Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#174 味はお墨付きな上に写真が芸術的すぎるレシピ本

『有元葉子 私が食べたい季節の味 この2皿さえあれば。』有元葉子 著

春と夏の絶品メニューを紹介。 

有元葉子 私が食べたい季節の味 この2皿さえあれば。
 

 

仕事で物流関係に従事する皆さんのご様子を伺うことが多いので、出来るだけ宅配に頼らず自分でお店に出かけて購入するようにしている。コロナ禍があってからショピングの形についてそれぞれ思う所があるようなのだが、個人的には手に取って確認しがちなものはネットショップに頼ることにした。例えば、本。今はネットでもなんとなく内容が確認できるし、本屋でべたべた触って人に迷惑をかけるよりも、ネットで得られる情報を信じ「ええい、本も一期一会だ!」と思い切りよく購入し、思った内容と違っても良しとしている。その一方で閉店する書店の情報などを聞くとやっぱり本屋さんに行かねばとも思う。

 

最近は楽天も多用するようになったのだが、気がついたら結構な額のポイントが貯まっていた。が、ポイントについての知識が浅すぎて、そのポイントに期限があるということに思いが至らなかった。気がついたら数万円が消え去っており、ああなんともったいない!とがっくりしているところ。

 

その点Amazonのポイントは1年と長い。こちらも気がつくとまとまった金額になっていたので、忘れないうちに使ってしまおうと気になっていた本をいくつか購入した。以前書店で表紙を見かけ、あまりの美しさに見とれた一冊。グリーンのお皿に熟したトマトとモッツァレラチーズとアンチョビが無造作にのせられているだけなのに、色合いがなんとも美しい。ずっとずっと買おう買おうと思いつつ、12月になってやっと手元に取り寄せたわけだが、内容は「春・夏」用のお料理である。

 

この本、今まで読んできた有元さんの本とは段違いなレベルで美しい。大判書籍だから写真の迫力が生きるということもあるが、今までのものよりすべてが最も美しい形で計算されているような、美味しさの気迫がすごいのだ。今までの本も美味しそうな写真がたくさんあった。作ってみると本当に自分が作ったのかと思うほどに美味しい。だから写真もお料理の美味しさを伝えることに集中しておられたことと思う。素人が作りたくなるような、書店で「お!」と思ってもらえるようなもの。読者の目にはちゃんとお料理が映っていたと思う。

 

この本はむしろアートの世界に近く、空間全部が美しい。ダークな背景の中に一皿のお料理が置かれてあるような写真を例にとって考えてみると、思えば今まで有元さんのレシピ本を数冊読んできた中で器に注目したことがなかったように思う。お料理は思い出せてもどんな器に盛り付けられていたのかなんて全く記憶になかった。でもこの本は器もテーブルも一緒に目の中に入ってくる。盛り付けられる食器があり、テーブルがあり、その空間全部が一気に情報として目に入ってきて、ああ、美しい!と芸術を愛でるような気持ちでしばし楽しませてくれた後、ああ、そうだそうだお料理のレシピはどうだろう?とやっと頭が動く感じ。しかも料理の並び順も完璧で鮮やかさがどんどんと際立つ。

 

有元さんの書籍で数多く紹介されている「きゅうりのサンドイッチ」がこの本にも登場する。写真がまた圧巻できゅうりの歯ごたえやバターの塩加減までが一目瞭然で伝わってくる。すごいカメラマンさんがいたものだと驚いた。

 

レシピはやはり春・夏のものなので12月に作ってみたいと思えるようなものは少なかったのだけれど、暖かくなったら絶対作ろうと思うものがいくつかあった。秋・冬版はないのだろうかと思ったら、この本より先に1冊出ているのを発見。これは買いだな、と思うので近く購入するだろう。