Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#890 ホンモノの読書好きな方の日々は常に本に囲まれている~「書店員 波山個間子 1」

『書店員 波山個間子 1』黒谷知也 著

ブックアドバイザー。

 

悩みに悩み、この連休は家で過ごすことに決めた。台湾か香港かにでも行って英気を養いたかったが、しっかり準備してこそ楽しい旅になる。ぎりぎりフライトも確保できそうだった。しかしぎりぎりということは、旅行者にとって都合の良い時間ではなく、滞在時間も短くなる。事前にしっかりと予約しておけば費用も抑えられるし、スケジュールの都合をつけやすい。ということで、今回は本を読む+部屋を整えるための時間に費やそう。

 

ということで、早速週末読む本を探すことにした。Kindle内にあるものも良いがまずは山積みの紙の書籍から読むべきだろう。できれば読むのに時間のかかりそうな厚みのある書籍を読むことにしよう。集中して読めるせっかくのタイミングなので読書を楽しみたい。

 

そんなことを思っていた時、Kindle Unlimitedで台湾本を探している時に見つけた本書のことを思い出した。表紙のイラストからいかにも読書が好きそうな女性の姿に惹かれて早速読んでみる。

 

波山さんは「はやま」さんと読む。青ひげブックスは町の中規模の書店だ。前の店長は今は体を壊して入院しており、娘さんが書店を受け継いだ。店長さんはちょっと変わった方で読書よりは本を売ることが好きと言ってはばからないサバサバしたタイプ。

 

波山さんはそこでブックアドバイザーとして働いている。ブックアドバイザーという仕事は店長が作った新しい職務で、まじめで本について良く知っている波山さんを依怙贔屓した結果とのことだ。店長は波山さんが気に入っている。彼女の内気な性格や本への向き合い方などすべてを加味して、というより波山さんの仕事を認めているからこそより彼女の世界を広げ、育てたいと思ってのことではないだろうか。波山さんは本に詳しい。頑固なところもあり、まじめだ。一日に何冊もの本を読む。本を愛し、読書を愛し、心の底から没頭して本を楽しんでいる。ただ本と向き合いすぎてちょっと内向的なのだ。

 

波山さんが読書を始めたのは高校時代とのことだが、書店を訪れるお客様からの質問に応えることが出来るほどに多くの種類の本を読んでいた。小さなヒントからその1冊を探し出す。

お客様の曖昧な記憶の断片から探し出した一冊は、まさにそのお客様が欲していたものだった。そして本書の良いところはその物語についての波山さんの感想が素晴らしい。読んでいるうちにその本そのものが読みたくなる。

 

一日に何冊も読む波山さんのご自宅は書籍に囲まれており研究室のようだ。天井まで届く本棚が何台もあり、本好きが憧れるお部屋そのもの。加えて図書館からも本を借りて読むほどで、私も読書好きではあるが波山さんの読書ペースには驚いた。しかも斜め読みではなく、集中して本に対峙する読書スタイルであれば、1冊読むのにも時間がかかるはず。感情移入が激しく、時にカフェや図書館で本を読んでいる間に涙してしまうこともあるが、それくらい集中しているからこそ読んだ本の内容を忘れず、ブックアドバイザーとしてのお仕事が成り立つのだろう。

 

旅行記を探すお客様に提案したお話に大好きな本が出て来て嬉しくなる。

旅行好きで本書を読んでいない人はすぐにでも読むべき「深夜特急1―香港・マカオ―(新潮文庫)【増補新版】」はハードカバー、文庫、Kindle版すべて持っている。そういえばここ数年読んでいなかったとこれもまた読みたくなった。いつ読んでもわくわく感にブレがないし、もう何十年も前の旅のお話だから時代感は否めない。しかし「旅」という行為そのものや旅に対する人間の心というのはそう大きく変わらない。だからいつ読んでも心震えるものがある。

 

こんなに好きな本だというのに、その続編?の「旅する力」の存在を知らずにいた。ああ、これは今すぐにも読んでみたい。雨だけど本屋に行くしかないな。

 

ビジネスの現場ではもちろんのこと、物流問題についての話題が尽きない。個人の力で何ができるかを考え、私はネットショッピングからオフラインでのショッピングに切り替えることにした。配達量の削減につながればと始めたことだが、おかげで書店に足を運ぶ機会が増えて新しい本との出会いを楽しんでいる。あとは電子書籍の利用を増やすことと、購入単位数を増やして1度の配送で今までのショッピング5回分くらいの量を買うくらいかな。

 

雨の日は読書が進む。皆さまも楽しい週末を!