Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#469 将来を見据えて私らしいファッションを見つけたい~「武相荘、おしゃれ語り」

武相荘、おしゃれ語り』牧山桂子 著

本物を選ぶ目利きのファッション。

 

久々にファッション関係の本を読んだ。本書はよくチェックしているSNSでちらっと拝見し、ずっと気になっていた一冊。最近は「良いものを大切に、長く着る」ということをテーマにしていて、それには自分の型を見つけなくてはと思っている。そう思って数年経つけど、なかなか思った様には進んでいない。

 

ただ、着るものの「質」にこだわるようになり、以前のように「安かったから」とか、「なんとなく」のような衝動買いが一切なくなった。あとファーストファッションの利用がぐっと減った。保温や冷感のような機能を求める場合や、滅多にないけど出張先でどうしてもという時に駆け込むことがあるくらい。そもそもコロナ禍でどんどんおしゃれ意欲がダウンしているし、着飾ったところで行くところもない。会社用の服とプライベートの服の垣根がどんどん低くなり、そのうち取り払われるのでは?な予感すらある。

 

注意しているのはネットでの購入で、この頃は各ブランドさんのオンラインショップの価格設定が低めになっているのか、つい!買ってしまうことがある。特に和製ブランドがコロナで苦戦しているというニュースなどがあると、応援したい気持ちがムクムクと沸き上がり、数点購入してしまう。ただオンラインでの購入は失敗も多い。返却せずに着て、どうにか自分らしさの糧にしたいと苦戦中。

 

ところでこの頃はシニア層のファッション本もよく読むようになった。旬の流行を取り入れるのではなく、10年後、20年後、30年後、ずっと着ていたいと思える服ってどんな物だろう。そもそも質が良くなければ1年だってもたないものもある。色や素材や形など、自分が50歳、60歳、70歳になった時が想像できないだけに、それでは先輩たちのご意見を参考にしようと思うようになった。

 

そんな中で牧山桂子さんの書籍を購入しようと思った理由は、あまりに凛としたお姿と笑顔の美しさに惹かれたからだ。牧山さんと言えば、あの白洲次郎、正子ご夫妻の長女で、日本人が洋服を着始めた頃の流行の前線におられたご一家の出身だ。ご両親共に欧米での生活を経験され、オートクチュールの意味すらわからなかったような時代に有名メゾンの洋服を購入されていたお母様が日本のファッション文化に与えた影響は大きい。お父様なんて紳士そのもので格好良いとはまさにこのような方のことだろう。牧山さんもご両親の影響を越え、目の肥えた美的感覚とファッション感覚を兼ね備えておられる。常に本物に接してこられた方が選んだ服を見てみたい。そんな気持ちが先立った。

 

今もご両親が立てた日本家屋にお住まいで、その家が「武相荘」という。武蔵と相模の間にあったことからお父上が名づけたとのこと。ほとんどの写真は武相荘で撮ったもののようで、いつか行ってみたい。

 

牧山さんは本当にお美しい。お写真を拝見しているとまさに「武家の女性」風な強さとしなやかさがある。これが自分だ、という芯のあるお姿に憧れた。ああ、私もこんな女性になりたい。

 

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こちらは数十年前のシャネルのスーツ。このお写真、とてもとても印象に残った。私はひざ下出すのをためらうことも多いし、ヒールのある靴だって避けたいこと多々だが、牧山さんは素敵に着こなしておられる。

 

 

こちらはライダース。サンローランのものだそうで、ものすごくシックに見える。このブーツはすでに日本から撤退したブランドのもので、長く大切に履いておられるとのこと。

 

牧山さんのファッションはご自身に似合う色や形を把握した上での遊び心に溢れている他、お母様である白洲正子さんのファッションへの情熱を冷静に見てこられたからか、幾分シビアにご自身を分析しておられるところもあるようで、似合うor似合わないの判断がものすごくはっきりしている。私が見ると「お素敵です!」なものでも、ご本人は「いいえ」と仰るんだろうなという妄想をしながら一気に最後まで読んだ。

 

女性の年齢をいちいち書き立てることについて、本書でも指摘しておられるのであまり注視したくはないが、それでも牧山さんが戦時中のお生まれであることを付け加えておきたい。自分が牧山さんの年齢になった時、ヒールやロングブーツを履き、膝丈のスーツを身に付けていることを想像すると、まずはライフスタイルあってこそ、という気持ちになった。

 

やはり先輩から学べることは大きい。今、一番お会いしてみたい女性。