Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#175 世界旅行の準備編ならこの本がおすすめです

 『旅のオチが見つからない』低橋 著

シベリア鉄道、チャリでチリを南下、インドネシアで原住民まで旅がすごい。

 

多くの人が帰省どうしようと考えている中、コロナ感染者数がぐんと増えた。年末年始は久々に実家で過ごそうかと帰省することを考えていたのだが、こうも感染者数が増えてくるとどんなに予防を怠らず万全の状態だと思っていても、やはり移動の途中に感染者に接触するリスクは否めない。そう思っているうちに周辺から感染者の情報がちらほら入ってきてしまい、より一層予防モードを高め、できる限り移動は控えようと思うに至った。11月より通常出勤に戻ったのだが、感染者増加のニュースがあるのに在宅勤務の体制には戻らないらしい。自衛するしかないということか。

 

こうも自由に動けないとなると、「落ち着いたらどこに行こう」ということばかり考えている気がする。一番行きたいのは相変わらず英国なのだが、思えば毎回英国を選択してしまうので行きたいと思いつつ行けていない国がいくつかある。忘れないうちに挙げておこう。

 

<ヨーロッパ>

デンマーク

⇒幸せの国を見てみたい。本場のデニッシュを食べてみたい。Irmaで買い物したい。

フィンランド

⇒ベリー食べたい。マリメッコとかイッタラとかショッピング三昧したい。

ドイツ

⇒オーガニックとエコライフの状況を見てみたい。

 

<北米>

カナダ

⇒ナイアガラの滝を見てみたい。

 

<アジア>

台湾

⇒おいしいもの三昧、ショッピング三昧したい。

スリランカ

アーユルヴェーダを体験したい。

 

あれ、こんなものか。もっとあったと思ったのだが意外と少ない。衛生問題があったり、危険度の高いところは避けたい傾向にあるので「死ぬまでに絶対行きたい」からは外れているとはいえ、正直こんなものかという気持ちになった。まあ、物欲と食欲が主な理由になっているのがハッキリしたというだけのことだろうか。

 

きっとそれはこの本を読んだ後だからに違いない。鳥取県は境の港から韓国経由でロシアに入り、シベリア鉄道で東ヨーロッパを巡った後に南米へ!1年の予定がどんどん長くなってしまったという強者の作品である。

 

旅行の内容もさることながら、お人柄が面白い方なんだろうなと思わせる内容が満載だ。例えば、ロシアから出国する際になぜか国境で止められたという経歴をもつ著者。旧ソビエト国家でのビビりっぷりがかわいい。

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ディープなところをバックパッカーとして回っておられるので絶対に危険だったり体調を崩されたり「ああ、もう帰りたい(涙)」な瞬間はあっただろうに、すべてが前向きで、さらに笑いを狙ってくるので相当面白かった。しかも絵がきれいなのもかなりポイントが高いと思う。思わずパソコンの画面いっぱいにじっくり読んでしまった。そもそもチャリでチリを南下した後に、「思ったよりも近い。チャリで行ける?」とブラジル目指そうと思えてしまう方である。読みながら「おい!」とツッコミたくなるところは山ほどあり、とにかく笑えた。

 

行動力がずば抜けてある方だというのは読み始めてすぐに気が付くのだけれど、コミュニケーションのはかり方も素晴らしい。面白いのは、知識としてこちらが知っていることを相手が説明してくれている時、著者はちゃんと相手にのってあげている。そんな優しさがまた人を引き寄せるのだろう。

 

しかし言葉で「世界旅行」というのは簡単だけれど、これは本当に本当にとてつもないプロジェクトだと思う。世界を何周もする人たち、いったいどれだけ芯の強い方なのだろうかと感嘆する。予防注射や持ち物の選定など行く前の準備も多いだろうし、一歩国外に出てからの資金源の管理なども頭が痛い。一人旅であろうが二人旅であろうが、体が資本。しかも日本語はほぼ通じない環境で自己管理をしなくてはならない。情報を得るため最低限パソコンやスマホは必須だろうけれど秘境で電波が届くのか?という不安もある。どんどんと自分を追い詰めるような環境下だからこそ何らかの発見があるわけで、ふらっとツアーで海外に出たところで「自分探し」なんて無理に決まってるという自説をカバーしてくれるような一冊だった。