Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#582 推しがアップしていたので読んでみた~「首のたるみが気になるの」

『首のたるみが気になるの』ノーラ・エフロン

ブコメ作者のエッセイ。

 

何度か書いてきたが、私の「推し」はGemma Chanというイギリスの女優さんである。

Wow! She oozed glamour in a fully-sequined gown - which was decorated with a nude flower design over the hem

こちらはついこの間、ヴェニスでの映画祭のお写真。ああ、お綺麗です!!!

Gemmaは読書がお好きで、たまに読んでいる本についてインスタあたりにUPしている。つい数週間前にはこの写真を揚げておられた。

推しが読む本は抑えておきたいというもの。早速探そうとチェックすると、とっても気になるタイトルのものが1冊ある。ちょうど真ん中の黄色いやつだ。I FEEL BAD ABOUT MY NECK とある。首の調子があんまり良くない?一体何だろうと早速Amazonを開く。見ると3000を超えるコメントで評価もものすごく高い。早速買ってみようかと著者のその他の作品もチェックすると、なんと本書の翻訳版があると出て来た。しかもKindleの英語版より翻訳された文庫本のほうが価格が安い。さらに翻訳者はあの阿川さんだ。一瞬で翻訳版に軍配があがる。

 

阿川さんも実はある意味私の推しのお一人である。阿川さんはロールモデル的な意味での推しだ。30代を過ぎた頃から上の世代の方から生き方について学ぶことが増えた。直接お話をお伺いすることもあれば、映像や写真を通して世で活躍する方に遠くから学ばせて頂くこともある。阿川さんが朝に番組を持たれていた頃、会話の運び方や佇まい、声のトーン、なによりもいつまでも可愛らしい女の子みたいな姿がとてもキュートで素敵な人だなあと思っていた。人生を楽しんでいる姿が画面からも伝わって来て、こんな大人になりたい!といつも姿を追っている。

 

さて、本書の内容だがbad about my meckを阿川さんは「首のたるみ」と訳しておられる。Gemmaの写真をアップで見てもらいたい。彼女の首はたるみなんてないし、この衣装は鎖骨が隠れているが、アジア人でもドレスが超絶似合う程にキレイな首回りを持つ美人さんである。より一層なぜ!?な気持ちが募り、すぐに読み始めた。我が家に届いたバージョンは表紙がピンクになっていたのでGemmaとまるっと同じというわけにはいかなかったが楽しい読書となった。さすが阿川さんの翻訳である。するすると頭に入って来てあっという間に読み終えた。

 

阿川さんの前書きを読むまで、私は一切著者について気にもかけていなかった。推しが選び、推しが翻訳している、というダブルメリット以外に目に入らなかったのである。この作品の著者は脚本家で、「めぐり逢えたら」「恋人たちの予感」など、昭和のトレンディードラマに影響を与えた風なラブコメ作品を生み出した方だった。

 

どうして邦題はいつも原語からかけ離れるのだろう。本作はその代表のようなもので、原題はSleepless in Seattleだ。どうして「めぐり逢えたら」になったのかちょっぴり考えるけど、シアトルにあまり馴染のない私としては「めぐり逢えたら」もアリかな。

 

本書はノーラが60歳を過ぎ、どんどんと老いを感じるようになって書かれた作品で、本国では2006年に書かれている。この映画が1993年だというから、10年以上後のことか。ノーラは71歳の時に白血病で他界している。それが2012年だというから、もしかするともう病状はあったのかもしれないし、まだご健在だったころかもわからない。

 

ブコメ書いちゃう人だからと決めつけてはいけないが、キャラが明るい。サバサバとしていて、元気いっぱい。NY生活を満喫している都会的な姿も見受けられる。タイトルにあるように老いが目立ち、美しさにも陰りが訪れることを嘆くような話では全くないので、一緒に嘆きたい人には期待はずれかもしれない。あと首のたるみを改善したい方にも何一つ改善のヒントにはなりません。

 

ノーラの作品の中にJulie & Juliaというものがある。本書を読んで、この作品がまるでノーラのことを書いているのかというようなメモリアル的作品であることを知った。60年代にアメリカで活躍したJulia Childという料理家がいる。詳しくは映画を見て欲しいのだが、恐らくアメリカで初めてわかりやすいフランス料理の本を書いた人ではないだろうか。

 

 

ノーラは本書の中で何度も料理の話を書いていた。3度の結婚の中で、相手によってつくる料理が変わって来る。読み進めるについてそれがノーラなりの愛情だったに違いないいう思いが強くなる。料理で人をもてなし、料理をこよなく愛したノーラのエッセイは、ラブコメの生みの親的なコミカルな部分に加え、意外なことに料理についても多くを学んだ。

 

そして阿川さんに戻る。なんとなく、だが阿川さんに翻訳を依頼した理由がよくわかるような作品だった。原書を読んでないのでなんとも言えないが、雰囲気がちょっと似ているのだ。阿川さんの方がちょっと可憐な感じもするが、泣いたり笑ったりでもポジティブオーラ全開で、まわりを惹きつけていくようなパワーがある。また著者はちょうど阿川さんの一回り上で、翻訳にこぎつけた頃は阿川さんがちょうど著者と同じような年齢だったかもしれない。

 

そうか。Gemmaは脚本家さんのエッセイを読もうと思ったんだろうな。もしかするとラブコメ出ちゃうのかしら。いつも知的な役柄多いし、ラブコメも見て見たい。週末またCrazy Rich!見Gemmaの美貌に鋭気を養いたい。