Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#420 ふろふき大根、作りました~「はなの味ごよみ3」

『はなの味ごよみ 3』高田在子著

良太、現る??

ついに来ましたね、師走。師走と言えば、力士と食べ比べをして勝ったはな、今や勝川部屋でも師匠と呼ばれている。このところ気に入って読んでいる時代小説で、食事処が舞台となっているのでより一層楽しみが膨らむ。本書が3巻目で今は9巻まで出ているらしく、まだまだ楽しい時間が続きそう。まだ3巻だけれど、ずっと読んでいたい作品。

 


さて、主人公のはなは喜楽屋という食事処で住み込みで働いている。喜楽屋の定番メニューはふろふき大根で、この頃寒くなってきたせいかものすごく食べたい気持ちが募っていた。昨日たまたま帰りにスーパーに寄ったら大根1本98円(たしか群馬産でした)とお買い得だったので「これは時が来た!」とふろふき大根を作った。下茹でしたり、煮込んでいる間に楽しく読む。

 

3巻のタイトルにもなっているにぎり雛は、油揚げを着物に見立ててお米でひな人形を作るというもの。江戸時代はひな人形は川に流していたらしい。手作りのものもあれば、ちゃんとした人形屋から購入するものもありかなり値が張るらしい。川に流すのは息災を祈るためだと思うのだけれど、食いしん坊のはなは「食べちゃえ!」と厄を食べることで流してしまおうとする。

 

今回もたくさんの問題に対峙するはなの姿を追っていると、読んでるこちらもどうにかしてあげたくなってしまう。いつもの仲間たちとともに、おせいの作る料理を食べ、笑顔を絶やさず、良太への思いを募らせるはなの前に、突然姿を消した良太の本当の姿があらわになる。

 

この本を読んでいると、一気に心が和食に傾くほどにおせいの作る料理に惹かれてしまう。寒いからかな?食べることで心が温かくなるような、滋養に溢れた料理に思えるのがとても不思議。江戸ならではのテンポの良い会話の中に見え隠れする思いやりや、はなのお目付け役である弥一郎の存在も一見冷徹に見えてもはなを思う心が窺える。これは何か新たな展開になるのでは!?いや、なって欲しい!!と邪推したくなる魅力的なキャラクターだ。

 

3巻で気になった料理は卵のふわふわ。そういえば最近読んだ本にも登場していた。こちらはタイトルそのものがお料理名。


おせいの作り方も大体同じでだし汁に一気に卵を注ぎ込み蓋をすると、ふっくらとした茶碗蒸しほどなめらかではなく、卵焼きをふわっとさせたような料理になる。卵の蒸し料理というところだろうか。

 

さて、ふろふき大根を食べながら読む時代小説。本当に幸せな時間でした。ありがたや。ほっこりな組合せでした。