Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#845 時代小説タイトルの罠!またもやはまってしまいました~「わるじい秘剣帖」

『わるじい秘剣帖 1~4』風野真知雄 著

桃。

 

週末は変に温かくて軽装で出歩けるほどの天気だった。外は温かいのに家の中は日が当たらないせいか朝晩はちょっとひんやり。ということで無印の着る毛布を購入してみた。今まではフリース素材のものを着ていたのだが着る毛布のほうが断然温かい。ちなみに、こんなのです。

着る毛布 パジャマ

これに同素材のスリッパを合わせると、びっくりするくらいに温かくて暖房要らずな冬が過ごせそうな予感。

ぬくぬく感が確保できたことで冬の読書環境が整った。ああ、これでますます家にばかりこもる生活になるんだろうなぁ。このスリッパは予備をもう一つ購入して冬の海外出張の相棒にしようと考えている。寒い国に行く時、上下フリース素材のルームウェアを持参しているのだが、確実に着る毛布のほうが温かい。でも足が温かければ体感温度もずいぶん変わるので快適なホテルライフのために今のうちに買っておきたい。

 

読書環境も整い、さっそくKindle Subを開く。そしてまたもや時代小説のワナに嵌ったことに気が付いた。今読んでいるこちら。

 

セール時に全巻購入してあったのだが、なんとこちらシリーズが2つに分かれていた!まず最初が「秘剣帖」で10巻。次に「義剣帖」で10巻。ということは10冊分を飛び越えて11巻目から読んでしまったことになり、読んだ時に感じた違和感の理由が一気に理解できた。ということで、秘剣帖のシリーズを改めて全巻購入。時代小説のタイトル、もっとシンプルにして欲しいです。

 

義剣帖から読み始めた時は今まで読んできた著者の作品らしからぬ「ゆるさ」に戸惑った。正直に言うとそのゆるさがものすごくつまらなく感じた。きっと主人公と同世代の還暦を過ぎた方を対象にしているんだろうなと10巻揃えてしまったことを少し後悔していたほどだ。

 

ところが、秘剣帖がシリーズの先であることを知り、とりあえずシリーズ抑えておこうと乗り気もしないまま購入したのだが、読み始めたらこれがものすごく面白い!しっかりと活気もあり、事件も謎が深い上に生き生きとした江戸の様子にワクワクしてきた。あまりに面白くてどんどん読み進めているところ。ひとまず4巻までを記しておく。

 

義剣帖にも登場人物の紹介はあったが、やっぱり状況の説明不足というか「なんでそうなった」までは説明されていない。義剣帖に行き着くまでの過程にこそ全てのうま味が詰まっていて、そのうま味を全く入れずにお味噌汁作ったみたいな感じ。

 

まず、主人公の桃太郎の息子である仁吾はアホだった。いや、旗本の長男で目付の仕事も引き継げているので完全なるアホではないのだが、人の気持ちというか男らしさという意味ではものすごくものすごく劣る。というより魅了される部分の少ないところが逆にポイントなんだろうかと思わせるのだが、そんな仁吾が日本橋一の芸者である珠子と付き合い、なんと子まで設けてしまったのだ。

 

しかし仁吾はすでに既婚で愛坂家より石高の大きな家から嫁をもらい、二人の間にはすでに3人の息子がいる。その嫁がこれまた正義の塊のような人物で曲がった事が大嫌い。甘えは一切許さぬというタイプでとにかく怖い。桃太郎も妻の千賀には頭が上がらないが、そんな二人も嫁には遠慮しているところがあってちょっぴり恐れていたりもする。よって珠子の存在どころか子供までいるとバレたら、きっと嫁は実家へ帰って愛坂家は断絶となってもおかしくないくらいの不幸が降り注ぐに違いない。

 

その隠された存在であったはずの珠子と桃太郎の出会い。そして孫の桃子への溺愛人生のスタートと仁吾と珠子の関係などがぎゅっと詰まっているのが秘剣帖の1~4巻だ。それがまたいつもの笑いたっぷりな展開で、あまりの楽しさにもっともっととあっという間に読み終えた。

 

珠子は日本橋一の芸者であるから、妾や後妻へと迎えたがる大店の主からのアピールが後を絶たない。しかし娘の桃子を一人で育てると決め、誘いはすべて断っている。そこへ孫可愛さのあまりに同じ長屋にまで越してきた桃太郎。仁吾のことはすっぱり心から消え去ってはいるし、今後娘の生活に関わることは全く望んでいない。しかし一人で娘を育てるには働かなくてはならない。それには珠子が働いている間、娘を見ていてくれる存在が必要だ。そこへやってきた桃太郎に対し珠子は好感を抱いたのだろう。娘のおじい様として、そして人生の良き先輩として、珠子は桃太郎を娘のおじい様として受け入れた。

 

珠子の人柄、そして日本橋の生活の様子が生き生きとしていて読み甲斐たっぷり。なんとあの越後屋まで出てきて、臨場感も味わえるおまけつき。そして桃太郎と親友の朝比奈との関係が情深く心がほっこり。

 

そうだ。耳袋秘帖シリーズに出ていた同心の椀田がちらっと出て来ていた。懐かしい名前にまたもやほっこり。やはり時代小説は順を追って読むのが正解。