『有元家のさもないおかず』有元葉子 著
ご家庭の味。
この間のBlack Fridayの時、楽天で購入した一冊。有元さんの書籍は出来る限り揃えたいので、余裕のある時に少しずつ購入している。レシピそのものも学びが多い他、料理に対する姿勢や、生活空間を整えるコツなど、どの本からも有元さんの規律正しい姿が窺える。ああ、憧れる!!!こんなこと言うとご本人には失礼かもしれないが、有元さんのお料理や生活に対峙するお姿はちょっと武家の奥様のようだなと思う。芯がおありで、凛としていらっしゃる。有元さんの本を読むたびに整理整頓しようとか、無駄を出さないとか、物を大切にするとか、あれこれ考える。でもなかなか簡単に実行できなくて、少しでも近づきたいと日々努力中。
さて、本書は多分2021年の11月末現在で一番新しい本だと思う。いつもの大判サイズより一回り小さくて、内容も「おもてなし」よりご家庭のお料理に近い。
さもないとは、たいしたことない、どうってことない、という意味で、有元さんが気負うことなくさっとお作りになったものを紹介しているので派手さは全くない。冷蔵庫を開けて、「ああ、これ早く食べなくちゃなー」と思った瞬間に頭に浮かんできそうなやっつけレシピという感じだ。
例えば、これ。
書籍の写真とはちょっと違うけれど、有元さんがネットでオープンにされているレシピとほぼ同じなので貼っておく。たまねぎを皮つきのままオーブンに入れて焼くというもの。
書籍ではこれに塩やバルサミコで食べるとある。たまねぎは焼くとものすごく甘くなるから、こんなシンプルなものも有元さんに「おいしいわよ」と言われるとやってみたくなる。しかも大胆なレシピなのになぜかオシャレ。
もう一つ試してみたいのがこちら。
これも書籍とは異なる写真で、同じように有元さんが公開しておられる「いんげんおかか」。幼い頃の有元さんは食が細かったそうで、このお料理があればごはんをどんどん食べられたそう。
もしかすると別の本にも紹介されているレシピかもしれないけれど、上の二つからわかるように、とくに気取ったお料理ではなくて「おうち用」の工夫のつまったものが多かった。
大量に買ってしまった食材を余すことなくしっかり食べるとなると、途中でネタ切れとなることは多い。何を作るかなーと考えると、たいてい名前のない我が家好みの創作料理になるはず。この本はまさに有元さん宅の冷蔵庫にあるもので何を作りますか?版と言えるのかな。お母さんがお料理好きならば、創作料理も定番となり「お母さんの味」となるはず。有元さんはイタリアにおうちを持っているほどなので、和洋折衷なアイデアが面白い。驚きのアイデアもいくつかあってただただ憧れるばかりです。
私の作るやっつけ料理なんて、味も出来もバラバラで、ものすごく上手く行った時も「もう二度と作れません」と偶然できちゃいました!なことが多いし、人におススメできるほどのものもない。やはり料理家さんならではの経験値が食材を美味しく食べる方法を瞬時に考え、適切な調理が出来るんだろうなとますます有元さんファン度が高まった。
ただ、我が家、この本にあるようなものを常備していなかったりするので、新たに調達しなくちゃならないものもいくつか。有元さんのお宅は栄養が偏ることなく、いろいろなものを食べる習慣がおありなのだと思う。そして残さずおいしく頂く。有元さん、間違いなく私の料理における心のメンターのお一人です。