『三幕の殺人』アガサ・クリスティー著
ポアロシリーズ第9弾。
在宅勤務に入ってからも時差通勤していた時と同じ時間に起きている。8月に入り、日中は30度を余裕で超えるけれど、7月に比べ朝の気温は少し下がったように感じられる。
さて、早々に第9弾へ。今のところ順調に読み進めているけれど他にも読んでおきたい紙の本もあるので、10弾までは読み進めそのあとは少し別のタイプのものも読んでいきたいと思う。まずは基本情報から。
Title: Three Act Tragedy
Publication date: January 1934
Translator: 長野きよみ
9弾目にも親友ヘイスティングズは名前すら登場せず、すっかりこのシリーズからは引退したような感じ。そういえば南米で牧場だかをやっていたはずだからイギリスにはなかなか戻れないという設定なのかもしれない。ということで、今回もポアロは一人で行動している。今回はどういう知り合いなのか俳優であり貴族のチャールズから田舎に買った自宅でのパーティーに誘われる。小さなパーティーで数十名の参加者だったのだが、そこで招待客の一人だった地元の牧師さんがカクテルを口にした直後に亡くなってしまう。
招待客にはチャールズの知り合いでエンタメ業界に投資しているサタースウェイトという人物がいて、今回はこの人の目線から語られてる部分が多い。さて、チャールズは俳優だけあって見栄えも良く、地元の貴族の娘で30歳も年の離れたエッグより思いを寄せられている。50歳と20歳での恋愛かー。周りの20代の子を見ていると50代なんておっさん以外の何者でもないし当然のごとく恋愛対象から外れている感じだけれど、それがイギリスの見栄えよく地位もある人ならば違うかもなーとも思った。デイヴィッド・ベッカムとかコリン・ファースとか、ベネディクト・カンバーバッチなら確かにありうる!
自宅での事故について、チャールズは自然死ではなく殺人を主張したのだけれど、牧師が高齢であったことや飲み物からはなんの危険物も発見されなかったこと、さらには牧師という職業だけでなく多くの人に慕われるお人柄だったことから自然死と判断される。ところが類似事件があったことからチャールズ、エッグ、サタースウェイトは事件を調べてみようと試みる。
いや、良いのです。自宅での事故だったわけだから本当の理由を知りたくなって友人たちと調べたっていいんです。でも、プロのポアロが同じパーティーに参加していたにもかかわらず、この事件に関与するまでなんと本の半分を過ぎても登場しない。長く長くチャールズたちの微妙な調査が進んでいき、ちょっとずつ貴重な情報は得られるものの体系づいた推理には至っていない。
ということで、やっとポアロが出てきた時には「遅い!」と一声かけたくなるほどだったけれど、ひとまずほっと安心。そしてもちろんのこと、ポアロの登場で話はものすごく大きく展開していく。
本書の翻訳を担当された長野さんは他にもクリスティ関連の翻訳があるし、推理小説の翻訳作品がいくつかあった。日本大学芸術学部卒とのこと。ポアロの丁寧な口調など、ものすごくすんなり読めたように思う。どんどんと違和感のない翻訳が増えてきて嬉しい。
評価:☆☆☆
おもしろさ:☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆