『ジーヴスの事件簿 1』P.G. Wodehouse
貴族の息子バーティのもとへ有能執事がやってきた。
いつか時間ができたらゆっくり読みたいと思っている本はセールの際に少しずつKindel版で購入している。以前は読みたい時に買えば良いと思っていたのだけれど、海外だといきなり購入できなくなって慌ててしまうことがあったりする。ずっと前のことだけれど日本のAmazonからKindle版の書籍を購入する時、私はパソコンで購入してKindleでダウンロードしていた。まとめて数十冊買ったあたりで唐突にカード決済が出来なくなってしまった。カードの側の問題ではなく、よく「お客様のいらっしゃる地域はサービス提供外です」のようなIPアドレスによるエラーが出たように記憶している。それ以来、絶対後から読みたくなるだろうと思う作品は買い置きしてしまうことにした。
この間シャーロックホームズのシリーズを大人買いしたのだけれど、その後このジーヴスなる主人公の作品がおススメにあがってくるようになった。実はこの作品について全く知らずにいた。なんでも上皇后さまの愛読書らしく、日本での読者層も一気に増えたことも影響しているのだと思う。さすがイギリス文学、まだまだ知らない作品がたくさん、読んでいない作品がたくさんだ。ああ、いつまでも本を読み続けたい!
P.G.Wodehouseはこのジーヴスのシリーズだけでも10冊以上を書き上げており、イギリスらしいユーモアの作品とのこと。モンティーパイソン的なものを想像しながら早速読み進めてみたら、確かにものすごくイギリスっぽい、あからさまではない笑いのネタがところどころに仕込まれていた。
主人公のジーヴスは仕事も完璧、出来ないことはないのではないだろうかと思わせるパーフェクトな執事。今はウスター家の執事をしている。主人のバーティーは上流階級の出で、今はロンドン市内で気楽な一人暮らしを楽しんでいる。以前の執事にシルクの靴下を盗まれたことが発覚、その場で暇を出し、新しい執事としてジーヴスがやってきたところである。
バーティーにはビンゴという幼少の頃からの悪友がいる。ところでビンゴの本名はRichardだそうなのだが、そういうあだ名もあるんだなと変なところで面白いと思った。このビンゴもそうだしバーティーもそうなのだが、なんとも頼りない。ビンゴはすぐに目の前の女の子を好きになるし、バーティーはいつもフラフラしていてアガサ叔母さんにいつもいつも小言を言われている。そんな二人の知恵袋がジーヴスだ。
調べてみると、1990年に本国ではJeeves & Woosterというドラマまで登場するほどの人気作品のようだ。残念ながらストリーミング配信しているところは無かったのだけれどこんな時こそYoutube。やっぱりありました!ありがたい。
さらにありがたい事に英語の字幕も出ているのでこれは早速見てみたい。
日本語のタイトルが「事件簿」となっていたのでちょっぴり推理的な刑事事件を解決するタイプの作品かと思っていたのだけれど、事件というよりはバーティーが都度やらかすのでその失敗をジーヴスの機転で助けているという内容になっている。
放っておくとバーティーは若者らしく派手な色の靴下を選んだりするのだが、ジーヴスに言わせればもってのほかで、バーティーの洋服の好みが二人の間に緊張感が漂うというパターンが多く、それはそれで面白い。
1冊目、楽しく読めたので2冊目も買ってみたいと思っている。が、このシリーズは10冊以上あるはずなのにこの文庫タイプではまだ2冊しか出ていないようだ。他にハードカバーで出ているものもあるそうなのだけれど、訳についての物言いコメントが多かったので原書で読んでみるのも有りかな、と思っている。この作品を楽しめたらイギリスのユーモアをより一層理解できるかもしれない。良い作品に出会えてものすごく嬉しい。