Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#792 立ち姿の美~「フランス流 品格の磨き方」

『フランス流 品格の磨き方』宝島社

マダムになるために。

 

海外に行く度に思うことがある。日本の女性のオフィスでの服装、海外の女性陣とは何かが違う。今や制服があるという職種は少なくなっているが、オフィス内での暗黙のルールというものはあり、例えばノースリーブはダメとか、スカートの長さなども短いものはあまり良しとはされない。体のラインが出るような服装も好まれないだろう。

 

一方で、海外の働く女性たちにお会いすると、とりあえず自由さがまず目に飛び込んでくる。デニムの方、独特な柄のワンピースの方、民族衣装を身に着けておられる方もいらっしゃる。見た目にものすごく楽しそうで、キラキラしている。

 

日本に出張でいらっしゃる際にはダークカラーのスーツでヒール姿がものすごく素敵だ。それでいてフェミニンに見えるのはどうしてだろう。高級ブランドに身を包んでいるわけではない。特にマダム世代がものすごく美しいのはなぜだろう。

 

この謎をここ数年ずっと観察していて気が付いたことがある。まだ決定打には至ってはいないが、個人的に気を付けてみようと実践しているのは、1に姿勢。2に立ち振る舞い。3に色。そしてお手本として私はフランスのマダムを参考にしている。ということで、この手の本を見かけるとついつい購入してしまうのです。

 

彼女たちの所作が美しい。ただカバンを持っただけなのに、ただ首を斜めに傾けただけなのに、マグに添えられた手も完璧で絵になるのだ。そして自分をよく知っておられるのだろう。同じ色味でも自分に似合うものと似合わないものを熟知しておられるので、ネイルの色などシンプルな点に目が行き、更に魅力的に見える。どうすれば自分を引き立て、どうすれば自分を目立たせないかも心得ておられるようにも見えるが、それは所作も影響していると考えている。

 

冒頭にこんなことが書いてある。

 

目に入ってくるものは心に影響する

 フランスでは、部屋の窓を汚くしていると向かいのお家からクレームが入ることがあるそうです。それは、フランスの人たちには「目に入ってくるものが、自分の心に影響して心身の豊かさを決める」という考え方があるから。それは人間関係も同じこと。「わたしは一緒に過ごす相手の視界に入るもの。だから相手にとっていい影響を与える自分でいよう、楽しいと思ってもらえる人になろう」という意識が非常に高いのです。

 

なんとも染みる言葉だ。家の中にいても、家族しかいないからとだらしない恰好で一日を過ごすということはフランスの人にはきっとあり得ないことだろう。オフィスでもそれは同じことで、素敵なオフィス作りのためにも自分自身がステキであることが必要ということだろう。

 

エフォートレスであることも自分らしさを生む大切な要素であろう。何を着てもフランスの人々は自分らしく着こなしている。

 

センスに恵まれていない私は服はモデルや時にはマネキンの来ているものをまるっと購入し、その型でしか着ていない。インナーなどはたまに他の服にも合わせては見るけれど、なんともいえないやぼったさも一緒に纏っている感がある。一方でフランスの女性の自信に溢れた姿を見ていると、何となく自分も背筋真っすぐ、柔らかく髪をまとめ、前を見て歩きたくなってくるのだ。

 

本書は上に引用した部分だけでも読んだ甲斐があった。そうか。自分が景色の中に溶け込むことを意識して日々の洋服やメイクを考えたい。会社のねずみ色のキャビネットに囲まれ背中を丸めて仕事するよりも、その景色をどう華やかなものにするか考えたい。