#348 短編集にさかのぼりました
『ポアロ登場』アガサ・クリスティー著
短編では第1弾、ポアロシリーズでは第3弾。
土曜日であれば人も少ないはずと出勤していくつかの用事を片付けてきた。土曜とはいえ人も多いのかと思いきや、午前中の都内は閑散としていた。やはり5000人を超える感染者数が続き、自粛が高まっているのかもしれない。
さて、ポアロシリーズを読み続けるうちに「この話は知らないぞ」というエピソードが増えるにつれ、もしかすると読み飛ばしている or 出版されていない作品があるのかもと思い読み順を再チェックした。
本書は短編集で、ポアロシリーズでは3番目にあたる。
Title: Poirot Investigates
Pubulication date: March 1924
Translator: 真崎義博
タイトルにInvestigatesとあるように、ポアロの調査した記録集のようなもので、全て親友のヘイスティングズが語り手となっている。全14編の短編が収められており、短いストーリーなのであっという間に読み終えた。
とりあえず読んでスッキリしたのは、読み進めているうちに出てきた「これ知らない」のうちのいくつかがここに記されていたので「ああ、あれはこのことか!」と理解できたことだ。ポアロに来る事件は様々だが、本書の中の14の事件のうちには殺人が伴わないものもある。長編では扱われることはないだろう盗難などの事件もあり、確かにポアロの実力であれば難なく解決できるだろうと思えるものばかりだった。
今回の翻訳者は第6弾の『邪悪の家』と同じ翻訳者さんだ。
この方の翻訳だとポアロがものすごく若者風でこじゃれた英語を使いこなす人っぽい感じになるし、ヘイスティングズに至っては頭悪そう度が増した感があって少し苦手な翻訳スタイルではあった。とはいえ、すでに10冊以上を読んできたのでクリスティー文庫にはブレがあることを十分に感じているからか、それほどストレスを感じずに読むことができた。恐らく短編だったことも理由の一つだろう。
この短編はやっぱり早いうちに読むべきだったと思った。ポアロが調査をしている時、過去の事件について語る場面がたまに出てくるのだが、知っていたほうがポアロが言いたかったことや意図していることをより理解できると思ったからだ。特にポアロの失敗談についてはやっと納得できたこともあり読了後はかなり満足した。
評価:☆☆☆
おもしろさ:☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆