Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#800 雨が降ったら必ず傘をさす派です~「妖談ひときり傘」

『妖談ひときり傘』風野真知雄 著

鮮やかな傘の花。

 

やっとあれこれが追いつき始めている感じ。とはいえ、体はまだまだ疲れが抜けず、家に帰ってからもエアコン生活が続いている。

 

さて、この頃読んでいるシリーズもそろそろ終わりへ近づいている。一気に読んでしまいたいのだが、読みたい本が山積みで何を読むべきか迷うという幸せな日々だ。

 

今回の事件は妖要素よりも事件要素が強い。そして傘がキーワードだ。ところで、この夏に1か月ほどヨーロッパに出張していたのだが、その間毎日のように雨が降った。小雨の時もあれば、嵐のように風まで強い日もあった。日本から言っているメンバーはすぐに傘を差そうとするのだが、あちらの方は一向に傘を使う気配がない。ベビーカーを押すママさんたちも雨の中平気で歩いている。そこで考えた。日本は江戸時代にはすでに傘を使う文化があった。傘でおしゃれしようという文化もあった。もっと言えば、傘は宣伝にも使えたし、踊りの小物としても活躍した。

 

一方でヨーロッパはどうだろう。日傘をさして公園を散歩するシーンが映画やドラマに登場するし、イギリス紳士は傘を持って歩くともいわれている。でも、都市以外の街はどうだったのだろう。羊飼いや農業を営む人々は傘なんて使わなかったのかもしれない。それは日本でも同じかもしれないが、しかし歌舞伎などの劇の中で傘が盛んに使われたことから、はやりのアクセサリーとして広まった可能性も考えられる。しかし、なぜヨーロッパの人は傘を差さないのか。これは本当に謎である。

 

さて、その傘が事件に出てきたのは、雨の日の夜、橋を渡っていた者が何者かに狙われるところから始まる。目撃者によると、数名が一気にその者を取り囲み、色とりどりの傘に姿が見えなくなった。そして傘の面々が去ったところには、狙われたものがぐったりと倒れていたというわけである。

 

その傘が開かれた様子はものすごく美しかったという。まるで闇夜に咲いた花のようにぱっと開いてあっという間に散ってしまったかのような感じだったらしい。いったい誰がどんな目的で人を襲い続けるのか。しかも姿が隠されており、誰一人として犯人の顔を見た者はいなかった。

 

南町奉行根岸肥前守には、今、思うところがある。数年前から続いている闇の者の存在だ。次々と人を襲い、その手口は一貫しない。この傘の事件も同じで、同心と岡っ引の調査を聞いても一向に答えが見えてこない。

 

しっかし突破口を開いたのは根岸が妻が他界した後、長年つきあっている深川芸者の力丸と下っ引きのしめの女性二人だ。素敵な傘をヒントに探りを入れていった。

 

そろそろ終わりに近づいているぞ!というメッセージがあちこちに散りばめられている。ここは一気に読み終えなくては!