『かぼちゃを塩で煮る』牧野伊三夫 著
ゆるやかに料理について語る。
金曜日のこと。朝からものすごく体がだるく、頭痛薬を飲んでも改善せず、食欲も減退し「ああ、ついに来たか!」と熱をはかると35.9度。あれ?体温計壊れてる?もう一回。35.9度。とりあえず、会社に行きましたよね。
会社にも体温計があるので再チェックすると36.1度。もし感染していたら大変と葛根湯飲む。それでもどんどん頭が重くなり体がだるくて気持ち悪い。もう一度熱をはかってみる。今度は36.3度。そこで同僚から「気圧じゃない?コーヒー飲むといいよ」と一言あった。天気予報を見ていなかったので気が付かなかったが、東京地方は厳重注意のレベルで低気圧が蔓延っており、Twitterでも#全部気圧のせい!のコメントが山盛りあった。コロナじゃなくて一安心だったけれど、ほんと#全部気圧のせい!で週末ほとんど何もできず。そして花粉症も来てるらしいので、オミクロンかどうかと不安になる日が続きそう。
とはいえ、久々に料理の本が読みたくなり、手元にある未読のものを早速読んで気分爽快だ。本書は画家の牧野さんの食べ物に関するエッセイで、食べ歩きのようなものではなく、ご自身が普段ご自宅で作っているお料理の話が中心となっている。見開き数ページの短い文章に絵が添えられているのだが、白黒で鉛筆描きのイラストがまた味が合ってものすごく良い。(もしかするとKindleだから白黒かも!)
この本は去年セールの時に購入した一冊だが、きっかけは表紙のデザインに惹かれたからだ。文字、色、タイトルの全てに惹かれた。この表紙がなければ、きっと牧野さんのエッセイを読むきっかけはなかなか訪れなかったと思う。
ただ、牧野さんのことは知っていた。なぜなら、「かもめ食堂」のデザインを描いておられたからだ。
さて、タイトルのかぼちゃを塩で煮る、だ。かぼちゃを煮る時、私はたいてい醤油と三温糖を加えて甘めに作る。それが一番おいしいと思っていたので「塩だけ?」という単純な疑問があった。塩ならばきっと甘味は引き立つだろうけれど、コクはどうだろう。さっぱりとした味は想像がつく。
そこで思い出したのがイギリスで食べた焼いたかぼちゃ。
この写真はハーブがかかっているけれど、私が食べたのは有塩バターで焼いただけ、という代物だった。でもそれはそれで美味しく頂いたのだけれど、きっとあれよりバターがない分さっぱりめ、そして茹でているのでもう少し柔らかめということだろう。
このエッセイを読んでいる間、ものすごく癒されたというか、ゆったりな時間を過ごすことができた。これで暖炉とかあったらまさにヒュッゲ!な内容だ。絵のほっこり具合もさることながら、短いエッセイでありながらも瞬時に料理が浮かんでくる文章もものすごく良い。
いつのまにか頭痛も治り、有意義な時間。