Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#336 どんどん現代に近づいてきています!

 『雲をつかむ死』アガサ・クリスティー

ポアロシリーズ第10弾。

 

 

ついに10冊目まで読み進んだ。さっそく詳細を。

 

Title: Death in the Clouds

Publication date: March 1935

Translator: 加島祥造

 

まず、この本は新訳が出ていて、私が読んだのは旧訳。本書は1959年に加島祥造さんの翻訳になる。新訳は2020年に出ているのだけれど、私は旧訳でも十分以上に楽しめた。翻訳家の加島さんは1923年生まれで早稲田大学文学部英文学科卒とのこと。本書が出た頃の時代背景をご存じの方の訳だからだろうか、まったく違和感なくむしろその時代を感じられるような訳だったと思う。

 

本書はなんと舞台が飛行機の中!フランスからイギリスへのフライト中に殺人事件が発生するのだけれど、やっぱり偶然ポアロがその便に乗っており調査に加わることとなる。パリからロンドンのクロイドン空港行きの飛行機では機内食も出ていたようで、1930年代でもう飛行機があったのかーと想像していたら、なんと到着間際にコーヒー代を回収するシーンが出てきてより一層文化背景に気持ちが向いた。

 

今回もポアロは一人で調査にあたるのだけれど、親友ヘイスティングズが登場しない作品ではロンドン警視庁ジャップ警部ポアロの調査の引き立てている。今回も登場人物は多く、密室シリーズという意味ではオリエント急行が飛行機に変わったようなところもある。

  

異なる点は、オリエント急行殺人事件は完全に密室の中で起きた事件を密室の中で解くのだけれど、本作は飛行機がクロイドンに到着してから調査が始まるので情報収集の間もあるし、ポアロも自由に行き来ができる。さらには時間の制限がないこともハラハラ度に影響しているだろう。やはり場所や時間が制限されると読み手も手に汗握りつつ一気に読み進めたくなるのかもしれない。

 

舞台が飛行機という現代でも馴染みの乗り物が出てくるあたり、シャーロックとアガサの活躍する時代の差を感じられる。それにしても今回も全く予想できない展開で、最後まで驚きっぱなしの内容だった。

 

10冊目まで読んだので、少し紙の本も読んでいきたいところ。

 

評価:☆☆☆

おもしろさ:☆☆☆

読みやすさ:☆☆☆☆