Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#591 江戸と寺社とスピリチュアルと~「東京でひっそりスピリチュアル」

『東京でひっそりスピリチュアル』桜井識子 著

東京にある神社寺社。

 

この頃、生活のリズムが乱れている。まず、海外からやたらと人が来るのでアテンド業務が続いた。その間の業務も滞るので、身の回りが常にバタバタしている。そこへ英国のエリザベス2世逝去の報道があった。時差の関係で夜中の時間についついニュースを見る日々が10日ほど続き、睡眠不足。先週の連休も全く自由にならず、やっと本日より遅い夏休みでございます。

 

本来はもっと早い時期に1週間まるっと休む予定でいた。そしてその際には絶対に部屋を片付けると決めていた。が、アテンド業務しているうちに「ああ、癒されたい」な気持ちがムクムクと湧いてくる。身体的にマッサージを受けて癒されるのではなく、気持ち的に癒されたい。座禅とかマインドフルネスとかがしたい。昔はよく週末になると近くの神社にお参りに行っていたのだが、今年に入ってその習慣が途絶えている。そうだ!お参りに行こう!と思っていた矢先、本書が目に入った。

 

アテンド時に書店に行きたいという方が結構いて、そこで少しだけ自由時間があった時に見つけた1冊。見るとKindle版があったのでそちらを購入する。著者の作品は以前に京都版を読んでおり、これで数冊目になるだろう。

 

スピリチュアルというと眉唾なところもあるのだが、著者は神仏について紹介していることが多く、いわゆる「パワースポット」として有名な神社や寺社以外をも網羅しているのが興味深い。確かに「神仏と話せます!」な内容に辟易してしまう方もいるだろうが、全く聞いたことのない神社のお話などは一つのガイドブックとして私は接している。

 

本書は東京の東側、西側、多摩地区、そして皇居にスポットライトを当てている。江戸好きとしては、昔からの歴史のある寺社が出てくると、うは~!と嬉しくなり、御利益うんぬんより江戸を体感したくて行きたくなってくる。本書はなんと皇居についても触れており、驚くことに外苑から祝詞を唱えることで神に接することができたとある。それが真実かどうかはさておき、やっぱり江戸城には陰陽師の手が加えられているというのは、スピリチュアル業界でも話題になるような「あるある」なのか!ということにちょっと嬉しくなった。

 

江戸城、今はすでに本丸は姿を消し、皇居内に跡地を残すのみだ。江戸城だし、今は皇居だし、恐れ多くて「見に行きたい」などと考えたこともなかった。中に入れることは知っていたし、定期的に一般開放されていることも知ってはいたが、私の庶民魂は「お城は遠くから拝むもの」と長く考えていたが、本書を読んで「一度行ってみようかな」と考えを改める。だって結界の中に入れてしまうのかも!なんですよ?江戸の繁栄に本当に陰陽師のような力が介在していたのだろうか、と日々妄想を繰り広げている身としては、どうせなら一度行ってみれば?なわけである。

 

何よりも、あの徳川家が江戸にどんな夢を見ていたのかを実際に見てみたい。時代小説を読みながら江戸時代の埋め立て地の地図を見てみると、徳川政府の江戸を形作っていく力がすさまじい。多くの力が動員されたことから各藩は苦境を強いられたが、おかげで今の東京は大きく発展した。

 

時代小説を読んでいると、願掛けだけではなく日常のこととして寺や神社を訪ねるシーンがある。見えない力を受け入れるような生活が当時は普通だったのかもしれないが、出てくる寺社はたいてい一緒だ。鎮魂などの意味で徳川家は多くの寺社を建立しているが、庶民が訪れるシーンはそう多くはなかっただろう。偶然か、意図的か。江戸城の鬼門は上野に当たり、数々の寺社が建立されていた。そして裏鬼門は増上寺だと言う。探せばきっとこのあたりのことを詳しく研究している書籍などもあるかもしれないが、今はこれだけでも十分に満足。

 

今回紹介されている寺社神社の中で、東側は割と近い所同士が紹介されているので旅行の際にも行きやすいだろう。西側はばらばらと点在しているので、全部訪問するには時間がかかりそう。

 

個人的な意見にすぎないが、京都のほうが読み応えがあった。きっと知らないことばかりという驚きが強かったせいだと思うが、京都のほうがちょっぴり神仏に対する敬意が強いように思えるせいもあるだろう。

 

さて、この3日間はゆったりすごさせて頂きます。