたとの情報が入る。そこから事件が大きく動く。いったい大凶寺で何が起きているのか。根岸の推理が正しければ、ここに何等かの悪が絡んでいるという。その言葉を信じ動き出した同心と岡っ引たちだが、今回はその謎解きに非常に苦労が伴った。

 

現時点で南町奉行シリーズが最後の章らしいので、順に読み進めたい。