Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#249 え?本当に終わり?いやいや、次がありそうだ(と信じたい)

 『居酒屋ぜんや 10』坂井希久子 著

ついにお妙の両親の真相に一歩近づいたか!?

さらさら鰹茶漬け 居酒屋ぜんや (時代小説文庫)

さらさら鰹茶漬け 居酒屋ぜんや (時代小説文庫)

 

 

楽しみにしていた10巻目が届き、あっという間に読んでしまった。もう10巻目か!と感慨深い。この本は「ハルキ文庫」の時代小説で面白そうなものはないかと書店をぶらぶらしていた時に見つけた本。高田郁さんの「みおつくし」シリーズが面白かったので同じ料理をテーマとした時代ものを探していたのでラッキーな出会いだったと思う。

 

この本も町人で居酒屋ぜんやを営むお妙と、お妙の美貌と料理に惹かれた侍の次男坊である只次郎との恋あり、料理あり、義理人情ありのストーリーで、読み終わるたびにもっと読みたい!と思ってしまうストーリーとなっている。

 

お妙は一人で居酒屋を切り盛りしているのだが、とにかく次から次へとアイデアが湧き、季節のものを昇華させる腕がある。只次郎は今で言うところの美食家だが、やはり料理に敏感な人なのだろう。ただ「うまーい!」ではなく、ぜんやの常連たちはお妙の料理を楽しめるだけの知識と味覚を持っている。なぜおいしいのか、どうしてこの料理なのか。作り手の思いをも当てていくので食べている描写は非常にすがすがしい。

 

今回はまた新しい登場人物がストーリーを盛り上げている。先回、只次郎とお妙が結ばれたことで一気に10巻目で話が進むかと思いきや、お妙がなかなか先へ進ませないでいる。今回登場したのは小さな女の子で母親に育てられているのだが、悲しいことに置き去りにされてしまい、ぜんやで預かることになった。

 

只次郎は本職のうぐいすの鳴き声を指導することの他、商指南も続けている。うぐいすの縁をたどってお妙の両親が命を落とした理由に近寄ろうと苦戦しているところ。これが今後どうなるかも見ものだけれど、やはりハッピーエンドになって欲しいと願わずにはいられない。

 

ところでこの10巻目が最終巻なのだそうだ。いやいや、すんなり終わるような流れではなく、読み終わった後に「次の巻はいつ頃かな」とチェックしてこれが最終巻だと知って驚いた。おそらく続きはでるんだろうなと思うけれど、だれがどんな風に主役として出てくるのかが楽しみになった。というより、終わらないで欲しいのです。もっと読みたい!