最終。
この週末、やっと秋らしくなったというか、長袖が欲しくなるような気温となった。しかしよくよく考えてみるともう10月半ばなわけで、暑い暑いと半袖で過ごしていた先週がやっぱり異常気象だったんだろうなと改めて感じているところだ。
さて、この頃読み続けていたシリーズもこれで終わり。
根岸肥前守が率いる南町奉行所は、根岸がこっそり書き溜めている「耳袋」という不思議な事件を書き溜めた記録のおかげで不思議案件もあつかうような印象が強くなっている。そもそもは南と北でひと月事に交代しつつ江戸の庶民を守っているわけなのだが、根岸がいることから南に対する印象はどんどんと変わってしまったようだ。
今回の事件も奇怪極まりないものだった。ある日、船に心中と思われる男女の姿があった。持ち物もなく一体だれかがわからない。すると野次馬の中から女の身元を知っているという声が出た。しかし、その女はすでに他界しているとのことで大きな騒ぎとなる。
加えて相手の男の存在は謎のままで、これまたすでに鬼籍に入った者かもしれぬと南町奉行所総出で捜査にあたった。もちろん岡っ引たちも街の中を走るのだが、その情報収集の過程で小さな不思議から大きな不思議まで、いろいろな話が耳に入って来る。
夜回り同心の凶四郎も昼の調査をフォローすべく夜の江戸を調べ続ける。夕方から仕事につく凶四郎にとっての夕食は一般の朝食の時間になる。根岸と凶四郎はそれぞれの夕食と朝食を囲み、その日の報告を行っている。そこへ岡っ引や根岸の側近たちも加わり、江戸の街の小さな小さな不思議を報告すると、根岸にはたちまち全ての点が線に変わっていくようだ。
今回もその一つの点と線から事件は解決に向かうのだが、今回も読み応えあり。このシリーズになってからストーリーが生き生きとしているように感じられる。
まだまだ続いて欲しいので、応援していきたい。