Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#376 民俗学ではこわ~いお話も研究してます「准教授・高槻彰良の推察 1」

『准教授・高槻彰良の推察 1』澤村御影 著

大学で民俗学を教える高槻准教授は怪奇を研究している。

 

民俗学、とてもとても気になる学問の一つである。文系の勉強をしていると、どこかでかならず民俗学に突き当たるのではないだろうか。私の場合、民芸品に関心を持つようになってから日本の文化をもっと知りたい!と思うようになり、気がついたら民俗学のドアの前に立っていた感じ。

 

アマゾンを徘徊していたら、本作品がドラマ化されるそうで書籍の紹介が掲載されていた。タイトルの「民俗学」に惹かれて一先ず最初の2冊を購入した。1巻目にあたる本書には、高槻准教授の研究分野についての紹介と、研究内容や水曜日の民俗学の授業についての話がある。研究分野は「怪奇」なので、私が求めていた地域の食文化や生活などとは異なる内容だった。でもなんとなく読み進めたくなるストーリーであっという間に読破。

 

ストーリーの冒頭は、民俗学を受講する文学部1年の深町尚哉の話から始まる。尚哉が10歳の頃だ。祖父母の暮らす長野で夏休みを過ごすことが深町家のいつもの夏だった。集まればいとこたちと一緒に遊びまわり、祭りと盆踊りは最大のイベントだった。10歳の夏、尚哉は風邪をこじらせて高熱が続き起き上がることもできないほどだった。とても行きたかったお祭りの日、その日も熱は下がらず大人しく布団で寝ていた尚哉だが、夜中に太鼓の音で目が覚める。それからが夢なのか、現実なのか、尚哉は不思議な体験をした。その体験が民俗学へとつながっていく。

 

高槻は青和大学で民俗学を教えている准教授で、専門分野は怪奇だ。日本に伝わる怖い話の本質を探っていくという研究をしている。たとえば学校を舞台にした怖い話はいくつもあるが、そのすべてには理由がありどういう理由で作られたものなのかが見えてくる。なぜ学校なのか、なぜトイレか、学問的アプローチをすると見事にするすると解けていくのがおもしろい。

 

ストーリーは大きく3つで、お化けが出た!怪奇現象だ!との事件が、実は人によるものであったことを解いていく内容で、推理小説の面も持っている。とはいえ、高槻は幽霊が見たくて見たくてたまらない。その辺がちょっぴりポップな内容だ。

 

尚哉は10歳の頃の話をレポートに加点目的で書いたところ、高槻の目に留まり、高槻のフィールドワークを手伝うことになるという内容。怖いものが苦手な人でも楽しく読めるけれど、導入部分は怪奇の話なのでちゃんと読み進めていく必要があるかも。ひとまず2巻まで購入してあるので読んでいこう。