Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#408 江戸の料理モノ、また出会っちゃいました~「はなの味ごよみ」

『はなの味ごよみ』高田在子 著

鎌倉育ちのはなが夫を探しに江戸へ出る。

 

昨日14日は英国のRemenbrance Dayで日本で言うところの戦没者追悼記念式典があった。日本は終戦宣言のあった8月に行われるし、米国は5月末にMemorial Dayがある。英国は1次大戦の終焉した日が11月11日であったことから、冬の追悼となっている。胸にポピーの花をかたどったブローチを付けるのは、戦地の激しい戦いの後には赤いポピーの花のみが咲いていたという詩に基づくものだったはず。

 

そのニュースを見ようBBCを見ていたら、COP26のニュースの次に某ご夫婦がアメリカに旅だったというニュースが流れてきて驚いた。なんとも早いご出国。海外に縁のある人はみな、「ビザどんな裏技で取ったん?」と思っているはずだ。今は企業の人事異動での渡航ですらものすごく大変だ。このまま米国で過ごすのだろうか。お仕事もまだ曖昧な状況のはずなのに元姫様のご身分の方を不自由なく暮らせるような基盤を彼が整えられるのだろうか、などなど大きなお世話だろうがニュースを見ながらぼんやり思っていた。もしお子さんが出来たとして、男の子に「仁」の字を入れるようなことはさすがにされないとは思えど、女の子ならEcoとかCocoとかNikoとか「子」のつく2文字名をお付けになるのかな。いや、ほんと庶民の大きなお世話でした。とにかく、BBCで放送される程のニュースになってしまっているのですね…。

 

さて、久々の時代小説+料理ネタ。面白かったので早めに続編が読みたいと思える本に出会って嬉しい気持ちでいる。探してみると料理がテーマの時代小説って思っていたよりたくさんあるようで、今まで探し方が悪かったようだ。何かの本を買った時におススメに上がってきたのが本書で、表紙のデザインを見てラノベ風を想像したせいかしばらく読まずにいた。アガサ本を読んだ後は一冊日本の作品を絡めたいと思い、何となく本書を読み始めたら話の先が気になって次々読みたい気分になっている。

 

主人公の「はな」は、両親を亡くした後、一人で鎌倉に暮らしていた。とはいえ、すでに歳は28で、大食いが原因で嫁の貰い手がない。見た目はまだ愛らしいのに、身なりに頓着しているので尚更貰い手がない。今は隣の家の畑の手伝いをしたりして暮らしている。周りはお見合いを進めるが、はなはこのままでいたいと思っていた。

 

ある日、はなが畑仕事で疲れ切って家に帰ると、誰もいないはずの自宅から何やらよい香りが漂っていた。味噌とごま油の香りだ。なんだろう。恐る恐る扉を開けると、そこには見たこともない男がはなの家の台所で料理を作っていた。

 

その男の名は良太と言う。伊勢参りの帰りだとかで、道中追いはぎに襲われ金がないらしい。はなの家に入り、料理をこしらえ、やっかいになろうとしていたようだ。良太の作った料理はけんちん汁だというが、けんちん汁は醤油味のはず。良太は味噌で作ったのだが、それでもはなは美味しく食べた。良太は料理が上手いようだ。

 

翌日、周囲の家のものに良太の存在が知られてしまうのだが、周りは昔の男が返ってきたものと勘違いし、二人はそのうちに結婚することとなる。幸せに暮らしていたはずの二人だったが、ある日突然良太が姿を消した。前の日良太は竹の灯篭を作ってくれた。美しい光を見ながら一緒に夕食を取っている間、良太の様子には少しおかしなところがあった。良太がいなくなった日の朝、はなが食べたいと言った鎌倉海老が届く。良太は一人江戸に帰ってしまったようだ。良太の不在を知ったはなは良太を探しに江戸へ繰り出す。

 

はなのキャラクターも、良太の行く末も、はながおせわになる江戸の小料理屋も、どれもとてもとても魅力的。ちょっぴり「居酒屋ぜんや」のイメージだ。

 


とにかく、はなの様子も気になるので近くまた2巻を購入しなければ。現在7巻まで出ているそうなので、楽しみが増えた。冬はずっと楽しみにしている時代小説の続編が多く出る時期なので気分があがる。