Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#354 「恋愛小説家」というところでしょうか~『ロマンシエ』

 『ロマンシエ』原田マハ 著

美術、LGBTQ、フランス、など。

 

この頃は睡眠の質を上げたいと切に願っているので、遅い時間にカフェインは取らないようにしている。目下の目標は1日8時間睡眠、8時間労働、8時間生活で1日を過ごすことなのだけれど、在宅勤務の間はかなり実現率が高くなって嬉しい。もともと毎日最低でも6時間取れれば疲れが取れている感はある。8時間はかな~り疲れている時という目安ではあるけれど、何かの本を読んだ時に日中のパフォーマンスを上げるため、美容や健康のためには8時間睡眠がベストとあった。あとは単純に24時間を3分割すると8時間ごとになるし、日本の労働基準法で定められているワーキングアワーが8時間だから丁度良いかな?という理由。

 

私は紅茶にはミルク、コーヒーはブラックで飲むことが多い。まず朝は濃い目のミルクティーからスタートし、午前中にブラックでコーヒーを一杯、ランチの後にもコーヒーを飲む。昨日はランチのタイミングが遅くなり15時過ぎにお昼を取った。在宅勤務だと人と話す機会が減るせいか、食後とてもとても眠くなる時がある。昨日もまさにそんな感じで、食後にコーヒーを飲むか飲まないかで迷った挙句、ミルクティーを飲むことにした。以前にどこかでコーヒーより紅茶のほうがカフェイン含有量が少ないと聞いたような気がしたという曖昧な情報でのチョイスだったのだけれど、このcuppaが後悔の原因となってしまった・・・

 

夕方仕事を切り上げ、Youtubeを見たり、家のことをしたり、21時過ぎにいつも寝る準備を始めるのだけれど、一向に眠くなる気配がない。いつもより丁寧にストレッチをしたり、ハーブティーを飲んでみても全く眠気は訪れず、とりあえずベッドに入ってしまえば眠くなるはずと思いきや余計に目は冴えるばかりだった。こんな時は読書に限ると思い、Kindleの中から気楽に読めそうな小説をと本書をピックアップ。いつ購入したのかはっきり覚えていないのだが、多分何かのセール時に後で読もうと買っておいた一冊だろう。

 

私が初めて読んだ原田マハさんの本は『本日は、お日柄もよく (徳間文庫)』で、まだ海外に住んでいた頃のことだった。空港の書店で購入し、機内で早速読んだ。あまりの面白さに読み始めですぐに引き込まれ、読み終わった時にはもうものすごく満たされた気持ちになった。他の作品も読みたかったのだけれど海外ではなかなか手に入らず、この本を何度も何度も繰り返し読んだ。日本に帰国してからはマハさんの美術がテーマとなっている小説をいくつか読んだのだけれど、情景が目に浮かぶような描写が多く、読了後はまるで旅をしてきたかのような充実感があった。

 

本書もタイトルがフランス語だし(意味はわからなかったけれど)、きっと美術に関連するお話だろうという大きな期待感があった。今まで読んだ作品のように水面に一滴一滴水が落ちて満ちていくような、心に染みていく言葉に出会える感覚をまた味わいたいと思っていたら、なんと驚きのラブコメ風で今、少し消化不良の状態でこれを書いている。作品の感想というよりはこれ、本当にマハさん?な疑問のほうが大きすぎて、ちょっと驚いているが、今のところこの作品を再び読み返すことは多分無いような気がする。

 

主人公は政治家一家に生まれたLGBTQの男の子で、美大に通っている。卒業後、ひょんなことからパリへの留学のチャンスを得るのだけれど、行先は美術の有名校と思いきや実は謎のアトリエだったりと少し期待からズレたパリ留学となる。しかしそこはパリ!アートを目指す人には一つ一つが喜びにつながるような生活環境にある。メインはパリでの出来事を書いているお話なのだけれど、読み始めてすぐに「ああ、これは私の期待していた流れとは違のでは?いや、かなり違ううううう!」と疑問符に溢れた裏切られ感があった。なぜならマハさんがおやじギャグっぽい言葉遊びと流行に左右されるような言葉多めの作品を書くとは思っていなかったからだ。変に目が冴えていたせいもあってラブコメというかライトで無理に笑いにひっぱるようなラノベ風な流れになかなか納得できず、「もうちょっと読めばいつもの大感動が来る!」と信じて夜中に最後まで読み切った。

 

主人公には好きな小説があり、ハードボイルドタイプのゴルゴっぽい感じの作風のようだ。この作品にまつわる話がストーリーの主翼になってからは、より一層謎というか、伝えたいことはなんだろう?という疑問が加わった。タイトルの「ロマンシエ」はフランス語で「小説家」のことなのだそうだ。ロマンスから派生した言葉を想像させるので、恋愛が出てくるのは良い。だが、その対象がLGBTQの男の子からの目線であるならば、もう少し違った書き方があったのでは?いや、ここでその設定必要かな?という思いもちらほら浮かんでは消え、浮かんでは消え・・・

 

舞台が東京からパリに移り、乙女心を持つ男の子が主人公なのでファッションブランドの名前がたくさん出てきたり、お店や地名などは確かにパリっぽいなあとは思えど、過去の作品のように時間や季節感のある表現などはあまり出てこない。とりあえず最後まで読んだけれどもかえって夜中に考えてしまった。マハさんはこの作品で何を伝えたかったんだろう?ラブコメも書けます!ラノベも書きます!ということだろうか?いや、私の理解力が足りないのかもしれん。などなど、読了感はスッキリせず。

 

とにかくドタバタとしたマンガのようなお話が好き!という方には楽しめるかもしれないけれど、フランスの美術の断片を見てみたいという方や、真摯にLGBTQについて触れたいと言う方には他の作品を先のほうが圧倒的に共感できると思う。