Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#470 がんばりどころなので~「下り酒一番 4」

『下り酒一番 4』千野隆司 著

卯吉、江戸の酒問屋を盛り上げる。

 

今週は金曜日がお休みなので気持ち的にがんばれそう!と思っていたのだが、やっぱり考えが甘かった。どうも辛抱が効かない様になってきている。ほんの些細なことなのに、どうしてこうも心に余裕が持てないのだろう。ふんばりどころなのでどうにか耐えていきたいと思う。

 

さて、続けて読んでいるこのシリーズ、現在5巻まで出版されておりまだまだ続くようだ。主人公の卯吉の職場である酒問屋武蔵屋を勤め先に置き替えて読んでいるので、読了後のすっきり感がものすごい。あまりにも爽快なので「4巻目はもうダメだ、と思った時に読もう!」と決めていた。それなのに、早々に4巻目を読み始める羽目に…。

 

 

後から読むことを考えて、ここに残す備忘録はネタバレしない程度にあらすじをまとめるようにしているのだが、4巻目については結論から。ここに来て、卯吉は大きな行動に出る!とだけ記しておきたい。

 

武蔵屋のひどさや商売のまずさは、すでに武蔵屋以外も認知するところとなった。お得意先や関連業者は卯吉の父らが経営者であった頃に比べ、身代が揺らいできているのを敏感に察知している。

 

この年はあまりの豊作で作られた酒の量も多かった。今度は品は豊富に手に入るが、売れないことから不況の原因になっている。そこで市場を下支えするため、江戸の酒問屋でも下りものをしっかりと売っていこう、と株仲間うちで話し合いを持った。

 

もちろん、見栄が全ての武蔵屋の経営陣一家は、長男が考えなしに「すごい俺アピール」を根拠とした仕入れを実行したことから、番頭を始め皆が途方に暮れている。そもそもどんなに人気がある酒とはいえ、売れる見込みを遥かに超えた数量をどうさばけというのか。他の酒問屋も武蔵屋程ではなくとも厚めの量を仕入れているので、いつも以上に市場の競争が激しい。

 

どうにかして売らなければならない。卯吉は叔父の茂助などとも話をし、どうにか売っていく画策を立てる。それを株仲間の集まりの場で提案をし、卯吉の案が採択された。もちろん、お丹や長男、次男はおもしろくない。そしていつもの通り、何かうまくいかないことが一つでもおこれば、卯吉が責任を取り店から出ていけとわめく。

 

4巻は卯吉の機転というよりも、周りからのサポートの大きさが目立つ内容だった。そして、長男が本当にダメ人間だということがより一層目立ってくる。商売もダメ、人としてダメとなると、これからどうなっていくのだろうという疑問も高まる。

 

卯吉はこの経営陣一家のダメっぷりがあるからこそ、逆に父の意向を大切に武蔵屋を守らなくてはならないという思いを強める。そこで自身が提案した策に周りのサポートと本人の運が卯吉を味方によりできる手代に育っていくようだ。

 

私も卯吉のように聞き流す力を身に付けて行かなければ…。