『フランス流のもの選び』Katie 著
暮らしの楽しみ。
今年は何としてでも断捨離を実行しなくてはならない。スペースに対して持っているものが多すぎるため、常になんらかの物が視界に入る。それが知らず知らずのうちにストレスになっていることに出張に出て気が付いた。
出張時には場所によるが大抵1万円~1万8千円くらいのビジネスホテルに宿泊することが多い。金額が微妙なのは社内規定で決められている最大限値に合わせているからで、役職が上に行けばいくほど1泊あたりに使用できる宿泊費が増えるというシステムになっている。このくらいの金額だと日本のビジネスホテルチェーンはほぼ宿泊できる。個人的な好みと出張地での有無から私はダイワロイネットを使うことが多い。ホテルの部屋に入ると、テーブルの上、デスクの上、収納にも何もない。その機能的で整えられた環境がものすごく心地よい。ああ、そうか。視界に飛び込んでくる情報は時にストレスになっていたんだなあ、と気が付いたわけだ。
もう先月の話になるが、仕事で使う書籍を購入するために書店に行った際のこと、料理やファッションなどのコーナーをちらっと見ていて本書が目に入った。フランス風ファッション、フランス風レシピ、フランス風インテリアという単語は大好物なので早速購入した。本来ならその日のうちに読みたいところだったのだがあれこれが発生して手に取るのがすっかり遅くなってしまった。
すきま時間はたいてい読書に充てているので、流行というものが全くわからない。SNSもYoutubeも見ない。そもそもアプリ持ってないし(これを言うと多くの人に呆れられます)よって各界で活躍しておられる旬な方々がSNSなどで人気を博した一般の方であると知って毎回驚いてしまう。本書の著者もYoutuberとのことで、本書を読んだ後、久々にYoutubeでチェックした。
こちらの動画、本書の表紙の写真にも似ているが内容も肝を語ってくれている。本書を読んだ時はフランス在住の方だと思っていたのだが、動画を見て日本にお住まいであることを知る。フランスの企業に長くお勤めで、実際フランスでも生活された方がフランスで知った生活の知恵を紹介するような動画になっている。
全ての動画を見たわけではないが、おそらく本書に書かれている内容は恐らく動画でも紹介されているであろうと想像するが、書籍は書籍の良いところがある。まず、動画では少しのコメントが流れている他は映像で生活を紹介することがメインになっている。例えば使っているブランドの紹介やお店の情報などがあっても、「なぜ」の部分は語られていない。その見えない心の中の様子が語られているのが本書である。
著者は30代から「不要なものは手にしない」と決め、リストを作り行動を制してきたとのことだ。それも長く使うことで愛着が湧くような「一生もの」のみを購入し、それを大切に使っている。どれも安価なものではなく、40代になってリストの最後にあったバーキンを購入したそうだが、買おうと思ってすぐにバーキンを購入できる人は世の中のほんの一部の人のみだ。著者は10年かけてリストを吟味しつつ購入したそうだ。ファッションにおいてもライフプランを作るという点にものすごく共感する。
なんとなく良さそう、セールやってる、人気だから、などなどの理由でついつい靴や服を買ってしまうのだが、著者ならきっとぐっと我慢して買わないはずだ。足るを知ったワードローブなので必要以上の洋服はなく、コーディネートも瞬時に作り出せる。
リスト作りの中で10年後を想像するために今の自分より上の世代の雑誌などを見て購入するものを吟味したとあった。この頃同世代のモデルさんよりシニア世代のファッションを見て「こんな風になりたい」と思うことが増えて来たのだが、草笛光子さんを見て自分が80代になった時に何を持ち何を着ているかを想像するという発想はなかった。これを知れただけでも価値観が変わる一冊だった。
本書とYoutubeに久々に触発され、週末は少し洋服を整理した。この勢いで断捨離進めて居住空間をクリアにしたい。