Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#853 ダメな異性に惹かれる。うん、わかります~「わるじい慈剣帖8~10」

『わるじい慈剣帖8~10』風野真知雄 著

シーズン2。

 

やっと年末の休みに入り、一日かかって移動終了。移動中、なんとしても今読んでいるシリーズものを読み終えたかったのでずっとこちらを読んでいた。

 

 

愛坂桃太郎は元目付。今は長男に家督を譲り、現在はその長男が外に作った孫娘を溺愛している。

 

慈剣帖はシーズン2にあたり、全10巻からなっている。そのシーズン2の後半はものすごく大きな出来事があり、桃太郎の孫バカっぷりが加速している。桃子の母親は日本橋で最も人気のある芸者の珠子。しかし桃太郎の息子の仁吾とは完全に関係が切れている。女一人で桃子を育てる珠子をなんとか助けたいという桃太郎の思いが珠子との絆を作っていると言っても良いだろう。

 

その珠子だがどうもダメな男に惹かれるところがある。仁吾も桃太郎に言わせればどこか足りないところがあり、そのダメさが「この人は私が居なくてはダメなのだ」と思わせるのだろう。

 

実は桃太郎の周りには仁吾よりダメな男が一人いる。珠子が惹かれる男のタイプに気が付いた桃太郎はかねてよりものすごくものすごく心配している。そんな男が桃子の父親になったらと想像しては心配を増やしていた。

 

心配するのも当然で、その男とはなんと町方同心の雨宮である。雨宮、人は良いのだがとにかく仕事が出来ない。立てた手柄はいくつかあるが、すべて桃太郎が裏で手を貸したものばかりだ。同じ長屋で暮らしていた珠子はそんな雨宮のダメっぷりを何度も見る機会があった。珠子にとっては雨宮を支えたいと考えるに十分な時間であっただろう。

 

珠子は芸者をしながらも若い芸者に小唄や三味線を教えることもあった。珠子に憧れやって来る芸者は多く、その一人が蟹丸である。蟹丸には兄が二人あり、その長兄が今や江戸のやくざの世界を賑わす存在となっていた。

 

それぞれの縄張りを守り、互いに諍いを起こさない関係を気付いていた親分らだったが、蟹丸の兄、仙吉の登場でその関係がどんどんとかき回されてしまう。仙吉自身は刀も使えず、まったく強さの欠片もない。ところが知恵が回り、口も達者で仙吉の策に多くの者が右往左往。そのうちに町の重鎮であった親分らがどんどんと襲われる。そしてついには桃太郎にも刺客が送られてきた。

 

町方も証拠がないだけに捕まえることすら儘ならない。桃太郎は自分が狙われていることから、このままでは桃子に危害が加わるかもしれないと自ら距離を置くことにした。同じ長屋に住んではいるが、桃子と遊ぶ時間もなく事件の解決へと挑む。

 

桃太郎の活躍もあり、日本橋界隈はどうにか以前の平安を取り戻す。が、桃太郎の心は複雑である。その間に雨宮は珠子の心の中にしっかりと食い込んでいた。ああ、これからどうなる!と心配になったところで、一つ思い出す。

 

そうだ、シーズン3の義剣帖があるではないか!

 

ということで、年末はこのシリーズにかかりきりになりそう。