Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#439 せんべいが具に?~「東京近江寮食堂 3」

『東京近江寮食堂 青森編』 渡辺淳子 著

今度は青森料理!

 

続けて読んでいた作品に続編が出ていたことを知った。

 

 

滋賀出身の主婦が突然姿を消した料理人の夫を探しに東京へ向かう。そこでたまたま出会った地元の料理を出す寮で腕を振るうことになる。1巻目は近江の料理がメインだったが、次に宮崎。そして今回は青森の料理が盛りだくさん!東北の料理と言えば、秋田のきりたんぽなんかを思い浮かべるけれど、青森も不思議さいっぱいで気になるものは検索しながら読み進めた。

 

そもそも3巻目はどうして青森か。2巻で引っ越すことになった近江寮の食堂だが、そこにアルバイト志望の女性、睦美がやって来たことに始まる。若く見えるがすでに孫もいるそうで、少しずつ客とも馴染み温和な日々を過ごしていた。

 

でもやっぱりおばちゃんたちはそんな睦美のワケアリ事情を察知する。なにかありそうとは感じていながらも直接本人には尋ねない。そのうちぽろぽろと睦美の事情が見えてくる。

 

睦美の料理のアイデアは郷土料理からヒントを得たものが多く、料理の名前からどんなものが出てくるのか全く想像できない。例えば、イガメンチ。「イガ」は「イカ」がなまったものと説明があったけれど、イカメンチっていうことでしょう?それって何?で、早速調べてみた。

 

あおもりご当地食めぐり 岩木山食のエリア 弘前いがめんち

 

この写真は青森県農林水産部のホームページからお借りしております。これによると、イカの足の部分をミンチ上に包丁でたたき、そこに小麦粉と季節の野菜を入れて丸めて焼くまたは揚げるものらしい。なんとなくたこ焼き風を想像しているけれど、もしお酒を飲む人ならば「まさに酒のつまみ!」と思うんだろうなあ。

 

そしてイメージは湧く。だが味の想像が全くできん!と思ったのが「せんべい汁」。いや、待って。せんべいでしょう?醤油味とかサラダ味のあれでしょう?と、むしろマイナス方向にうわぁと思う。読み進めてわかったことは、青森には南部せんべいor津軽せんべいがある!

 

せんべい汁

 

これはあれだろうか。最中の皮とかあられがお吸い物になっていたりするような、ぱりぱりではなく、しっとり食感の具ということだろうか。すこし安心した。

 

こんな感じで疑問符を頭に浮かべつつ読み進め、途中で料理を検索しつつ読書を進めたので、読み終わるまで結構な時間が掛かってしまった。でも検索しつつ読み進めたおかげで、なんとなくではあるけれど「青森の食」のイメージがつかめたかもしれない。

 

実は青森には1度しか行ったことがなく、それも弘前を通り過ぎたというくらいのあっという間のことで、正直ほとんど覚えていない。そもそも津軽と南部の区別がついていなかったし、文化の違いがあることも知らなかった。東北地域のそれぞれの特徴や食や地理もわかっていないから、漠然としたイメージで読んでいくとただただストーリーを楽しむだけになってしまう。そこで途中下車するみたいな気持ちで検索しながら読み進めると、旅行記的な別の面白さがあった。

 

食べ物に関して言えば、寒い地方はやっぱり味が濃いのかな?と思っていたように、やはり塩分を多く摂るレシピが多いらしく、なんでも漬物にしちゃうということを知った。りんごまで漬物になっちゃうらしいから驚く。あとは海が近いエリア特有の魚を使ったラーメンだったり、肉より魚をつかったコクだろうか。

 

今はもうすでに雪に覆われているのかなーと想像しつつ旅行気分まで味わえる一冊。来年は自由に旅ができるようになりますように!