Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#107 丁寧な生活を求める方、ぜひ料理のお供にこの本を!

『ごはんのきほん レシピを見ないで作れるようになりましょう。』有元葉子 著

和食洋食、コツのつまった一冊。

 

9月も折り返し点とは時の経つのはなんと早いことか!今年はコロナのせいもあり一層速足な気がする。やっと都内も涼しくなり過ごしやすくなってきた。そろそろ秋かな。

 

料理や食に関する本が好きすぎてレシピ本からエッセイまであれこれ買ってしまうのだが、有元葉子さんの本は読むたびに憧れ100%のため息が出る。きりっとした引き締め感と程よい気楽さの加減が心地よい。たまに「料理イコール女子力」的だったり、時短アピールにより「できる自分」を前提としたレシピ本に出会うことがあるが、信頼感や一生ものの知識や技術は身につかない。本来料理は家で躾けられるものなんだろうけれど昨今ではそれも儘ならない。そもそも母親たるもの須らく料理が得意なわけでもないので家庭で学ぶことができない環境だって大いにありうる。そんな時レシピに頼るわけだが、ネットでさっと検索して手軽に作るのもよいけれど、自分の頭で考え覚えるにはそれなりに懇切丁寧な説明が必要かと思う。

 

有元さんの本はまるで母親がそばでアドバイスしてくれるかのような、いや家庭科の授業で先生がそっと教えてくれるような温かさがある。一冊読むごとにとてもためになる知識が得られる上に目がレシピの上を撫でる程度の印象ではなく、しっかり味まで想像できて記憶に残るものが多い。

 

この本もそんな一冊で、この『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』シリーズの3冊は特にお気に入りとなった。

 


 


この『ごはんのきほん 』はシリーズの中の2冊目で、ごはん、出汁、野菜、パスタが大まかなテーマとなっているのだが、今回もやはり「おひつ」のお話から始まった。今まではおひつはお手入れが面倒だろうなとなかなか購入欲求がわかなかったのだが今回は「おひつ、いいな」と思うに至った。

 

今やいろいろな炊飯器が出ているけれど、我が家はこれで炊いている。

 

とにかく愕然とした。電子炊飯器とは全く味が違う。もちっとした噛み応えのある甘いお米が毎度毎度炊きあがる。さらには電子炊飯器よりも早く出来上がるという利点も。あと冷えた時と冷凍した時の差がすごい。冷凍ご飯に至ってはレンチンしてもほぼ味は変わらない。道具一つでこんなにも味が変わるのか!と開眼した私はご飯の完成形はこれしかない!と思っているふしがあったので、おひつでそんなに変わるのか?という疑念があった。

 

有元さんがお使いのおひつは秋田杉のもので樽冨かまたさんのものだそうだ。どうしよう。買ってしまいそうな自分がいる…。


今回まず最初に作ろうと思っているのはブロッコリーのパスタで、今まさにブロッコリーを洗わんと水に浸しているところ。一貫して仰っていることだが、最後まで使い切ることが有元さんのレシピの要で、葉も皮もおいしく頂くことで食品ロスを防ぐことにもつながる。ブロッコリーも茎までおいしく頂くことはもちろんのこと、このレシピはパスタと一緒にブロッコリーを茹でるという面白さもエコだなぁと思わずにはいられない。

 

レシピを見ないでシリーズは読み物としても楽しく、いつでも読めるように手元に置いておきたい。ネットのレシピを見慣れている人には不向きな一冊だろうと思われる。なぜなら一つ一つの手順が写真で紹介されてもいないし、分量も「あなたがおいしいと思う量で」という場合もあるし、何より一つ一つの動きを教えてくれるタイプの本ではないので戸惑ってしまうと想像できるからだ。そうなるともう「使えない」となるわけだ。でも一度包丁を持って野菜を切ったことがあり、フライパンで何か一品拵えたことがあって料理とはこんな感じなんだとぼんやりイメージできるようになれば絶対に役立つ一冊だと思う。ただしインスタ映えなど料理に派手さを求める方には別のレシピ本をお勧めしたい。

 

常に手に取れるように3冊を本棚の一番目立つところに置いておこうと思う。多分何度も読むであろうから予備用も買っておこうかな?と思うほどにお気に入りである。