Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#330 列車での事件、定番中の定番ですがやっぱりおもしろい!

 『青列車の秘密』アガサ・クリスティー

ポアロシリーズ第5弾。今度は列車です。

 

いつもHuluでBBCを見ているのだけれど、東京オリンピックのためのトレーラーがちょっと面白い。そうか、イギリスでは極東の日本をこう見てるのか!というイメージをつかむのにまさにこれ!という感じ。

 



そんなオリンピックのゲーム自体にはあまり真剣には見ていないのだけれど、団体競技になると見ちゃうような予感。なんだかんだと楽しんでるかも。

 

クリスティ文庫を1から順に読んでいるのだけれど、なんとなくのめりこめていない。その理由が5冊目にしてちょっと見えてきた気がする。理由は翻訳にある。5巻目まで翻訳者がそれぞれ異なり統一性がないためか、同じ作家のシリーズ作を読んでいるような気持ちになれず、前作とのギャップに慣れるのに時間がかかる。

 

ひとまず基本情報から。

Title: The Mystery of the Blue Train

Published: March 1928

Translator: 青木久惠

 

翻訳家の青木さんは1943年生まれ、早稲田大学文学部英文学科卒とのデータがあり、他にもクリスティ作品の翻訳もあるようだ。Amazonを検索してみるとアーロン・エルキンズの翻訳本のほうが多かった。

 

4巻目に戻ってきたポアロの親友のヘイスティングズ、また5巻ではいなくなっており語り手はいない。ポアロには新しくGeorgeという執事が登場して、ポアロの傍らで生活を支えている。とはいえ、ヘイスティングズのように推理につきあったりはせずココアを出したりとかそんなところ。英語読みでは「ジョージ」だけれど、ベルギー人のポアロはフランス語で「ジョルジュ」と呼んでいる。それがちょっと好き。

 

ココアといえば、5巻目でポアロが「イギリスではおいしいココアが飲めない」的なことを言っており、つい「わかります!」と言いそうになった。フランスのショコラショーは最高だもの!

 

ということで、今回のポアロは一人で推理の現場に向かっている。タイトルにあるように現場は列車で、本書ではBlue Trainをブルートレインとカタカナで訳してある。列車はパリから南仏の海外まで向かうもので、途中でリヨンの駅を通る。南仏、いいなあ。そもそもポアロは事件解決のために汽車に乗っていたのではなく、たまたま乗り合わせていた列車で事件が起きるという設定だ。

 

今回ちょっと気になったのは、おそらく原文では 「"ABC" said Poirot.」となっていたと思われる文章を「『ABC』とポアロ。」と訳されている。「~と(名前)。」という表現が多いのだけれど、~said someone.と思われる文章が何か所かこのスタイルで訳されていて、もう少し違った訳があったのではと思ったりもした。

 

しかし今回も登場人物が次々と現れるのだけれど、聞き手になる人がいないのでポアロの頭の中でどんな風に推理が進んでいるのが見えてこないことでより謎が謎を呼ぶ感がすごい。次々読み進めればもう少しポアロの推理スタイルが見えてくるのかもしれないのだけれど、今はまだまだ圧倒されっぱなし。

 

評価:☆☆☆☆

おもしろさ:☆☆☆☆

読みやすさ:☆☆☆