Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#690 久々にお仕事の本~「ストーリーでわかる初めてのM&A」

『ストーリーでわかる初めてのM&A』横張清威 著

DD。

 

なんとなく仕事で読んだ本についてはメモを残さずにいたのだけれど、似たような本を購入してしまうことが増えたので記録することにした。

 

お仕事関連の本は、必要に駆られて読むものもあるが、大抵は日頃お世話になっているメンターの方々のおススメを購入することが多い。おススメされた書籍は出来るだけ読みたいのだけれど、ビジネス書って小説に比べて価格が高めなので余り購入できないのが悩ましいところだ。

 

さて、本書はM&Aの流れを確認したくて書店に赴いた際に購入した一冊だ。こういうストーリー仕立てのビジネス書、結構好きです。頭に残るという点でとりあえず流れを掴んでおきたい時などはこういう1冊を購入することが多い。

 

さて、本書はバウムクラストという洋菓子のベンチャー会社の経理担当者さんの悩みを弁護士さんと会計士さんが支えて行くというお話。

 

バウムクラストは上場企業だが、ベンチャーから会社を育てた若手社長の直感に頼っている所が多い。その社長が突然「M&Aする」と言い出した。そしてM&Aの担当に経理担当部長を指名する。経理部長の堀田さんはM&Aの経験もなく、丸投げされた感に悩みを抱える。とりあえず書店で書籍をいくつか購入して勉強してから担当のファイナンシャルアドバイザーに会ってみた。そして、相手企業についての情報などをもらうも、少し、いやかなり情報が足りない。これは一人の力では相手企業についての詳細を確認できないと、デューディリジェンスを実施することにした。

 

堀田さん、前職時代にお世話になった弁護士のことを思い出し早速訪問した。飯島法律事務所の飯島先生は、かつてM&Aの経験があるという話をしていたことから、どうにかバウムクラストの案件についてDDのお願いができないかと相談する。まずはお見積りも頂き、こちらにお世話になることとなった。

 

飯島事務所には数名の弁護士がいる。4年目、遠出太郎弁護士は本件で初めてのDD案件を担当することになった。彼がストーリーを進めていくのだが、初めてということもあり法務DDのやり方、流れなどを先輩弁護士の指導という形で説明がなされていく。

 

財務DDは遠出弁護士の友人の西野会計士が担当してくれることとなった。太郎弁護士が西野会計士にあれこれ質問しつつ、財務についてもちらっと触れている。彼のキャラクターは知ったかぶりをせず、質問することで成長しようとするタイプでお話も読みやすい。

 

バウムクラスト社が買収を考えている対象企業のDDを実施する過程から最終的なクロージングまでの流れがあり、作業をいくつかに分け、その後詳しい説明があるので理解がより深まる。契約書の例文なども掲載されているので、DDの大まかな流れは理解できる。対象企業は同族経営の企業で、承継問題にて売却を考えているとのことだった。が、なかなか書類も出てこない上に、企業価値についての自己判断は実際とかけ離れたものだったりと、あれこれ堀田さんやDDメンバーを悩ませる。

 

ビジネスの現場では小説のようにはいかない場合が多いし、何倍も複雑な背景が入り組んでいるのでこの1冊で全てが理解できるというわけではないが、流れを把握することで予測や仮定が可能になるのでこれから業務で必要になる方には役立つことだろう。もっと詳細が書かれた書籍は数多くあるが、本書を読んでから専門書を読むことで、より理解度が上がった。はじめの一歩的な一冊。