Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#365 アガサのお誕生日に短編集~「黄色いアイリス」

『黄色いアイリス』アガサ・クリスティー

ポアロシリーズ第21弾、短編集。

 

本日9月15日はアガサのお誕生日だそうだ。やっと21冊目を読み終え、また読み順に疑問を感じている。アガサの代表作のうち、ポアロミス・マープルはとてもとても有名な登場人物だ。アガサの1作目の作品の主人公がポアロであったことから、ずっとポアロ作品を順番に読んできた。ここに来て今までポアロシリーズの順番にのみ従って来たけれど、考えてみればアガサの作品を出版順に読むのであれば、合間合間に違うシリーズも入ってくる。改めて読む順番どうする?としばし悩んでしまった。

 

Title: The Regatta Mystery and Other Stories

Pubulication date: 1939

Translator: 中村妙子

 

なぜ順番について再考したかというと、本書は短編シリーズで、その短編の主人公が多彩だったからだ。邦題は「黄色いアイリス」だけれど、それは挿入されている物語のタイトルのうちの一つで、英語のタイトルにあるようにいくつかのストーリーがおさめられている。

 

ガイドブックにこうあった。

これまでの短編集は、いずれもイギリスで刊行されたものを日本語に訳したものだが、本書は一九三九年にアメリカで刊行されたTheRegattaMysteryandOtherStoriesから一編を除き、短編「二度目のゴング」を日本で加えたもの。本書に収録された作品がイギリスで刊行されるのは一九六〇年代以降まで待たねばならなかった。このあたりの刊行にまつわる事情は不明だが、収録作品は一九三二年から三七年の期間に書かれているから、アメリカの出版社が、「ミステリの女王クリスティーの最新作品集」として、直近の短編を一冊にまとめた、というようなことだろう。

 

アメリカの出版社の手によるものだったがために、雑多な登場人物となった可能性もあるかもしれない。本書は9つのストーリーがあり、主人公は4パターンがある。タイトルと主人公を記しておく。

 

1.レガッタ・デーの事件 The Regatta Mystery(1936年)-Parker Pyne

2.バグダッドの大櫃の謎 The Mystery of the Bagdad Chest(1932年)-Hercule Poirot

3.あなたの庭はどんな庭? How Does Your Garden Grow ?(1935年)-Hercule Poirot

4.ポリェンサ海岸の事件 Problem at Pollensa Bay(1936年)-Parker Pyne

5.黄色いアイリス Yellow Iris(1937年)-Hercule Poirot

6.ミス・マープルの思い出話 Miss Marple Tells a Story(1939年)-Miss Marple

7.仄暗い鏡の中に In a Glass Darkly(1934年)探偵は登場しない

8.船上の怪事件 Problem at Sea(1936年)-Hercule Poirot

9.二度目のゴング The Second Gong(1932年)-Hercule Poirot

 

特記しておくべきは、2つ目は語り手がヘイスティングズであること、7つ目は探偵が登場せず、ちょっとオカルト入った内容で主人公の目線で語られていることだろう。あと9作目は既視感たっぷりで、恐らく「死人の鏡」の元ネタかと思われる。

 

 

確かにポアロが主人公であるストーリーが多いけれど、1発目にパイン氏が出てきて、緩~い謎解きをし、やっとポアロが来た!と思ったらまたパイン氏がやって来て万事屋的な相談事を解決する。そしてまたポアロが出てきたら、大物ミス・マープルまで登場して「この雑多さはなに!?」と慌ててしまった。ガイドブックの説明でようやく納得。

 

そこで最初の読む順番をどうするか問題がやってくる。アガサの作品順はこちらのWikipediaに詳しい。

この順で読むのも良いのだけれど、短編でこれだけ狼狽している私のことなので、行ったり来たりは向かないのかもしれない。ということで、やっぱりポアロシリーズをまず先に読むことに決めた。47冊のポアロシリーズをまず読み切り、それから次を考えることに決めた。

 

逆にアガサのお誕生日にアガサの作品を代表する登場人物に溢れる短編集を読むことで、よりアガサに触れられた気分になった。お誕生日、おめでとうございます。

 

評価:☆☆☆

おもしろさ:☆☆☆

読みやすさ:☆☆☆