Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#149  80代を楽しんでいる大先輩からのメッセージ

『100歳までパリジェンヌ!いつも機嫌よくおしゃれに!』弓シャロー 著

81歳の弓さんからのアドバイス。 

100歳までパリジェンヌ! いつも機嫌よくおしゃれに!

100歳までパリジェンヌ! いつも機嫌よくおしゃれに!

  • 作者:弓・シャロー
  • 発売日: 2020/03/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

フランスで活躍する日本人の方、フランス人に嫁いだ方の書籍を好んで読むのだけれど、80代の方の書籍は初めて読んだ。あの島田順子さんよりも少し年上ということになる。そしてフランスの貴族(今のフランスに貴族制度はないけれど相変わらずヨーロッパには階級社会がある)や富豪に嫁いだ方の書籍や活躍のニュースはよく聞くけれども、弓さんご自身が華族のご出身というのでより興味をそそられた。

 

書籍の巻末に1冊目の本の一部が掲載されており、ご実家が慈恵大病院を設立された方で親子3代(曽祖父、祖父、父)が英国で学ばれているとあった。ただお父様は医学で留学したのに途中で建築に専攻を変えられたのだそうだ。その理由が、有島家の性質なのかもと言っておられるのだが、有島家とはかの有島武郎のことで、弓さんのお祖母様が有島武郎の妹さんなのだそうだ。

 

なんだか豪華なバックグラウンドにばかり目が言ってしまいそうなのだが、この本は81歳という人生の大先輩からのメッセージにあふれている。きっと80歳になって自分の人生を見返せば20代や30代の時の悩みなんて通過点にすぎず、もしかするとそれが成功へのターニングポイントになっているかもしれない。そんな人生を俯瞰することを教えてくれる一冊だった。

 

80歳になればやはり一日一日を楽しく元気に過ごすことに幸せを見出すのだろうなと思う。年齢別の生き方についてのアドバイスがあるのだが、その中で70代のところに「転ばない」とあった。転ぶ=骨折と大事に至ってしまう。親は自分たちより先に歳を取っていくのでどのような健康状態にあるのかを想像しにくい。食べ物の好みも変わるだろうし、「歩ける」と言われてもどのくらい歩けるのかも想像できない。親から老化について学ぶ前にこの本で少し情報が得られたのは大きいと思う。今は運転免許の返却など高齢者が自ら自身の老いを理解している場合が多くなっているのは、こうした先輩たちの残してくれたメッセージによるからだと思う。そもそも日本人は長生きする方だとは言え、こんなに長生きするようになったのなんてここ数十年のことではないだろうか。アンチエイジングはまだまだ研究すべき分野がある。

 

弓さんが元気におられるのはデザイナーのお仕事をされており、手仕事を楽しんでおられるからではないだろうかと思った。お料理もなさるし、年に1〜2度帰国する際にはお手製のお土産をお作りになるらしい。本書ではポーチを何十個も手作りされておられた。そしてそれがとても可愛らしく使い勝手も考えた上でのスグレモノだった。健康についてのご自身のスタイルをお持ちであるということもプラスになっていると思う。

 

読書についてのコメントも多く、読んでみたいと思える作品を知ることができたのも大きいが、モノとの付き合いかたについてのコメントは大変参考になった。自分の気に入ったものだけに囲まれたシンプルな暮らしをしたいと常々考えているが、10年後、20年後、30年後にも「ああ、買ってよかった」と思えるようなものと付き合っていきたい。今まで考えてもいなかったけれど洋服だけではなくアクセサリーも年齢にあったものを考えていかなくてはならないと思った。ところどころに写真が添えられているのだが、どの写真を見ても80代には全く見えない。ご自身に似合うスタイルを熟知し、ケアを怠っていないからこそなのだと改めて思う。

 

最後に気に入った文章があったので貼っておく。

もし、今うまくいっていないことがあったら、それは人のせいではありません。あなた自身のせいです。『おっ、なかなかこの状況、私に合っている』と思ったら、それはあなたのその選択が間違っていなかったということ。すべてあなた自身が選んだからこそ、今、そうなっていることを忘れないでいて欲しいのです。誰のせいでもありません。自分の人生は自分で引き受けるという腹のくくり方が大事だと思います。人生という旅路は、誰にもみな平等に与えられているのですから。