Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#915 春のおススメ。夢に向かって日本から世界へ!~「成瀬は信じた道をいく」

『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈 著

親善大使任命。

 

この頃、無性にショコラショーが飲みたくてたまらない。ホットココアでもよいのだけれど、チョコ味濃厚なショコラショーの方が断然好みだ。その時の気分に合わせて作れるので自宅で飲むショコラショーが一番美味しいのだが、外に出ている時に飲みたくなるとちょっと困る。というのもメジャーなチェーン系のカフェでもあまりココアは相手にされておらず、冬の間にちらっと登場する程度。しかも3月に入ってからはメニューが春仕様となりココアは早々に退散している。

 

そこで、この頃はコンビニでスティック状のココアを購入し、そこにブラックチョコを溶かすことで、欲するに近いものを編み出せるようになった。おかげで社内でのストレス軽減が可能となり生産効率も上がっていると信じたい。

 

さて、今は切実に紙の本を減らすことに勤めなくてはならないのだが、Kindle本もそこそこに溜まって来ており、ストレス解消に3月だけで随分と書籍を購入してしまっている。加えてなかなか読むタイミングもつかめない日々が続いているので、とにかくどんどん読んでいくことに決めた。

 

ということで、こちらを読んだ。すでにシリーズ2巻目。

1巻目では高校生であった主人公も2巻目では大学生に。

 

主人公の成瀬あかりは、できるが故に独特なキャラクターとして描かれている。たとえば、将棋の藤井棋士のようにあの若さでありながら見事な落ち着きと丁寧な言葉遣い。加えて大人も驚く知性に多くの人が魅了されている。他とは違う特別さがにじみ出ているのだ。きっと同級生の輪の中に入れば年相応のふるまいもなさるとは思うが、逆に同世代から見ると大人過ぎる態度に「変な奴」と一目置かれながらも敬遠されることが予想される。他の誰とも違う「自分」を若いうちに持っている人は何か強いオーラに包まれているような印象がある。成瀬も「私は成瀬」というオリジナリティーを主体としたパワーに包まれており、それが読んでいる側にも個性を磨こう!というメッセージとして伝わって来る。

 

成瀬の場合、性別も年齢も不詳なキャラクターだ。成瀬の口調だけを拾って読んでいくと、時代さえも曖昧になりそうな気分になる。しかし大学生になった成瀬はついにスマホも手に入れたし、インスタも扱えるようになっているのでやっと10代らしさを身に付け始めた。一方でやっぱり成瀬は成瀬の道を行く。

 

さて、成瀬が親友の島崎と組んでいるゼゼカラも相変わらず続いている。しかし大学進学の時期と同じくして、島崎が親の転勤で東京へ引っ越すこととなった。ゼゼカラのために時折島崎は滋賀へ出向くが、以前のようにずっと成瀬と一緒にいるわけではない。しかし携帯を手にしてもやり取りする相手はやはり島崎と家族だけのようだ。ここにも成瀬には他に迎合しない強さがあるように見える。

 

成瀬は自分が決めたことをやり抜く力がある。よって周りの意見に左右されないし、簡単に道を変えることはない。周りがそんな成瀬を笑ったり、遠ざけたりしても、それが成瀬の心を砕く事はなかった。成瀬がいじめられていた時、一緒に登下校していた島崎の目にはそれが「いじめ」に見えたと思うが、成瀬自身がどう思っていたのかはわからない。しかし島崎に対して感じている友情は別格であるということがヒシヒシと伝わって来る。

 

成瀬は予定通りに京都大学へ進学し、益々勉学に勤しんでいる。最近ではバイトも始めたほか、大津をアピールする親善大使にも選出された。活動範囲がどんどん広がり、膳所から世界へ!という成瀬の夢が一つ一つ叶っていく。この思ったことを実践する力というのは、成瀬のように直進していく強さがなければ難しい。それが一番早いとわかっていても、人は周りの意見にくじけてしまうことも多い。揶揄されればモチベも下がるし、なぜ自分がそこに向かっていくのかわからなくなるだろう。しかし、世の中には夢を叶えている人も多くいるのだ。そのうちの一人が成瀬なんだと思うと、夢の叶え方のヒントが見えてくるかもしれない。

 

今は2024年だが、ほんのちょっとだけ先の2025年という時代設定だ。今の高校生が読めば臨場感を味わえるかもしれないし、ちょっと先の未来を読むことで自分の夢の叶え方に気が付くかもしれない。春に読むにはとても良い一冊。

 

とにかく明るい気分になりたい時にはもってこいの作品です。