Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#429 三姉妹の好みと腕が光る! ~「三人屋」

『三人屋』原田ひ香 著

三姉妹の料理。

 

いまずっと読み続けている時代小説、長くその雰囲気に浸っていたい思いが強すぎて、手持ちの最後の一巻を読む前にこちらを読むことにした。たしかこれも何等かのセールの時に購入したはず。

 

最近書店に行く度に「これ読みたい」と思っているのが同じ著者の『三千円の使いかた (中公文庫)』で、まずは手持ちのものを読んでみてから、次に行くべきかどうかを決めようと思ったのだけれど、本書を読んでさっそくKindle版を購入した次第。この頃読書の傾向が小説気分なので、どんどん読んでいきたいと思う。

 

さて、本書を購入した理由は「多分食べ物に関わる話なんだろうな」という思いがあったから。表紙にはうどん、ごはん、コーヒー、トーストなどのイラストがあり、タイトルに「屋」の字が入っているということは、何等かのお店だろうなと想像した。それにしてもイラストのメニューには統一性がないので、いったい何の店だろうと思いながら読み始めた。

 

登場人物は三姉妹で、それぞれキャラが濃い。年も離れていて3女はまだ大学院生だが、次女はすでに結婚して二人の子供がいる。長女は未婚だが、典型的な奔放タイプの人。三姉妹の両親はすでに他界しているのだが、親の看病などがきっかけとなり、3人は非常に仲が悪い。というか、必要以上にベタベタしないタイプのようだ。

 

舞台は新宿から私鉄で15分のところにあるラプンツェル商店街。商店街というのも最近は閑散としていてシャッター街みたいになっているところも多いだろう。東京の場合は割と活況で、スーパーとはまた違った楽しさがあることからそれなりに営業ができているというところだろうか。ラプンツェル商店街も時代の波に押されて淘汰される業種もあれば、業態変更を迫られる店など、小さな変化をいくつも重ねている。

 

三姉妹にとってはこの商店街は生まれ育った所でもあり、知り尽くしているがだけにうんざりするところもあるが、やっぱり愛着のほうが強い。それは両親が生きていた頃の思い出がそうさせているのかもしれない。いつもは距離を置く姉妹の心にほんのり灯をともすのは、商店街や親の残したものに接していると実感できる時で、その時だけ三人の心は一つになるようだ。

 

ところで、ごはんの話だが朝はトースト、昼はうどん、夜はごはんのようだ。トースト、ホームベーカリーで焼いているそうなんだけれど、描写がとてもおいしそう。三人とも好みは違えども、みんな料理上手のようだ。自家製ジャムとかなかなか出しているお店なんてないもの。あとぬか漬け。私はあまりぬか漬けが好きではない。多分ニオイがダメなんだと思う。発酵食品がブームになってから、今や無印でもぬかを売る時代になったので、一度は試してみようかなーと思うのだけれど、食べなくなるような予感があるのでなかなか手が出せずにいる。発酵食品は味噌と納豆とヨーグルトで足りそうな気もしているし、ちょっとした好奇心で始めるのもどうかと思うのでもう少し様子見。

 

本書には続編があるようだけれど、私はこれで満足かも。