Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#318 ダイエットに失敗して着る服がないのでこの本を読みました

 『小食を愉しむ』ドミニク・ローホー著

空腹との付き合い方。

 

この1年半、コロナ禍は私自身にもいろいろな影響を与えている。しかも限りなくマイナス方向に…。ぱっと目につくところといえばやっぱり身だしなみに関わる部分で、これに関しては全てが壊滅に走っている気がして、もう自分では手の施しようのないところまで来てしまっているように思う。ああ、ほんとどうしよう。

 

悪循環の極みの中で、まず一番はやっぱり体重の変化。いや、増加…。Before Covid19からなんと5キロ増です!5キロ、文章にすると「ああ、そんなもんね」なのかもしれないけれど、お肉屋さんで5キロの塊を、お米屋さんで5キロの新米を、スーパーで1リットルのオリーブオイルを見て「ああ、これが5本か」と改めて5キロの重みに愕然とし、小さな抵抗程度の軽い食事制限をしてみたりするも逆に増加に反発、悲しすぎる日々であった。

 

この春から普通に出勤し始めた途端、「着る服が無い!」という事態に陥った。去年1年は在宅勤務がメインだったのだけれど、上司が変わったことや周りの雰囲気が「マスクしておけば安心」とちょっとダレてきたこともあり今年の春からは時差通勤を実施していた。考えてみたら、一昨年は断捨離せねばという気持ちが強く洋服を買うことをやめていたので、手元にある洋服がそもそも流行遅れになっていた上にサイズ感がおかしなことになっているので似合わないことこの上ない。しかもいい感じのものほど入らない…。

 

ということで、買い足したましたよね、新しい服をネットで。本当はいちいち試着したいと思っていたけれど、コロナ禍の折にショッピングというのもなあとそこは自制心が働いたのと、店舗縮小などを余儀なくされている日本のアパレルブランドさんに貢献したいという思いが沸々と湧き上がり、ネットでいくつか買ってみることにした。特にサイズがやばいボトムスと流行を反映しがちなトップス(夏なので半袖メイン)を購入。セールやってたりで結構な数を購入したけれど予想よりも出費がなかったのはありがたい。

 

今回購入したアパレルサイトさんでは高身長・低体重の素敵なモデルさんの写真のみならず、ショップの店員さんの着こなしも見られるという優れもので色や着丈などをネットでもチェックできるというのがありがたかった。店員さんは身長を公開した上で写真をアップしている。サイズを公開している方もおられるので大変参考になるし、そこはショップの方だけにコーディネイトも秀逸。よし、いける!と思った服を購入したつもりだったのに、到着したお洋服たちを早速試着してみるとどうもなんだか似合わない。

 

やはりネットだと実物と違う点が出てくるのは仕方がない。その差異を受け入れてのネット購入なので気に入らなければ返品すれば良い話だけれど、セール品だと返品が利かないとか送料がかかるなどのデメリットがある。そもそも私の場合は届いた服を今すぐ着なくてはならないほどに切羽詰まっていたのですぐにタグを切り、お洗濯してワードローブにセットした。ピンとこなかった原因だが、色や形や素材感が微妙に自分が考える「似合う」からずれており、店舗で見てたら多分買わないだろうなあなレベルだったことがあげられる。でも自分が「似合う」と思っていたものはBefore covid 19の3年ほど前のものなので、服の問題ではなく今の私の肥えっぷりのせいで似合わないという事実も大だ。なので「いやいや、待て。これが今の流行なのだ」と言い聞かせ、目に慣れるまでいろいろ着方やコーディネイトを考えつつ、また追加購入なんかもしたりして迫りくる夏に備えているところ。

 

よく年齢の節目になると「今まで来ていた服がに合わなくなった」という話がある。10代から20代はそう多くはないのかもしれないけれど、学生から社会人へというところで一気にワードローブが変わってくるはず。そして20代から30代へ、30代から40代へと10年刻みで変化があるのか書籍を見ても10年区切りのアドバイス本がいろいろと出ている。それは加齢による体の変化に伴うもので、洋服、メイク、生き方、勉強法などなど自己啓発に至っては「こんなことまで?」な分野も多い。私はその10代刻みの節目ではないのだけれど、確実に体重増加と怠惰な生活による身だしなみへの関心の薄れから「似合わない」現象が起きていると確信した。

 

料理も好き、食べるのも好き、となると動かない今のようなタイミングではどんどんと余計なものが体に蓄積される。食べた分のカロリーをその日のうちに消化できないでいるから、ちょっと食べただけのはずがどんどんと貯肉されてしまい、翌朝起きたらびっくりするくらい顔がむくんで体重増えてた!なんてことになるわけだ。

 

本書はたまたまそんな時にネットで見かけた1冊で、すでに著者の作品にはかなりの信頼性を置いていたことから即購入した。著者の作品は断捨離が流行りだす前で、まだ海外に住んでいた時から愛読している。ライフスタイルにおいてはフランスの考え方に共感することが多いので、早速取り入れ始めている。

 

著者は「無駄」というものを徹底的にカットする生活をされているのだけれど、どの作品にも「わたくしの生き方」という自分が選択したのだという意思の強さが感じられる。本書は9章に分かれており、一つ一つの項はさっと読める長さにまとめられている。読み進めるごとに納得させられ、他の作品を読んだ時もそうだったのだが、一つの項に込められたメッセージがあまりに強力すぎて、ふと本を読む手を置き「自分はどうだろう」と考えさせられる不思議さがある。読んでは考え、読んでは考え、と読むのに時間がかかった。これは私に必要かどうか、この素晴らしい考え方をどう自分に反映させるべきか、などさーっと最後まで読むというよりはかみ砕くように読みたくなる。

 

この作品は「小食」がテーマとなっているが、やはりどこか哲学的な面もあり「どう生きるか」という大きな本流が後ろにある。著者の主旨は体に合った良質の食べ物を体が真に欲する量をわきまえて食べろ、ということで、それを実行するためのティップがいくつも添えられている。それがあまりに正しいというか、論破なんてできないくらいに説得力がある。

 

たしかに食べきれない量をお皿一杯持ってきて、満腹を超えても食べ続けることの害はよくわかる。でも、良質のものを少なく食べるというのは頭ではわかっていても実行できない時があり、それは心の問題なわけでどう意思を強く保つかも読みどころの一つ。またそのような食事が与えるマイナス点を丁寧にさらっていくので、読んでいるだけで「ああ、やめなくちゃ」と思えてくる。

 

ためになった点は数知れずだけれど、外国人の著者ならではの視点で日本の食育についてコメントされているところに「なるほど」と逆に教えられた。なぜ日本人は手に食器を持って食事をするのか、なぜたくさん噛むように教えられるのか、子供の頃に聞いたような聞かなかったような分野の回答があり早速実行しようと思う。

 

ひとまず、これからは「もったいない」の流儀を変えていかなければと思った。もったいないから残すではなく、もったいないから多く作らないという方法にチェンジの予定。