Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#646 毎年の冬の愉しみ~「いちねんかん」

『いちねんかん』畠中恵 著

両親、旅に出る。

 

毎年冬恒例の「しゃばけシリーズ」文庫版。

 

 

昨年は記念年だったことから外伝が出ている。そうかー。もう19弾目になるんですね。

 

さて、今回は若旦那にとって試練の1年であった。というのも、跡取りの一粒種である一太郎こそ世界の中心と力の限り甘やかし続ける二親が、遠縁からのお誘いで遠く九州まで湯治に出かけたからだ。それも1年という長きにわたる不在となる。そもそもその遠縁というのは母おたえの実母で大妖である祖母からの誘いであい、それを知らないのは父だけだ。

 

とにかく、若旦那は1年間、大店である長崎屋を守っていかなければならなくなった。早々体調を崩して横になってもいられないと本人はやる気満々。しかし若旦那を守る妖たちは「とにかく寝てろ」と相変わらずだ。しかし、店に出る必要がある以上、若旦那を一人にすることだけは無いようにと、若旦那が暮らす離れの妖2名が長崎屋の奉公人として働くという。もうそれだけでドタバタが始まるであろうことは容易に想像がつくのだが、今回はいつもと異なる流れもあった。

 

シリーズ19弾目ともなれば、若旦那も物語の中で数年は歳を重ねているはずで、今回は少し大人になった側面が処々に現れている。さすがにいつまでも兄や達に守られて倒れてばかりもいられないし、店の主としての役割を果たそうと気合を入れたことから、いつもより心なしか健康になったようにも見える。

 

「いちねんかん」というタイトルも時期的にふさわしく、いつも通りに味わい尽くし、年末を堪能致しました。